HOME > 酒匂隆雄の「為替ランドスケープ」 > いよいよ、米大統領選挙。|為替ランドスケープ 2020年11月号
いよいよ、米大統領選挙。|為替ランドスケープ 2020年11月号
公開日:2020年11月02日

いよいよ、米大統領選挙。

注目の米大統領選挙を明日に控えて、市場ではリスク・オフ(投資家が既存の債権を圧縮し、新規の投資を控える)の動きが広がり、株価は下げてドルの買い戻しが進んでいる。
(この原稿は11月2日に書いています。)

現職の共和党・トランプ大統領と民主党・バイデン前副大統領の選挙争いは熾烈を極め、多くの世論調査ではバイデン候補の優勢が続く。

但し、選挙は水物。
4年前の大統領選挙での民主党・ヒラリー・クリントン対共和党ドナルド・トランプの対決でも事前予想は圧倒的にクリントンの優勢が伝えられていたが、最後の土壇場でトランプが巻き返して逆転劇を演じた。

米大統領選挙には『オクトーバー・サプライズ』(10月のサプライズ)と言う言葉が有り、11月の選挙の前月である10月に驚く様なニュースが流れて、大統領選挙の行方を大きく変えることが有ると言われているが、2016年にはFBIが選挙の2週間前にクリントン候補の私的メール問題を暴露してあっという間に選挙人からの支持を失ってトランプが勝った。

今回も10月中旬にバイデン候補の次男のメールが暴露されてバイデン氏自身のウクライナ疑惑関与が問題にされ、それ以降バイデン対トランプの支持率の差は縮まり、一部の世論調査ではトランプが逆転したと報じた。

はっきり言って現時点ではどちらが勝つかは全く分からないが、テレビの三大ネットワークやCNNは何方かと言うと民主党贔屓であることは間違いなく、世論調査の"バイデンが圧倒的に優勢。"と言う報道は少し割り引いた方が良いかも知れない。

今回の選挙の行方を占う事を難しくしている点は隠れトランプ支持者の存在と事前投票の数の多さである。
隠れトランプ支持者とは、選挙ではトランプ氏に投票するが、世論調査ではそう答えず実際のトランプ支持率に繋がらないトランプ・ファンのことである。
トランプ大統領の政策は支持するが彼の言動に辟易気味で表立ってトランプ支持を躊躇する人が多いと聞く。

今回の選挙では既に9300万人以上の有権者が事前投票を済ませたと言われているが、これは前回2016年の1億3754万人の投票総数の68%にも当たる。
9300万人の投票の内、郵便投票が約65%の6000万人を占めるがトランプ大統領はこの郵便投票を不正の温床としてその妥当性を認めておらず、選挙に負けても敗北を認めない可能性が有る。

考えられるシナリオは、
-11月3日の投票が終わった後の即日開票では投票所投票で票を集めたトランプ大統領優勢が伝わる。
もしかしたらトランプ大統領が勝手に勝利宣言をするかも知れない。
-その後事前投票、特に郵便投票が集計に加わると徐々にバイデン候補の得票数が増加し、トランプ大統領の劣勢が明らかになる。
これには数日が掛かるであろう。
-トランプ大統領は郵便投票が無効であると連邦最高裁判所に訴えを起こし、裁判に持ち込む。
-現在連邦最高裁判所の判事の構成は保守派で共和党寄りの判事が6人、リベラル派で民主党寄りの判事が3人であり、トランプ大統領が勝訴する可能性が高い。
である。

以上は筆者の勝手な憶測であるが、現時点では選挙の行方は全く分からない。
はっきり言えるのは、メディアが伝える程はバイデン候補の優位性は高くはないのではないかと言う事である。

我々にとって最も興味のある事は大統領選の結果によって市場はどう動くかであろう。

数か月前まではトランプ再選なら現状維持で大きな波乱は無し、増税を謳うバイデン勝利なら株価下落=金融市場混乱と言う見方が多かったが、どうも最近の見方は変わってきた模様である。
バイデン候補は増税と共に大規模な財政出動も謳っており、これは景気浮揚となって株価にもプラスになると言う見方である。

