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センチメントの変化。|為替ランドスケープ 2021年5月号
公開日:2021年5月06日

センチメントの変化

前回のランドスケープでは、バイデン政権による財政支出、FRB.による金融緩和政策継続、そしてコロナ後の景気回復を期待しての"株高、金利高(債券安)、そしてドル高。"と言うテーマでの話をしたが、4月に入ってから市場のセンチメントに変化が見られ始めた。

株価は相変わらず堅調で、ニューヨーク株式市場ではダウ、ナスダック、そしてS&P.の3指数共に最高値を更新し、日経平均株価もつれ高となって一時3万円の大台を回復したが、ドルは主要通貨に対して下落した。

チャート上からは112円を目指すと見られていたドル・円相場も一転して下げに転じて一時安値107.48を示現した。

(ドル・円相場の2020年1月からの日足ローソク足チャート)

ドル下落の最大の要因は米国長期金利の下落である。

米国10年債利回りは3月末には一時1.777%まで上昇し、このままでは2%近くまで上昇するとの意見も有ったが、4月に入って急に下落に転じて一時1.5%を切る場面も見られた。

ドル/円ユーロ/ドルポンド/ドル米国10年債利回りダウ平均
3月31日始値 110.70 1.1729 1.3784 1.744% 32,981.55
4月30日終値 109.33 1.2020 1.3814 1.625% 33,874.85

バイデン政権による財政支出、FRBによる金融緩和政策継続、そしてコロナ後の景気回復への期待は全く変わっておらず、株価堅調地合いは続いているのだが債券市場では機関投資家による債券買いが起きて債券価格上昇=金利下落の現象が起きた。

聞くところによると1年近く1%割れの低利が続いていた米国10年債の1.7~1.8%への利回り上昇は、S&Pの平均配当利回りである1.4~1.5%から比べても魅力的なものであるらしい。

機関投資家が金利上昇局面(債券価格下落)で債券の買いを続ける様であれば、3月に懸念された様な急激な金利上昇は有るまい。

となると急激なドルの上昇も考えられないかも知れない。

"市場のセンチメントの変化。"と言ってしまえばそれまでだが、筆者が永年重用してきたファンダメンタルズ(経済的基礎要因)分析では中々その変化を嗅ぎ取る事が難しい。

実は先月号でも"ドル・円が106円を上切ってからの上昇ピッチには過熱感が有る。"と述べたが、この様な"相場の動きのピッチが速いのではないか?"などの時間的分析とか、"相場は買われ過ぎなのではないか?"などの需給分析を含めたテクニカル分析の重要性を痛感する。

じつはその"買われ過ぎ"や"売られ過ぎ"を表すRSIは、3月31日に110.96の高値を示現した3日後に"買われ過ぎ"のサインを出して売り推奨をしていた。

下のチャートの下向きの青い矢印をご参照頂きたい。

外為ドットコム社のページから参照しました。)

正直言って筆者の様に永らく為替に携わっている老頭児(ロートル)はテクニカル分析にからきし弱い。

言い訳をすれば、今でこそFX会社が様々なテクニカル分析を提供してくれるが、昔はせいぜい好き者(失礼!)が方眼紙に日足のローソク足を買い足して、まるでふんどしの様に長い紙を眺めていて"此奴、何をやってんだ。"と思っていたが、今は移動平均線、ボリンジャー・バンド、一目均衡表、MACD、ストキャスティクス、そして上でご紹介した様なRSIなどの分析を24時間、365日見ることが出来る。

筆者が最近最も注目しているのは毎月定期的に"ゴールデン・アワー"と銘打って行っている対談相手のエルビス・川口さんが得意とするペンタゴン・チャートである。

ペンタゴン・チャートとは、正五角形であるペンタゴンをローソク足などのチャートの上に重ねることで、上値や下値の節目を分析したり、それぞれの銘柄の変化日を分析するテクニカル・ツールであり、3月から2ヶ月間試験的にトレードに使用しているのだが、極めて使い勝手は良いし成績も中々の物である。

(上記画像はペンタゴンチャートの例え)

勿論、ペンタゴン・チャートは万能ではない。

ペンタゴン・チャートはトレンド・フォローなので一方向へのトレンドが形成されると大きく取れるが、持ち合いのレンジ取引になるとからきし駄目だ。

実は上でご紹介した移動平均線、ボリンジャー・バンド、一目均衡表、MACD、ストキャスティクス、そしてRSIなどのどれ一つとっても万能なツールは無い。

しょっちゅう、所謂"ダマシ"と言われる間違った推奨をしてくるので、妄信してトレードするとやられることも多い。

そこで川口さんのペンタゴン・チャートを重視ながら、同時にファンダメンタルズ分析や他のテクニカル分析、例えば移動平均線、ボリンジャー・バンド、一目均衡表、MACD、ストキャスティクス、そしてRSIなどの分析を加えて相場を考える"寺子屋。"みたいなコミュニティーを作ろうかと考えている。

そもそも他人に自分のやり方や考えを押し付けるのは不本意なのだが、"寺子屋で皆で一緒に勉強しよう。"と言う考えは面白そうではないか?

どうやってやるかは未だ決まっていないが、乞うご期待!

さて、ゴールデン・ウィーク明けの5月の相場であるが株式市場ではSell in May.=(5月に売れ。)と言うアノマリー(ある法則・理論から見て異常であったり、説明出来ない事象。まあ簡単に言うと、よく分からないけどそう言う傾向が有ると言う認識。)が有る。

高値警戒感が漂う株式相場にある程度の調整が起きても不思議ではない。

そうなった場合、リスク・オフとなって債券が買われて長期金利が下がれば4月に見られた様なドルの下落が有るかも知れないが、好調な米国経済を反映してのドル高も考えられる。

上でも述べた様に幾ら考えてもよく分からない時はテクニカル分析を参考にするのも大事な戦略。

最近好きな言葉は"長い物には巻かれろ。"である。

普段の生活では絶対に変な妥協はしないことをモットーとしているが、相場で此れをやっていたら命が、いや金が幾ら有っても足りない。

"長い物には巻かれろ。"とは、"トレンドに逆らうな。"と言う意味である。

頑張りましょう!



酒匂隆雄氏プロフィール

酒匂隆雄 さこう・たかお

酒匂・エフエックス・アドバイザリー 代表

1970年に北海道大学を卒業後、国内外の主要銀行で為替ディーラーとして外国為替業務に従事。
その後1992年に、スイス・ユニオン銀行東京支店にファースト・バイス・プレジデントとして入行。
さらに1998年には、スイス銀行との合併に伴いUBS銀行となった同行の外国為替部長、東京支店長と歴任。
現在は、酒匂・エフエックス・アドバイザリーの代表、日本フォレックスクラブの名誉会員。

トレードトレードブログ:
酒匂隆雄が語る「畢生の遊楽三昧」

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