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酒匂隆雄が語る「畢生の遊楽三昧」 第131回
  
公開日:2018年3月27日

国内外の銀行で為替ディーラーとして活躍され、その華麗な取引手腕から「貴公子」と称された酒匂隆雄さん。為替ディーラーの第一人者の顔とは別に、レーシング、海外旅行、ワイン・グルメに温泉旅行と、様々な趣味をお持ちで、人生を楽しく過ごすことに関しても一流人です。

このコンテンツでは、楽しい話題や日々の生活、たまには為替マーケットについて語っていただきます。

置き去り事件と牛タンの謎

さて、過去2週間に渡って約15年前の高松と仙台の逸話の話をしてきたが、仙台でのパンツ事件の後の話もしておこう。

仙台での講演が無事に終わり、パンツは盗られたものの「ご苦労様でした。」と言う事で確か総勢5~6名だったと思うが講演に携わったスタッフ全員が集まって宿で大宴会が始まった。

仲居さんが「お飲み物は何に致しましょうか?」と訊くので「ビール100本!」と言ったら「ひゃ、100本ですか?」と素っ頓狂な声を上げてびっくりしている。失礼ながら東北の方々は純朴で冗談が通じない。

「取り敢えず8本持って来てね。」と言うとほっと安心してビールを持って来た。実は筆者はビールが好きではなくて殆ど飲まない。「次に日本酒を飲みたいんだけど、どんなのがあるんですか?」と訊くと、余り日本酒には詳しくないらしく酒のリストを見せながら「さあ、どれに致しましょうか?」と不安顔である。

大好きな塩釜の浦霞・禅があるではないか?「これ10本持って来て。」と言うと「じ、10本ですか?」とまたたまげている。全く冗談が通じやしない。「取り敢えず2本持って来てね。」と言うとほっと安心して浦霞・禅を持って来た。この酒は旨い。

東北の食べ物と酒は美味しいですね。食べる程に、飲む程に皆ご機嫌になってきて軽口を叩いている。筆者はカラオケが嫌いで(実は歌えないので)宴会は割合早く終わった。

スタッフの中にそんなに酒に強くない輩(T君としよう。)が居り、宴の途中から居眠りをしていた。講演の準備、後片付けで疲れたのであろうか?T君は席から少し後ろに下がって柱に寄り掛かって本格的に眠り始めた。

時間は午後9時くらいであっただろうか、S氏が「さあ、そろそろ引き上げようか?ご苦労様。」と言い皆が席を立ち始めたが、誰もT君を起こそうとはしない。S氏が言った、「可哀想だからこのまま寝かせといてやろう。電気も消して行こうか」。皆疲れていたのであろうか、その晩はそのまま眠りについた。

翌朝大広間に集まって朝食が始まったが、何か雰囲気が重苦しい。仲居さんが妙によそよそしいのだ。S氏が言った、「ビールを100本お願いしまーす」。そして筆者が「あ、アサヒビールにしてね。ビールは嫌いだけどアサヒビールだったら飲むんだ。」と言った。

むすっとして仲居さんが本気で答えた、「同じ銘柄のビールが100本あるかどうか分かりません」。

「取り敢えず8本持って来てね。」と言うと無言でアサヒビールを8本持って来た。

どうも雰囲気が重いぞ。朝からビールを飲むのを訝っているのかと思ったらそうではなく、「関東の人は冷たい・・・。」とか何とか言っている。「え、どうしたの?」と訊いたら「昨日片づけに行ったら部屋が暗くなっていて若いお客さんが一人で寝ていた。可哀想に。どうして皆さんが引き上げる時に起こしてあげないんですか?本当に関東の人は冷たい。」とまたぶつぶつ言っている。

何だ、そうか?

言ってあげた。

「いや、むしろあの時に起こすのが可哀想なんです。そっとして寝かしてやっていたのは親心なんです。」とS氏の顔を見ながら話すと仲居さん、どうも納得が行かないみたいだった。

勿論筆者とS氏は分からない様にして下を向いてクスクス笑っていたのだが。皆さん、勿論これは親心なんぞではなく、ただの悪戯ですよ!

