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トランプ大統領、再選危うし?|為替ランドスケープ 2020年6月号
公開日:2020年6月02日

トランプ大統領、再選危うし?

世界で一番多い感染者数と死亡者数を記録するものの、ようやく感染の広がりが鈍化して多くの州や都市で外出制限解除が始まったアメリカで再び大きな問題が起きつつある。

先月25日ミネソタ州のミネアポリスで黒人男性が白人警察官らに拘束された際に首を膝で押さえつけられて死亡したことをきっかけに、警察の対応が人種差別に基づく過剰なものだったと訴える市民数千人が抗議デモを行い、一部が暴徒化した。
このデモはあっと言う間に全米各地に飛び火し、首都ワシントン、ニューヨーク、そしてロサンゼルスでもデモ隊と警官との小競り合いが続き、30を超える都市で夜間外出禁止令が発動された。

ホワイトハウスの在るワシントンでもデモが激化してトランプ大統領一家が一時地下豪に避難する騒ぎとなった。

この騒ぎの背景にはアメリカに存在する根強い人種差別に対する反感が有るが今回はコロナ騒動で職を失い、行く場所を失った所謂貧困層の鬱憤が爆発したと言えなくもない。

コロナ騒動は未だ完全に収束した訳ではないが、ようやく経済活動の再開に向けて元気を取り戻したかに見えたアメリカにとっては、今回の暴動騒ぎは一難去ってまた一難と言う感じがする。

そしてこの騒ぎはトランプ大統領が望む5ヶ月後に迫った大統領選での再選への道へ大きな妨げとなる可能性が高い。
トランプ人気を牽引してきた好景気や高い雇用はコロナ騒ぎによって打ち砕かれ、今度は人種差別問題に端を発した暴動騒ぎで窮地に立つ可能性が高いのだ。

現在大統領選で接戦が伝えられる民主党候補のバイデン元副大統領が支持率で現職の共和党のトランプ大統領を7~8ポイントリードしていると伝えられるが、デモでいきり立つ黒人(人種差別を避ける為にもアフリカ系米国人と書くべきなのだろうが、此処では黒人とさせて頂く。)の多くは民主党支持だと言われている。
この暴動が長引いて再びコロナウイルス感染が拡大して経済活動再開が遅れ、民主党支持層の黒人の更なる怒りを買う様であればトランプ再選の道は益々遠くなる。

ところがである。

大統領選で数字上では明らかにバイデン候補が有利に見えるが、アメリカ人に聞くと"最後はトランプが勝つさ。"と言う意見が多いのに驚いた。
筆者の友人は多くが金融関係者で圧倒的に共和党支持が多いのだが、それにしてもこの楽観さには驚かされる。
そしてこの楽観さがアメリカ株式市場の活況を後押ししているのであろう。
5月、ドル・円相場が106.50~108.00のレンジ内で小康を保っている間、3指数の月間上昇率はダウ平均が+4.3%、ナスダックが+6.7%、S&Pが+4.5%でコロナウイルス騒動の中、株式市場は堅調に推移したのだ。

トランプ大統領が再選されずバイデン新大統領が誕生した場合の金融市場への影響は定かではないが、少なくとも"America first !"を標榜して強い経済と高い株価をもたらしたトランプ・フィーバーは剥げ落ちて短期的には株価もドルも下げるであろう。

コロナ騒動が好転しつつあるかと思ったら暴動騒ぎ。
この降って湧いた様な突然の騒ぎに対して、トランプ大統領は取り敢えず景気回復と株価維持の為には取り得る手段は何でも使うであろう。

対中国政策も強硬なままであろうが、株価下落を伴うであろう決裂は避けたいところ。
あれだけ息巻いていた先週金曜日の対中声明も結局は貿易合意の破棄や中国企業への追加制裁などが盛られず、拍子抜けとなった。

トランプ大統領はしたたかである。
その場しのぎで自分に都合の良い様に発言し、行動する。
当初6月にワシントンで開催予定であったG7を9月に延期し、新たにロシア、オーストラリア、インド、そして韓国を招いてG11とし中国封じ込めを図る。
正に行き当たりばったりで他人の都合などお構い無し。

トランプ大統領のやんちゃぶりに対し"景気は良いし、株価も高いんだからまあいいか。"とある程度黙認していた米国エスタブリッシュメント=(権力や支配力をもつ階級・組織)もそろそろ愛想を尽かせ始めた。

これから暫く何をしでかすか分からないトランプ大統領が放つ言葉やニュースのヘッド・ラインに留意することが肝要であろう。

最近の為替市場の動きは過去の経験則が役立たないことが多い。
ドル・円に関して以前はリスク・オン(投資家がリスクを取ることに積極的になる。)の際は株高、債券安(金利上昇)、ドル高・円安となり、リスク・オフ(投資家がリスクを取ることに消極的になり、新規の投資を控え保有資産の処分に走る。)の際は株安、債券高(金利低下)、ドル安・円高となる傾向があったが、最近は必ずしもそうではなくドル高になれば円もつれ高、逆にドル安になれば円もつれ安と言う動きが往々にして現れ、結果としてドル・円の通貨ペアーは余り動かないと言うことになる。

5月のドル・円相場は安値105.979、高値108.079と値幅は2円10銭有るが、実質的には約107.40~107.90の狭いレンジ内での取引に終始した。

今月もヘッド・ラインのニュースに気を付けながら、ドル・円に関してはドルが上がったところを売っておくと言う"戻り売り戦略"が今月も有効ではなかろうか?



酒匂隆雄氏プロフィール

酒匂隆雄 さこう・たかお

酒匂・エフエックス・アドバイザリー 代表

1970年に北海道大学を卒業後、国内外の主要銀行で為替ディーラーとして外国為替業務に従事。
その後1992年に、スイス・ユニオン銀行東京支店にファースト・バイス・プレジデントとして入行。
さらに1998年には、スイス銀行との合併に伴いUBS銀行となった同行の外国為替部長、東京支店長と歴任。
現在は、酒匂・エフエックス・アドバイザリーの代表、日本フォレックスクラブの名誉会員。

トレードトレードブログ:
酒匂隆雄が語る「畢生の遊楽三昧」

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