
国内外の銀行で為替ディーラーとして活躍され、その華麗な取引手腕から「貴公子」と称された酒匂隆雄さん。為替ディーラーの第一人者の顔とは別に、レーシング、海外旅行、ワイン・グルメに温泉旅行と、様々な趣味をお持ちで、人生を楽しく過ごすことに関しても一流人です。
このコンテンツでは、楽しい話題や日々の生活、たまには為替マーケットについて語っていただきます。
先日の読売新聞に興味深い記事があった。
『オレオレ詐欺 新手口』と言うタイトルで、最近首都圏で新たなオレオレ詐欺が流行っていると紹介している。
その手口は息子や親族を装って「フルーツを送る。」と電話をした後に現金をだまし取る手口で、先ずは息子を名乗る男から「家に桃を送るからね。明日、農園から電話があるから。」と高齢者に電話を掛け、翌日農園を名乗る電話があって「送り先を確認させて下さい。」と住所を尋ねられる。
その直後に前日電話をしてきた息子と名乗る男が「会社の金を使い込んでしまった。」と切羽詰まった声で再び電話を掛けて来て金をせびり、息子の同僚と名乗る男に現金を渡してしまったと言うのだ。
何故こんな簡単な詐欺に引っ掛かるのかと誰もが思うが、果物で信用させてから困ったふりをして『助けてやらなければ!』と言う気持ちにさせるところがミソらしい。
此の新手のオレオレ詐欺の事例は去年の12月から東京23区だけで約100件もあり、1回当たりの被害額は約100~600万円に上るという。
実はかく言う我が家にも二度オレオレ詐欺と思われる電話が掛かって来た事がある。
勿論二度とも未遂に終わったのだが、実に面白い結末であった。
不思議なのは1度目は息子の名前を知っていた事である。
1度目。
男「もしもし、〇〇君のご実家ですか?」
筆者「はい、そうですが。」
男「実は〇〇君が自動車事故を起こしてしまい、相手の女性が大怪我をしてしまったんです。〇〇君に代わります。」
息子を装う男「(いきなり泣きじゃくり)えーん、えーん。事故を起こしちゃった。」
筆者は既におかしいと気付いていたので、「お前、○○じゃあねーだろう。事故を起こしたんなら警察を呼べ。」とガチャンと電話を切ったらそれっきりになった。
2度目はウチのカミさんが電話を取った。
息子を装う男「もしもし、僕だけど。」
カミさん「あ、どうしたの?」
息子を装う男「今、交通事故を起こして相手に怪我をさせちゃったからお金が要る。」
カミさん「ふーん、あんた誰?息子は目の前でアンパン食べてるけど?」
それで男は慌てて電話を切ったらしい。
それにしても惜しいことをしたもんだ。
もう少し引き延ばして騙されたふりをしてとっ捕まえてやれば良かったと思うが、その時は咄嗟の事でその様な『面白い事をやる』事に気付かなかった。
オレオレ詐欺には色々な手口が有るらしいが、被害者はお年寄りが多いらしい。
やはり自分の子供が困っている事を聞くと気が動転してしまって冷静さを失い、つい騙されてしまうんでしょうな。
オレオレ詐欺と似た様な振り込め詐欺と言うのもあるらしい。
これも言葉巧みにお年寄りを騙して銀行のATM迄誘導して振り込みをさせるらしいが、例えば、市役所などの公的機関を名乗って「給付金が有りますからキャッシュカードを持って銀行に行って下さい。電話で指示をします。」と言ってATMの前で給付金を受け取るどころか逆に相手口座に振り込みさせる指示をするらしい。
そう言えば此れを防ぐ為に最近のATM.には「携帯電話を使用しながらのご利用はご遠慮下さい。」との注意書きがある。
他にも『法務省管轄支局国民訴訟通達センター』などのおどろおどろしい名称で、『消費料金に関する訴訟最終通告のお知らせ』などと題した葉書を送りつけてきて、びっくり仰天して電話をしてまんまと金を巻き上げられるケースもあるらしい。
勿論こんなセンターなんて存在しないし、無視するに限るのだが『訴訟最終通告のお知らせ』なんて言われるとぎょっとしますわな。
面白いことに都道府県別で調べてみると、大阪の振り込め詐欺被害が一番少ないのだそうだ。どうしてなんですかね?
電話が掛かって来た時に「そんなの嘘やー!」とか言って相手にしないんですかね?
上の読売新聞の果物オレオレ詐欺の記事の中に、被害に遭わなかった人の話があったが面白くて吹き出してしまった。
電話を受けたが「ウチの息子が気の利いた品を送る訳がない。」と直ぐに見破ったのだと言う。
これある意味、大阪で被害が少ない事と似ているのではないのかなあ?
何れにせよ、変な電話が掛かってきたり、覚えの無い件で葉書が来たら直ぐに反応しないで回りに相談致しましょう。

酒匂隆雄 さこう・たかお
酒匂・エフエックス・アドバイザリー 代表
1970年に北海道大学を卒業後、国内外の主要銀行で為替ディーラーとして外国為替業務に従事。
その後1992年に、スイス・ユニオン銀行東京支店にファースト・バイス・プレジデントとして入行。
さらに1998年には、スイス銀行との合併に伴いUBS銀行となった同行の外国為替部長、東京支店長と歴任。
現在は、酒匂・エフエックス・アドバイザリーの代表、日本フォレックスクラブの名誉会員。