選挙結果については全く不透明であるが、再び考えられるシナリオを考えてみよう。

1)バイデン新大統領誕生と上院で民主党が過半数を獲得。下院の民主党過半数は変わらず。
大統領、上院民主党、下院民主党のトリプル・ブルー(ブルーは民主党のイメージ・カラー)となり、民主党主導の政策遂行が簡単になり増税、財政支出が行われる。
考えられる市場の反応は、株価は増税と財政支出でオフセットされ大きな波乱無し。
長期金利は上昇し、ドルは下落。

2)バイデン新大統領が誕生するが共和党が上院の過半数を維持。下院の民主党過半数は変わらず。
議会のねじれ現象が続き、増税案と財政出動案協議が停滞する。
考えられる市場の反応は株価は財政出動案協議の停滞を嫌気して下落、リスク・オフとなって長期金利は下落し、ドルは上昇。

3)トランプ大統領が再選されるが民主党が上院の過半数を獲得。下院の民主党過半数は変わらず。
大統領と議会の鬩ぎ合いが始まるが財政出動は両者とも前向きで景気にはプラスとなる。
リスク・オンとなって株価と長期金利は上昇し、ドルは下落。

4)トランプ大統領が再選され上院も共和党が過半数を維持。下院の民主党過半数は変わらず。
現状維持で金融市場の波乱は無し。
3)と同じく株価と上昇長期金利は上昇し、ドルは下落。

前回の選挙ではトランプ新大統領誕生となれば株安・金利低下・ドル安になるとの大方の予想に反して、株高・金利上昇・ドル高が進んだ。
上の机上のシナリオ通りに動くかどうかは分からないが、何れにせよ財政支出拡大によるドルの余剰感からドルが下落すると見るのは難しくはない。

最後に留意すべき点として選挙結果が判明するのに時間が掛かる可能性について触れておきたい。
上述した様にバイデン候補が得票数で上回っても、それが僅差であればトランプ大統領が連邦最高裁判所に提訴する可能性が高い。

その場合、ひと月後(12月8日)の選挙人確定日はおろか、12月14日の選挙人投票日になってもどちらが勝利したかが決まらなくて大混乱に成る事が考えられる。

そうなった場合投資家は当然リスクを取る事を躊躇して大きなリスク・オフの動きとなれば株価は下がり、安全資産である債券とドルが買われて金利は低下してドルが上昇するかも知れない。
もっとも、この混乱の中リスク・オフとは言え市場が積極的にドルを買うかどうかは分からないが..

さあ、米大統領選挙まであと一日。
固唾を飲んで選挙結果を待つことになりそうだ。



酒匂隆雄氏プロフィール

酒匂隆雄 さこう・たかお

酒匂・エフエックス・アドバイザリー 代表

1970年に北海道大学を卒業後、国内外の主要銀行で為替ディーラーとして外国為替業務に従事。
その後1992年に、スイス・ユニオン銀行東京支店にファースト・バイス・プレジデントとして入行。
さらに1998年には、スイス銀行との合併に伴いUBS銀行となった同行の外国為替部長、東京支店長と歴任。
現在は、酒匂・エフエックス・アドバイザリーの代表、日本フォレックスクラブの名誉会員。

トレードトレードブログ:
酒匂隆雄が語る「畢生の遊楽三昧」

  • はてなブックマーク
500円相当ビットコインプレゼント
新型コロナウイルス抗体検査キット
八木橋泰仁氏最新書籍「ビットコイン大破産時代の到来」プレゼント企画
吉田恒氏著書「そうだったのか!FX大相場の真実」プレゼント企画
1000円がもらえるアメジスト香港オリジナル2021年版卓上カレンダープレゼント!
「タンク将軍の愛人米」プレゼント企画
アンケートに答えて500円相当のビットコインをゲット!
「これから始めるHSBC香港口座超入門書」2018年8月版
HSBC香港ラクラク口座開設キット
損保ジャパン日本興亜 新・海外旅行保険OFF!
CCM香港 海外法人設立Wキャンペーン
香港ポスト
マカオ新聞

▲ TOPへ戻る

スマホサイトを表示