
国内外の銀行で為替ディーラーとして活躍され、その華麗な取引手腕から「貴公子」と称された酒匂隆雄さん。為替ディーラーの第一人者の顔とは別に、レーシング、海外旅行、ワイン・グルメに温泉旅行と、様々な趣味をお持ちで、人生を楽しく過ごすことに関しても一流人です。
このコンテンツでは、楽しい話題や日々の生活、たまには為替マーケットについて語っていただきます。
先週末、香港に出掛けて来た。沙田(シャーティーン)競馬場で年に一度開催される香港国際競走を見に行く為である。
普通人々は競馬には馬券を買って、そして勝って一儲けする為に行くのであろうが残念ながら筆者は競馬は知らないし、なにしろ人生を会社の金でギャンブルし続けた(銀行で為替取引を行った事。)ので個人的にはギャンブルは麻雀以外やった事は無い。
どうでもいいが筆者は麻雀強いですよ。
何年か前にトレトレさんの社員旅行にお招き頂いて明け方まで麻雀をやって大勝ちし、「もう二度とやりたくない。」と言った人がいたな。腕に自信のある方は何時でもチャレンジ為さって下さい。
実は今回の香港行きには違う理由があった。最近、海外旅行に行く機会が減ってJALのあるレベルのステータス(1年間しか有効ではない)を維持する距離に5千マイル位足りない。
既に1984年からGlobal Clubのメンバーで、また累計搭乗マイルが100万マイルを超えてFive Starsのメンバーでもあり、
‐保有するマイルの有効期限が無い。
‐3等親の家族までマイルが使える。
などの特典は変わらないのだが、やはりステータスを維持しておきたい。
そこで11月の中旬に30年来の友人で大の仲良しの香港在住のSさんに「東京~香港をJALで往復したいんです。何か12月にイベント有るんだったらそれに便乗したいんですけど。」と言ったら即座に「有りますよ!12月10日に香港で競馬の重賞レースがあります。それに参加しませんか?」とのお誘いを受けた。
即、決まり!
生憎羽田発着便のビジネスクラスがいっぱいで成田発着となったが、そんなことは全く厭わない。マイレージ取得が大事なのだ。土曜日の夜遅く着き、Sさんに素敵なバー「BAR Buonasera - ボナセーラ」に連れて行って頂いて香港の夜は更けていく。
※「Bar Buonasera」地球の歩き方でも紹介されております。
> 地球の歩き方 - 日本人が経営するバー

さて日曜日は10時に集合して競馬場に出発。
そして驚いた!頭に派手な帽子を被り、礼装した女性を連れた外国人がたくさんいる。うん、競馬はかつて香港の宗主国であった英国では紳士淑女の集まる社交場であったわい。まあ、我々には関係ない。パドックを横切ると日本の国旗が掲揚されていた。日本の馬や騎手も参加しているらしい。
お土産に素敵な帽子を貰ったが、日本の馬主であるT将軍に献上するとしよう。
競馬場は未だ始まる前から大盛況。実は今回の競馬がそんなに大それたイベントだとは知らなかった。
我々はVIPルームに通されてワインは白、赤何でも飲み放題。割合いいカリフォルニアのシャルドネとカベルネ・ソーヴィニョンがあり、嫌いではないのでたくさん頂いた。食事はビュッフェスタイルで、そこいらのホテルのビュッフェとは格段に違って美味しい!ソバやローストビーフ、何でも美味しい。
お昼過ぎには一般ピープルの方々の席も満杯となって来たぞ!
VIPルームからは直接レースも見られてその迫力を楽しむことが出来るが目の前には刻々と変わる各馬のオッズを見る事が出来るボードがあり、プロはこれを見ながら締め切り数分前まで考えるのだそうな。
おっ、武豊騎手も出て来たぞ。
筆者は競馬は素人で賭け方も知らなかったのだが同行した香港人が「このジョッキーは勝敗の波はあるけど凄いんだよ。」と言っていたので、そのジョッキーが乗る馬をPlaceと言う3着までに入れば配当を貰える馬券を買ったら何と3連勝。
ところがやはり配当は低い。大体、1.5倍から2倍位の配当しか付かない。
良しと思ってWinと言う単勝式馬券に掛けたらその後連敗。確率の高い馬券(Place)を買えば配当は少ないのは当然。大きい配当を狙って確率の低い馬券(Win)を買えば中々当たらない。
至極当然の結果である。
暫くお休みして最後の10レースで初めて同じ馬(勿論最初勝たせてくれたジョッキーの乗る馬)の単勝のWinと複勝のPlaceを買ったらこの馬が入り、両方とも頂き。
おそらくこの賭け方は素人のやり方だと思うのだが、その心は
‐1着に入ればWinで配当が多い。
‐1着に入らなくても3着以内に入れば投下資金位は帰って来てチャラになるだろう。
との思惑である。
当たった、外れた、と大騒ぎしていたのだが、もちろん勝ったので凄く嬉しかった。
ところが馬券を見てふと気付いた。HKD100を賭けていたのだが、要するに一回日本円で1500円を賭けていたのであって『勝っても負けても、どうって事は無い。』金額で騒いでいたのだ・・・。
ふと正気に戻って「俺もちっちぇーなー。」と呟いた。
カウンター(VIP席の直ぐ真ん前に馬券売り場がある)で勝ち馬券を換金する時に、最初に賭け方を教えてくれた片言日本語を話すおばちゃんが「おめでとーね。」と言ってくれたことが嬉しかった。
おそらく数千ドル、数万ドルを賭けて勝負する人が多いだろうに、たった100ドルを賭ける素人にも本当に優しく接してくれたおばちゃんは嬉しかった。
こう言うチャンスはもう無いかも知れないが、本当に良い経験をした。
Sさん、有り難う御座いました!!

酒匂隆雄 さこう・たかお
酒匂・エフエックス・アドバイザリー 代表
1970年に北海道大学を卒業後、国内外の主要銀行で為替ディーラーとして外国為替業務に従事。
その後1992年に、スイス・ユニオン銀行東京支店にファースト・バイス・プレジデントとして入行。
さらに1998年には、スイス銀行との合併に伴いUBS銀行となった同行の外国為替部長、東京支店長と歴任。
現在は、酒匂・エフエックス・アドバイザリーの代表、日本フォレックスクラブの名誉会員。
