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米大統領選挙の行方。|為替ランドスケープ 2020年10月号
公開日:2020年10月02日

米大統領選挙の行方。

注目の米大統領選挙がいよいよひと月余りに迫って来た。

現職大統領の共和党トランプ大統領と民主党バイデン候補の接戦は続いており、最新の世論調査では数字の上では依然としてバイデン候補がやや勝っているが、未だ予断は許さず親しいアメリカ人に訊くと(勿論多くが共和党員であるが。)"どっちが勝っても不思議ではない。"状況らしい。

9月30日、日本時間午前、第一回目の両候補によるテレビ討論が行われたが、まあ酷い内容だった。
お互いに罵り合い、特にトランプ大統領はお互いに3分間自分の意見を述べるという事前のルールを無視してバイデン候補が喋っているのに途中で遮る場面が何度も有り、極めて見苦しかった。

バイデン候補はトランプ大統領の挑発に耐えて"ぼろを出さなかった。"感が有るが、それでも耐えかねて"Will you shut up, Man ?"=(お前、いいから黙れ!)と言ったのには驚いた。
Shut up.は物凄く強い言葉で、"黙れ!"と言うよりは、"うるせー、黙りやがれ!"くらいのニュアンスだと思う。

討論会後の世論調査によると民主党贔屓のCNNはバイデン候補が優勢と見る人が60%、トランプ大統領が優勢と見る人が28%と大きな差が出たが、割合中立的なCBS.によるとバイデン候補が優勢と見る人が48%、トランプ大統領が優勢と見る人が41%とその差は大きくはない。

只、何れもバイデン候補優勢と見ており、それを反映してか討論会の最中から日経平均株価は下げに転じ、ダウ先物価格も200ドル下げていた。

▼日経平均株価▼

▼NYダウ▼

もしバイデン候補が次期大統領に選出されたら株価は下がるであろうとの思惑が働いたのであろう。
その後のニューヨーク株式市場ではダウ、ナスダック、S&Pの3指数共大きく反発した。

▼ナスダック▼

▼S&P▼

討論会前、そして討論会後の世論調査によると依然としてバイデン候補が優勢であるが、選挙は水物。
特に今回の選挙では郵便投票の割合が大きくなると言われており、これが混乱に拍車を掛けそうだ。

大統領選挙は11月3日(火)に行われるが、アメリカの場合日本の選挙の様に即日開票で誰が当選したかは直ぐには分からない。
それは郵便投票の割合が多くて直ぐに開票結果が出ないからである。
民主党員の約6割が郵便投票を行うと言われているが、11月3日の選挙当日以降トランプ、バイデンの何方が優勢かの報道が熱を帯びそうである。

投票所投票の多い共和党員が推すトランプ現職大統領が開票当日はもしかして圧倒的に票を取ったかに見えるが、郵便投票分を開票するにつれて徐々にバイデン候補の票が増えて来てトランプ票に迫ってくることが考えられる。

だから今からトランプ大統領は"郵便投票は不正の温床だ!"と揶揄してその有効性について疑義を挟んでいるのだ。

2000年のゴア対ブッシュの選挙戦のように接戦となる可能性が非常に高く、トランプ大統領が郵便投票の合法性を問題として最終的な当落判断が最高裁に持ち込まれる可能性が大きい。

先日リベラル派(民主党寄り)のルース・ギンズバーグ最高裁判事の死去に伴って、後釜としてトランプ大統領から最高裁判事に指名されたキリスト教保守派の支持が強いことで知られる保守派(共和党寄り)のエイミー・コニー・バレット連邦控訴裁判事の事が注目される。
ギンズバーグ判事の死去前の最高裁は9名の判事の内5名が保守派で4名がリベラル派で構成されていたが、バレット判事が10月中にも上院で最高裁判事として承認されると最高裁判事の構成が保守派6名、リベラル派3名となって上述の様に当落判断が最高裁に持ち込まれた場合、トランプ大統領は圧倒的に有利な立場となる。

合衆国憲法では2021年1月20日から新大統領による新政権がスタートしなければならない。
それまでどの様な修羅場となるかは不明であるが、11月3日から1月20日まで"とんでもない状況。"となって金融市場が大きく翻弄される可能性は高い。

勝敗結果の予想は現時点では難しいが、トランプ大統領が再選された場合、取り敢えず大きな金融市場での混乱は無かろう。
もしバイデン候補が勝利した場合、彼が公約として挙げて来た法人税の増税や新たに掲げたキャピタルゲイン増税案などを考えると、金融市場特に株式市場は相当下げるであろうと考えざるを得ない。

ここひと月調整色の濃い動きとなっているニューヨーク株式市場はバイデン勝利の可能性を少しずつ織り込みつつあるのではなかろうか?

勿論バイデン候補が選挙前の公約通りに動いて株式市場を震撼させる様な愚かなことをするとも思えないが、当面の最大のリスク要因として認識しておくべきであろう。

この状況では投資家はリスク・オフの動きを取らざるを得ず、株価は下がる可能性が高かろう。

リスク・オフとは文字通り投資家がリスクを取ることを躊躇うか、或いは既存の債権を処分する事である。
逆にリスク・オンは積極的にリスクを取って新たな投資をすることであるが、大統領選挙を控えてリスク・オフとなった場合の為替相場、特にドル・円相場の動向を占うのは難しい。

以前はリスク・オフ=ドル安&円高となる傾向が高かったが最近の動きはそう簡単ではない。
理由はリスク・オフで安全資産と目されるドルと円が同時に買われるからである。
リスク・オンは逆で安全資産と目されるドルと円が同時に売られる。

ちょっとおさらいをすると、
-リスク・オフ(ドルと円が買われる。)でドル・円が上昇するケース。
株価が下がり、債券が売られてドルの長期金利が上昇する。ドル金利上昇が円高を相殺してドルが上がる。
-リスク・オフでドル・円が下落するケース。
株価が下がり、債券が買われてドルの長期金利が下落する。ドル金利下落がドル高を相殺して円が上がる。

-リスク・オン(ドルと円が売られる。)でドル・円が上昇するケース。
株価が上がり、債券が売られてドルの長期金利が上昇する。ドル金利上昇がドル安を相殺してドルが上がる。
-リスク・オンでドル・円が下落するケース。
株価が上がり、債券が買われてドルの長期金利が下落する。ドル金利下落が円安を相殺して円が上がる。

ちょっとややこしくなったが、これから大統領選挙を控えてリスク・オフとなる可能性が高い中、アメリカの長期金利の動向に注意しておきたい。

金利動向に大きな波乱が無ければドル・円相場は104円~107円のレンジ取引となる可能性が高い。



酒匂隆雄氏プロフィール

酒匂隆雄 さこう・たかお

酒匂・エフエックス・アドバイザリー 代表

1970年に北海道大学を卒業後、国内外の主要銀行で為替ディーラーとして外国為替業務に従事。
その後1992年に、スイス・ユニオン銀行東京支店にファースト・バイス・プレジデントとして入行。
さらに1998年には、スイス銀行との合併に伴いUBS銀行となった同行の外国為替部長、東京支店長と歴任。
現在は、酒匂・エフエックス・アドバイザリーの代表、日本フォレックスクラブの名誉会員。

トレードトレードブログ:
酒匂隆雄が語る「畢生の遊楽三昧」

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