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新たなリスク要因|為替ランドスケープ 2020年2月号
公開日:2020年2月03日

新たなリスク要因

2020年の始まりの月である1月はアメリカ軍によるイランの革命防衛隊コッズ部隊司令官の殺害、そしてそれに対するイランの在イラクの二つの米軍基地に対するミサイル攻撃による中東に於ける地政学的リスク増大からリスク・オフとなり、ドル・円相場は一時安値107.66を示現したが、その後は懸念された様な米国とイランによる報復合戦は行われず、堅調なニューヨーク株式市場の活況と旺盛な本邦機関投資家のドル買い需要でドル・円はジリ高となってあっさりと110円台を回復した。

財務省がまとめた対外・対内証券投資(週次)のデータによると本邦機関投資家は1月5日から11日の年明け第1週に米国中長期債券を約2兆3千億円買い越した。
買い越し額が2兆円を超えるのは2019年初以来1年ぶりで、19年12月の売り越しから一転したのである。
その頃は上述した様に中東を巡る地政学的リスク増大によるドル安&円高でドル・円相場が108円割れとなり、ドルの割安感が台頭した。
またその頃10年物米国債券利回りは1.85%を上回っており(債券価格は下落)ドル・円相場と債券価格の両方ともに値ごろ感も有ったのであろう。
言い換えれば108.00~108.50のドルと1.85%の米国10年物債券は本邦機関投資家にとってお買い得であったのである。


(※クリックで拡大します)

その翌週(1月12日~18日)になるとドル・円相場は110円を回復し、同時に米国10年物債券は1.6%台まで大幅に下落(価格は大幅上昇)すると彼らの買い越し額は約2千億円と激減し、これは言い換えると110円台のドル・円と1.6%台の米国10年物債券は"ちっともお買い得ではなかった。"と言うことか?

因みに次週(1月19日~25日)はドル・円相場は110円を挟んだ展開であったが、何と本邦機関投資家は5千500億円の売り越しに転じたのである。
110円前後は"お買い得ではない。"どころか逆に利食いのドル売りが出た可能性が高い。

どうやら110円近辺が当面のドルの高値かなと思っていた矢先にとんでもないリスク要因が飛び込んできた。

そう、新型コロナ・ウィルス騒動である。

新型コロナ・ウィルスに関しては2019年12月8日に中国湖北州武漢市で原因不明の肺炎患者発生の報告が行われてから"武漢で何か大変な事が起きているのではないか?"との憶測が有ったが、武漢市当局は"証拠は無い。"と突っぱね、世界保健機構(WHO)も1月30日に緊急事態を宣言するまでは"中国には管理制御能力がある。"などと楽観的な見通しを持っていたことも新型コロナ・ウィルス騒動が拡大する要因となった。

新型コロナ・ウィルスによる世界中の患者数と死者数は毎日の様に数十パーセントずつ増え続け、あれよあれと言う間に2月3日現在で患者数1万7千人、死者数は360人以上に膨れ上がった。
丁度1週間前は患者数3千人弱、死者数80人とレポートされていたが、この数が何処まで膨れ上がるのか見当もつかない。

医療に関してはずぶの素人なので余計な事は言いたくはないが、心配なのはこのコロナ・ウィルスとやら、潜伏機関が長く実際に見聞きする数字が果たして正しい物なのかと言う不安とこれによる中国のみならず、世界への経済的影響がどのようなものになるかがさっぱり分からないことである。

少なくとも金融市場は拡大し続ける新型コロナ・ウィルス被害に震撼し、ダウ平均株価は先週28,990ドルから28,256ドルまで約2.5%下落し、日経平均株価も23,827円から23,205円まで同じく約2.6%下落した。
週明け今日の東京株式市場でも下げは続き、午後2時過ぎには2万3千円を下回るレベルで取引されている。
米国債券10年物利回りも1.685%から1.505%まで下落しており、リスク・オフの動きが顕著である。

リスク・オフの動きが続けば円高が続く可能性が高いがもう一つ懸念されるのは中国経済減速による中国からの資本流出である。
そしてその流出先は?

米国に資本が流れるとドル高&元安となり、これはアメリカが許さない。
となると消去法として円が選ばれる可能性は極めて高い。
当然結果として元安&円高となり、ドル・円相場もドル安&円高となろう。

中国と輸出入共に依存度の高いオーストラリアへの影響も大きかろう。
こちらも豪ドル安&円高となる可能性が高いと思われる。

地政学的リスクは事が収まれば為替相場はある程度安定するが、今回の降って湧いた様な新型コロナ・ウィルス騒動(ウィルス・リスクと呼ぶことにしよう。)は未だ始まったばかりの新たなリスク要因であろう。

現状では値頃感(そろそろ買い頃かと言う勝手な思い)で逆張り(下がっているドルに対して買い向かう。)することは慎みたい。
むしろ順張り(下がっているドルに対して追っ掛けて売る。)が有効であろう。

ドルを買いたければ、下がり切ったかなと判断した後に順張り(上がっているドルに対して追っ掛けて買う。)で対処しても遅くはあるまい。

2月は108円~110円のレンジが続くか、それともウィルス・リスクが増大して思わぬ円高となるか、ある意味正念場となりそうである。



酒匂隆雄氏プロフィール

酒匂隆雄 さこう・たかお

酒匂・エフエックス・アドバイザリー 代表

1970年に北海道大学を卒業後、国内外の主要銀行で為替ディーラーとして外国為替業務に従事。
その後1992年に、スイス・ユニオン銀行東京支店にファースト・バイス・プレジデントとして入行。
さらに1998年には、スイス銀行との合併に伴いUBS銀行となった同行の外国為替部長、東京支店長と歴任。
現在は、酒匂・エフエックス・アドバイザリーの代表、日本フォレックスクラブの名誉会員。

トレードトレードブログ:
酒匂隆雄が語る「畢生の遊楽三昧」

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