
国内外の銀行で為替ディーラーとして活躍され、その華麗な取引手腕から「貴公子」と称された酒匂隆雄さん。為替ディーラーの第一人者の顔とは別に、レーシング、海外旅行、ワイン・グルメに温泉旅行と、様々な趣味をお持ちで、人生を楽しく過ごすことに関しても一流人です。
このコンテンツでは、楽しい話題や日々の生活、たまには為替マーケットについて語っていただきます。
2週続けて真面目な話をしたので、今週は旅の話でも。
立冬も過ぎ、暦の上ではもはや冬だ。ついこの間まで「暑い、暑い!」と文句を言っていたのが嘘みたいだ。8月生まれの夏男にとって冬は好きではない。
でも夏から冬になるまでの短い秋は好きだな。なにせ食べ物と日本酒(秋にだけ飲める冷やおろし)が美味しい。そこで先週美味しい物(河豚:ふぐ)を食べて、美味しい酒(塩釜の浦霞と新潟の繋ぐの冷やおろし)を飲むために淡路島に出掛けた。
もちろん、温泉付き。大阪在住の友人が全てアレンジしてくれたのでこちらは行って、食って、飲んでそして温泉に入るだけの楽しい旅であった。
淡路島の温泉はうずしお温泉と言われて炭酸イオン水素を沢山含んでいるらしく、なんだかお湯がぬるぬるしていている感じがして「あれっ?」と思う。
そして少しお湯に浸かっていると身体がポカポカしてきて肌がツルツルになっている。筆者は年寄の宿命で乾燥肌であり、特に冬が近付くと肌がカサカサになってしまい、恥ずかしながら保湿クリームを付けなくてはならない。
ところがどうだ。このジージの肌もツルツルになっているではないか?「ベッピン湯」とも呼ばれるこの湯に入るとクリームなんて物は不要である。

ゆっくりとお湯に入った後は淡路島名物の河豚だ。「てっさ」と呼ばれる刺身、白子が入った茶碗蒸し、唐揚げ、そして鍋を頂く。
筆者は料理とかはまるっきりダメなのであるが、鍋はうるさい。いわゆる「鍋奉行」と言う奴である。鍋に材料を入れる順番があるんですよ。
まずは骨、そして少し身の付いた「あら」を入れ沸騰させ、灰汁を取る。そして白菜、豆腐、茸を入れて骨やあらを食べ始める。少し煮立ったら此処で肉を入れるが煮過ぎてはだめ。
人数分だけ煮て皆に配る。ここら辺が鍋奉行の腕の見せ所である。最後に春菊をさっと入れて食べるが苦くて嫌だ。
さあおじやだ。出汁が多めの「ペシャペシャ」が好いか、それとも多少煮込んだ「トロトロ」が好いかと聞くと半々に分かれたので奉行の独断で「ペシャペシャ」にすることにした。
塩を少々加えくつくつと似て溶いた卵を入れ、30秒間蓋をする。
さあ出来上がり!
ポン酢と海苔を掛けて、さあ召し上がれ。
今晩、鍋を食べたくなったでしょ?

「翌日はかんちょうです」と幹事が言うので一瞬ぎょっとしたが「観潮」である。そう、鳴門海峡の渦潮を観るのである。
幹事の計らいで大きな船ではなくクルーザーの様な小さな舟をチャーターしたのだが、凄く迫力があった。瀬戸内海と太平洋の潮の満ち引きの時間の差で潮が何方かに流れ込む時に大きな渦を生むらしい。この渦潮で揉まれて育つ明石の鯛は抜群に美味しいらしい。
実は、観潮の前に淡路島は「なさじき」と言う季節の花が綺麗な場所に行ったのだが、これまた凄かった。筆者と花はまあ似ても似つかない相反する代物であるが、綺麗な物は綺麗だと認めざるを得ない。つい調子に乗って花の前でパチリ!ちょっとかっこ付け過ぎたかな?
結論。
淡路島、とてもいいとこ一度はおいで。
食べ物良し、温泉良し、景色良し。後は誰と行くかですな?
それは知らん。

酒匂隆雄 さこう・たかお
酒匂・エフエックス・アドバイザリー 代表
1970年に北海道大学を卒業後、国内外の主要銀行で為替ディーラーとして外国為替業務に従事。
その後1992年に、スイス・ユニオン銀行東京支店にファースト・バイス・プレジデントとして入行。
さらに1998年には、スイス銀行との合併に伴いUBS銀行となった同行の外国為替部長、東京支店長と歴任。
現在は、酒匂・エフエックス・アドバイザリーの代表、日本フォレックスクラブの名誉会員。
