
国内外の銀行で為替ディーラーとして活躍され、その華麗な取引手腕から「貴公子」と称された酒匂隆雄さん。為替ディーラーの第一人者の顔とは別に、レーシング、海外旅行、ワイン・グルメに温泉旅行と、様々な趣味をお持ちで、人生を楽しく過ごすことに関しても一流人です。
このコンテンツでは、楽しい話題や日々の生活、たまには為替マーケットについて語っていただきます。
恥ずかしながら筆者は昨年の誕生日で古希(古く、まれ。)を迎え、『良い爺さん』となった。
だからと言って、別にどうってことは無いと思っていたのだが今年になってショッキングな事が起きた。
今年は3年に一度の運転免許証の更新なのだが(違反を犯さなければ確か5年に一度だったと思うが、どういう訳か3年に1度くらいの割合でスピード違反で捕まってしまうのであります・・・)8月の誕生日の半年前の2月頃に一枚の葉書が舞い込んだ。
ああ、噂に聞いていた高齢者講習か?
とうとう俺もそんな年になったか?
ついこの前まで(と言っても既に5年経つが)ドイツのニュルブルクリンク・サーキットでBMWのM3を駆ってブリブリ走っていたのが、最近は高速走行(あくまでも法定速度以内ですぞ!)や夜間走行に多少怖気づいていたのは事実であり、『まあ、矢張り寄る年波には勝てないな。』とは思っていたが、高齢者講習かい?
この高齢者講習にパスしないと免許の更新が出来ないので仕方ない。直ぐに申し込んだが希望の日が予約一杯でようやく先週、それが実現した。
近くの自動車教習所に午後1時過ぎに集まって1組4人の2組合計8人で講習を受けたのだが、まああれは屈辱物ですな。30分掛けて動体・夜間視力と視野をテストするのだが、昔サーキットで走り回った筆者にはちゃんちゃらおかしい。先生が『どうして視野がこんなに広いんだろう?』と訝しげに呟く。
知るかい。
70歳の平均視野角は約150らしいのだが、私の目は驚異の184度。動体視力結果も30~59歳平均に相当するらしい。
その後、教習所のコースで外周やクランクを回ったり、車庫入れをするのだがこれまたちゃんちゃらおかしい。『何だ、馬鹿にしやがって!』と思って自分のペースで走ろうとしたら助手席に座っている先生がブレーキを踏んで(教習所の車には助手席にもブレーキが付いている。)『そ、そんなに速く行かなくても結構です!ゆっくり行って下さい。』と叫んだ。
まあ仕方ないわな。
確かに他の3人の生徒の内2人は、本当に運転が下手糞だ!速度は遅いのに外周を回る時は大きく外に膨らみ、クランク走行の時は内側の縁石に乗り上げている。こんなじじーと一緒にされたんじゃあ叶わないなあ・・・。
最後にとうとうと最近高齢者の事故が如何に増加しているかを説明し、『ご自分が運転は上手いと思っても貰い事故もありますから。』とまるで筆者に嫌味を言う感じで高齢者講習は終わった。勿論めでたく試験はパスしたが、本当に不愉快な講習であった。
最近の車には低速でアクセルとブレーキを踏み間違えても急発進しない様な装置とか高速道路では前の車を等間隔で追尾して追突しない安全装置が付いている。あれは優れものであります。
テストの結果は良かったが、まあ高齢者であることは紛れもない事実。気を付けて運転する事にしよう!

酒匂隆雄 さこう・たかお
酒匂・エフエックス・アドバイザリー 代表
1970年に北海道大学を卒業後、国内外の主要銀行で為替ディーラーとして外国為替業務に従事。
その後1992年に、スイス・ユニオン銀行東京支店にファースト・バイス・プレジデントとして入行。
さらに1998年には、スイス銀行との合併に伴いUBS銀行となった同行の外国為替部長、東京支店長と歴任。
現在は、酒匂・エフエックス・アドバイザリーの代表、日本フォレックスクラブの名誉会員。
