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株高、金利高(債券安)、そしてドル高。|為替ランドスケープ 2021年4月号
公開日:2021年4月01日

株高、金利高(債券安)、そしてドル高。

ニューヨーク株式市場の騰勢が止まらない。

ハイテク株を中心に構成されるナスダックは米国長期金利の上下などに応じて3月11日に最高値を更新した後安定した動きを見せており、ダウ30種平均とS&P.は先週金曜日に最高値を更新した。

バイデン政権による果敢な財政出動を好感して市場では株の買い安心感が漂う。

債券市場では債券が売られて金利は上昇し、10年債利回りは1.7%を超えるまで上昇した。

昨年末から今年の年初に掛けて金融市場では2021年の相場を、

-FRB.による金融緩和政策の継続。
-バイデン政権による財政支出の拡大。

により、ニューヨーク株式市場の株価上昇、米国長期金利上昇、そしてドル安を見込む向きが多かったが株価と金利上昇の読みは当たったものの、ドルの下落予想は大きく外れて対ポンド以外ではドル高(その他通貨安)が進んだ。

ポンド高はEU.からの離脱のBrexit.問題が解決してポンドの買戻しが入り、また新型コロナ・ウィルスに対する英国内のワクチン接種の進捗状況を好感してポンド高を演出している感じがする。

年初と3月31日の主要通貨の動きを見てみると、

ドル・円ユーロ・ドルポンド・ドル豪ドル・ドルNZドル・ドル
1月4日
始値
103.07 1.2239 1.3646 0.7701 0.7187
3月31日
終値
110.70 1.1729 1.3784 0.7594 0.6981
(+7.4%) (-4.2%) (+1.0%) (-1.4%) (-2.9%)

となり、ドル・円の突出した上昇が目立つ。

ドル・円に関しては21日移動平均線平均線がサポート(下値支持線)となり、90日移動平均線である104円台のミドル、そして200日移動平均線である105円台ミドルを上切ってからはチャート上のレジスタンス(上値抵抗線)が見当たらない状況が進み、次のターゲットとして昨年のコロナ・ショックの後の戻り高値である111.71、そしてこれを超えれば昨年の高値である112.22を目指すと言われ始めた。

(ドル・円相場の2020年1月からの日足ローソク足チャート。青線が21日、緑線が90日、赤線が200日移動平均線を示す。)
※画像クリックで拡大します

4月になり新年度に入ったが、筆者を含めて市場の多くの参加者の予想とは裏腹にドル・円相場が第一四半期に上昇した背景を考えてみると、

-米国長期金利が急上昇した。
バイデン新政権による大規模財政支出により債券が売られて金利が上昇することは予想されていたのだが、此処までの急ピッチの上昇を予想する向きは少なかった。

機関投資家による株買い&債券売りが進み株価が上昇して債券安(金利高)となる中、FRB.が長期金利上昇容認のスタンスを見せたことも金利上昇に拍車を掛けた。

そして、米国金利動向に最も敏感なドル・円が買われる結果となった。

 

-原油価格が上昇して我が国国際収支悪化の懸念が広がった。
年初47ドル台だった原油価格が3月に入って一時66ドル台を付けたが此れは凡そ40%の原油価格高騰である。

原油価格上昇は輸入代金増加となって我が国の国際収支を悪化させる。

原油輸入の殆どを海外に頼る我が国にとっては極めて悪材料となり、円売りに拍車が掛った。

 

―アフター・コロナ。
市場はコロナ後の経済回復のシナリオを描き始めたが、ワクチン接種率を一種のベンチマーク(比較の為に用いる指標。)と見ている。

我が国の接種率は先進国中最下位であり、自ずから我が国の経済回復に対して期待が持てない雰囲気が有る。

最新のデータによると人口100万人当たりのワクチン接種者数を見ると、英国50万8千人、アメリカ44万6千人、フランス16万4千人、ドイツ16万1千人に対して何と我が国の接種者数は僅か7千5百人。

まあ、開いた口が塞がらない。

そう言えば、我々高齢者には早目にワクチン接種を促し、4月中には接種が始まると聞いたが医療従事者の方々と今月訪米する菅首相の接種のニュース以外、何の音沙汰も無い。

 

緊急事態宣言は解除されたがウィルス感染者数は一向に減らない。

毎日の様にコロナ・ウィルスにより打撃を被っている飲食や旅行関係従事者の皆さんの悲鳴を聞くが、これでは経済回復なんて望むべくも有るまい。

ドル・円が106円を上切ってからの上昇ピッチには過熱感が有るが、上に述べた理由などにより今暫くはドルの堅調は続きそうである。

但し留意すべきは市場が囃し立てるバイデン政権の果敢な財政出には必ず付けが回ってくると言う事だ。

そう、財政赤字の増加である。

既にアメリカが抱える昔からの問題である双子の赤字(貿易赤字と財政赤字)問題がクローズ・アップされ始めた。

バイデン政権は大盤振る舞いした財政支出の財源確保の為に必ずや増税が必要となり、これは株価にとって大きな悪材料となる。

新大統領が誕生してそろそろハネムーン(新大統領が誕生して100日間は新政権に対する批判や性急な評価を避ける紳士協定の様な物が存在する。)も終わり、市場も新政権の方策の"いいとこ取り。"ばかりをやっている訳には行くまい。

大きくドル買いに傾いた市場のセンチメントが変わるとすれば増税などを嫌気してニューヨーク株式市場に調整が入る事であろうか?

桜の満開も過ぎて本格的な春の訪れとなったが、"春の嵐"に気を付けたい。



酒匂隆雄氏プロフィール

酒匂隆雄 さこう・たかお

酒匂・エフエックス・アドバイザリー 代表

1970年に北海道大学を卒業後、国内外の主要銀行で為替ディーラーとして外国為替業務に従事。
その後1992年に、スイス・ユニオン銀行東京支店にファースト・バイス・プレジデントとして入行。
さらに1998年には、スイス銀行との合併に伴いUBS銀行となった同行の外国為替部長、東京支店長と歴任。
現在は、酒匂・エフエックス・アドバイザリーの代表、日本フォレックスクラブの名誉会員。

トレードトレードブログ:
酒匂隆雄が語る「畢生の遊楽三昧」

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