国内外の銀行で為替ディーラーとして活躍され、その華麗な取引手腕から「貴公子」と称された酒匂隆雄さん。為替ディーラーの第一人者の顔とは別に、レーシング、海外旅行、ワイン・グルメに温泉旅行と、様々な趣味をお持ちで、人生を楽しく過ごすことに関しても一流人です。
このコンテンツでは、楽しい話題や日々の生活、たまには為替マーケットについて語っていただきます。
先週は連日甲子園で高校野球の熱戦が繰り広げられる中、一服の清涼剤の様なニュースが日本中を駆け巡った。
山口県防府市で、3日間に渡って行方不明になっていた2歳の男の子が無事に保護されたニュースである。男の子を発見したのは大分在住の78歳の老人（お名前は小畠さんと言う）で65歳で生業としていた魚屋さんを畳み、それ以来ボランティアとして各地の被災地を訪ねては活動していたらしい。
小畠さんは、今回のニュースを見て居ても立っても居られなくなって軽自動車を駆って防府に駆け付けたと言う。
前日の午後に着いて男の子のご家族に「必ず見付けてこの手で直接お渡しします。」と言い切って翌朝早く出発し、何とものの30分も経たないうちに男の子を発見したと言う。発見場所は男の子が居なくなったとされるおじいちゃんの家から北に向かって約500ｍ位上った山の中だったらしい。
小畠さんは過去のケースを振り返って『小さな子供は下に下がるのではなく、上に上がりたがる本能を持っている。』と信じて延べ数百人が捜索に当たっていたおじいちゃんの家から下方面ではなく、一人で上に上がって行ってものの30分ほどで見付けたのだ。
懸命に捜索に当たっていた消防や警察関係者には申し訳ないが、『どうして山方面を探さなかったの？』と不思議に感じてならない。まあ、兎にも角にも子供が助かったのだから万々歳だ！
小畠さんは子供を発見して持参していた自分の毛布で子供をくるんで下まで運んだのだが、途中で会った警察官関係者から子供を渡すように言われて、「怒られるかも知れないがどんな偉い人が来ても子供は渡しません。親御さんにこの手で直接渡しますと約束したんだからそれを守る！」と言い切ったらしい。
素晴らしい！
パチパチパチ！（警察は面目を潰されて歯痒かっただろうな！）
それにしても2歳の子供が2晩3日に渡って一人で生き抜いたと言うのは凄い！
2年前に北海道の7歳の男の子が父親に叱られて車から降りて置き去りにされ、7日後に発見されたと言うニュースが有ったが、あの子も確か大人の思惑とは裏腹に山の上の方に歩いて行き1週間も見付からなかった。
皆さん、一人ぼっちで7晩どころか2晩だって暗闇で過ごす事が出来ます？
恐らく大人は怖くなって歩き回ったりして体力を消耗するのだろうが、小さい子供は大人の恐怖の次元と違ってじたばたしないのではないのかなあ？
救出劇の後小畠さんにマスコミが殺到し、自宅まで追いかけてインタビューをしていたが、お話は実に爽やか『良いお爺ちゃん』だなと感服した。
ご家族の話になり、お子様方は独立していらっしゃるみたいで、記者が不注意（？）に「奥様は？」と訊いたら大笑いしながら「5年前に用事が有ると言って出て行ったきり帰って来ません。」と言っていたが、この話を聞いて此方も大笑いした。
まあ愉快な人だがああ自由奔放に振舞われたんじゃあ確かに奥さんは大変だろうな？
そうだ、いい考えがある！
小畠さんには次は出て行ったきりの奥さんを探す旅に行って貰おう！
「小畠さーん、奥さんきっと上の方（大阪？）にいらっしゃいますよ！」
酒匂隆雄 さこう・たかお
酒匂・エフエックス・アドバイザリー 代表
1970年に北海道大学を卒業後、国内外の主要銀行で為替ディーラーとして外国為替業務に従事。
その後1992年に、スイス・ユニオン銀行東京支店にファースト・バイス・プレジデントとして入行。
さらに1998年には、スイス銀行との合併に伴いUBS銀行となった同行の外国為替部長、東京支店長と歴任。
現在は、酒匂・エフエックス・アドバイザリーの代表、日本フォレックスクラブの名誉会員。
