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米大統領選挙が終わって。|為替ランドスケープ 2020年12月号
公開日:2020年12月01日

注目の米大統領選挙が終わり、大方の予想通りバイデン民主党候補が勝利を確定した。

"勝利した。"ではなく"勝利を確定した。"としたのは依然として現職のトランプ大統領が敗戦を認めず、選挙に不正が有ったと法廷闘争を続けているからである。

只、最終的に連邦最高裁判所に持ち込もうとの魂胆も空しく、州高裁レベルで相次いで控訴の棄却が進んでおり遅かれ早かれトランプ大統領は負けを認めることになるであろう。

同時に行われた議会選挙は予想通り下院は民主党が過半数を維持したが上院では未だ決着が付いておらず、上院の主導権争いの行方は、1月にジョージア州で行われる2議席の決選投票に持ち越される公算であるが市場は共和党有利と見ている様だ。

金融市場はバイデン新大統領誕生を確信してのポジショニング(ある結果を見越してその方向に投資を行う。)を始めたが、その結果世界中の株価は大きく上昇してドルは下落した。

選挙前日の11月2日と11月30日の日米株価と主要通貨の一か月間の値動き(終値)を比較すると、

日付ダウナスダックS&P日経平均ドル・円ユーロ・ドルポンド・ドル
11/2 26,925.05 10,957.61 3,310.24 23,295.48 104.75 1.1638 1.2918
11/30 29,638.34 12,198.74 3,621.63 26,433.62 104.35 1.1924 1.3323
  +10.1% +11.3% +9.4% +13.5% -0.4% +2.5% +3.1%

と株価は10%、或いはそれ以上の急騰を見せる中、ドルは小幅下落した。

選挙前に市場が描いていたシナリオは幾つか有ったが、

"バイデン新大統領が誕生するが共和党が上院の過半数を維持。下院の民主党過半数は変わらず。"のケースは、
"議会のねじれ現象が続き、増税案と財政出動案協議が停滞する。

考えられる市場の反応は株価は財政出動案協議の停滞を嫌気して下落、リスク・オフとなって長期金利は下落し、ドルは上昇。"

と言うものであったが、上院の決着が付いてはいないものの、蓋を開けてみると株価は大幅上昇してドルは小幅下落して市場予想は外れた。

そう言えば4年前の大統領選挙の折もトランプ大統領誕生なら金融市場は大混乱となって株価、ドル共に大幅に下げるであろうとの予想であったが、その後株価もドルも大きく上昇した。

此処まで2度も予想と違う動きを見せられると、我ながら呆れてしまう..

驚く程の米国株価上昇の背景としてはバイデン新政権による果敢な財政支出とFRB.による金融緩和継続により市場で資金が潤沢となり、それが株式市場に流れるとの期待が有るがそれが回り回って我が国の日経平均株価をも押し上げるのは余り合点が行かない。

果敢な財政支出とFRB.による金融緩和継続は株価にとってプラス要因であることは間違いないが、同時に低金利下の市場での金余りをも意味しており、自ずからその金(ドル)は売られることになるのであろう。

今年もあとひと月を残すだけとなり、大手米銀や証券会社が相次いで来年の為替予想を打ち出しているが、来年ドルが上昇すると予想する向きは皆無である。

多くが来年ドルの価値は20%近く減価すると見ており、現状の相場から逆算するとドル・円は凡そ84円前後、ユーロ・ドルは1.43、ポンド・ドルは1.60とぎょっとする様なレベルとなる。

これらの予想は各社のエコノミストやストラタジストが頭を捻って考えたHouse View.=(会社の代表的な意見)であり、これらのView.は元為替ディーラーの筆者から言わせると経験的に"机上の空論"に近い物であるのだが、今回ばかりは"そうだよな。"と同感せざるを得ない。

ここ数年のドル・円相場はおおむね105~115円のレンジ内に留まっていて、極端なドル安&円高に目が慣れていないが安倍政権が発足する前の2010~2012年にはドル・円相場は80円前後で低位安定していたことをすっかり忘れてしまっている。

その後アベノミクスの三本の矢(大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略)とやらが功を奏して低金利のまま円安が進んだが、来年に掛けてドル安が進めば2010~2012年から比べて30%も安くなった現在の円相場がSustainable.=(持続可能)かどうかは分からない。

来年の相場を語るには未だちと早いが、大きなドル安の流れが襲って来るのであればドル・円相場も100円割れはおろか90円近くまでのドル安&円高になる可能性についても考えておいた方が良いかも知れない。

我々が言うSell on rallies.=(ドルが上がれば売る。)と言う戦略を考えてみたい。



酒匂隆雄氏プロフィール

酒匂隆雄 さこう・たかお

酒匂・エフエックス・アドバイザリー 代表

1970年に北海道大学を卒業後、国内外の主要銀行で為替ディーラーとして外国為替業務に従事。
その後1992年に、スイス・ユニオン銀行東京支店にファースト・バイス・プレジデントとして入行。
さらに1998年には、スイス銀行との合併に伴いUBS銀行となった同行の外国為替部長、東京支店長と歴任。
現在は、酒匂・エフエックス・アドバイザリーの代表、日本フォレックスクラブの名誉会員。

トレードトレードブログ:
酒匂隆雄が語る「畢生の遊楽三昧」

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