仙台の講演も色々あったが無事に終了した。前の晩にパンツ盗難事件で恐縮していた女将や『冷たい。』と罵られた仲居さん達に見送られて仙台駅に向かった。そしてその後事件ではないのだが、『牛タンの謎』が解けることになった。

講演の当日、新幹線で仙台駅に着き、講演会の会場に行く途中のタクシーの中で運転手さんに質問した。

「牛タンはどうして仙台名物なんですか?」

何と返事が無い。普段は紳士で大人しい筆者なのだが、一つ許せない事がある。こちらからの呼び掛けに返事をしない奴が許せないのである。タクシーで行き先を言って知らん顔をされるともう許せない。「何で返事をしないんだよ!」と文句を言う。

失敗もある。

もう30年以上も前になるのだが、雨の日に有楽町から銀座の近距離に友人を食事に連れて行く事になった。あの頃はタクシーは近距離客を嫌がり、露骨に嫌な顔をする運転手が居た。やっとタクシーを捕まえ、恐る恐る「近くで申し訳ないけど、銀座○丁目に行ってくれますか?」と言ったら、返事が無い。

ん?

こう言うの駄目なんです。

「おい、何で返事をしないんだよ!」と怒鳴った。隣の友人が「まあまあ。」と宥めるのだが勘弁ならない。「返事くらいしたって良いだろうに!」と再び怒鳴ると、よく見たらマスクをしていた運転手がか細い声で答えた。

「あのう、風邪を引いていて声が出ないんです。申し訳ありません。」

ありゃあー。筆者はこういう時は変わり身が早い。「あっ、そう。怒鳴ってご免ね。お大事にね。」と言うと隣の友人が大笑いしている。「酒匂さんらしいや!」。その友人とは今でも時々会っているのだが、必ずこの話を出しやがる。

あ、それで仙台の話に戻るがS氏がそっと「酒匂さん、東北の人はシャイな人が多いから余り話したがらないんじゃないんですか?」と耳打ちする。

そうか、分かった。

宿の仲居さんに同じ質問をしても「さあ、どうしてでしょうね?」と誰も答えを教えてくれない。おかしいなあ、何で牛タンはどうして仙台名物なんだろうか?

結局分からないまま仙台駅の売店で『特製牛タン』を買って新幹線のグリーン車に乗り込んだ。前の席の背もたれにパンフレットの様な物があり、ぱらぱらとページをめくると『仙台・牛タンの歴史』とあり、どうして牛タンが仙台名物になったかが書いてあり、「何だ、そう言う事だったのか!」とS氏と顔を見合わせてほっとした。

そこには、牛タンは戦後進駐してきたアメリカの軍人が食べ残した牛肉の余り物であったと言う様な記述があり、少し暗い歴史があるのかと持ったのだが、どうもそうでもないらしい。

そもそも米軍が日本産の牛肉を食べていた可能性は低く、殆どの牛肉は本国から輸送されていて、牛タンが『残り物』であったと言うのは信憑性に欠けるらしいのだ。

よくは分からないが、仙台の人が牛タンの質問に対して口が重いのは、別に歴史的な背景によるものではなく、単純に皆さんが無口なだけかも知れないな。


さて「今宵はここら辺で良かろうかい。チェスト!」


ps.
皆さん、現在日曜日に放映中のNHK大河ドラマ「せごどん」をご覧になっていますか?これは鹿児島の英雄西郷隆盛の話なのだが薩摩言葉が実に懐かしい。

筆者は鹿児島に住んだことは無いのだが両親ともに鹿児島出身で物の考え方、子供の躾の仕方、目上に対する接し方、その他諸々鹿児島流である。ウチのご先祖様は13世紀に島津氏が関東から薩摩へ配置換えになった時に、島津家と一緒に現在の小田原から鹿児島に付いて行って守護代まで務めた島津家の家来で、この「せごどん」が殊の外楽しみなのである。

>『酒匂氏



酒匂隆雄氏プロフィール

酒匂隆雄  さこう・たかお

酒匂・エフエックス・アドバイザリー 代表

1970年に北海道大学を卒業後、国内外の主要銀行で為替ディーラーとして外国為替業務に従事。
その後1992年に、スイス・ユニオン銀行東京支店にファースト・バイス・プレジデントとして入行。
さらに1998年には、スイス銀行との合併に伴いUBS銀行となった同行の外国為替部長、東京支店長と歴任。
現在は、酒匂・エフエックス・アドバイザリーの代表、日本フォレックスクラブの名誉会員。

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