
みなさん、こんにちは。楢橋里彩です。
2016年度の香港・マカオミシュランガイドより新たな枠が設定され、奨励店23店舗が加わりました。加わった枠というのが「街頭小食(ストリートフード)」です。昔から屋台や露店で気軽に軽食が楽しめる文化が根付いている香港では、ローカル色の強い食べ物を楽しむにはうってつけです。今回の彩り情報は、ミシュランガイド奨励店舗のうち、私がおススメする3店舗をご紹介いたします。気軽に、安く、美味しく食べられるお店をピックアップいたします!
1967年に創業した老舗店「強記美食」。「半世紀経っても作り方は一切変えず、こだわりに徹してきたからこそ、今回奨励店になったのでは」と話す2代目女将の阿寶さん。ミシュラン奨励店になってからは観光客の来店がかなり増えたそうです。「一人でぶらりと来られる方も多いですよ。日本の方も沢山来てくれてます」と陽気に片言の日本語を披露してくださいました。
<ミシュラン奨励メニュー1> 什錦臘味糯米飯(腸詰め入りおこわ)34香港ドル(約450円)
ミシュランガイド奨励メニューに輝いたは「什錦臘味糯米飯」(34香港ドル:約450円)。シンプルな醤油味がベースで、ちょっとおこげがついているのが嬉しい、創業時から変わらず地元人に人気のメニューです。日本のおこわに似ていますが、少々油っぽく、ほどよい味つけです。香港では甘すぎたり油っこかったりする食べ物が多いなかで、バランスが取れている店として昔から支持を集めています。
この人気を支えているのが「特製醤油だれ」。甘すぎず濃すぎないこのタレは、私も一口食べて好きになりました。このお店に来たらぜひ食べてみてください。
<ミシュラン奨励メニュー2>香煎蝦米腸粉(桜エビ入り腸粉)17香港ドル(約220円)
もう一品は「香煎蝦米腸粉」。腸粉というのは、香港や広東省などで飲茶の点心として知られているメニューの一つ。蒸して作るライスヌードルの一種で、筒状に丸められた形がブタの腸に似ていることから名付けられたと言われています。通常、味がほとんど付いていないので、肉などの具を巻き込んだり、オイスターソースや醤油だれをかけたりして楽しみますが、このお店の腸粉は至ってシンプルです。
甘味が押さえられた特製ソースと葱とゴマ、そして桜エビ。シンプルなのに深い味わい。取材後、撮影カメラマンの香港人スタッフと一緒にいただきました。スタッフも「久々に美味しい腸粉を食べた」と喜んでいました。もっちりした食感はやみつきになること間違いありません。軽く炒めた腸粉は香ばしく、噛むと脂がジュワーとでてくる、まさに昔ながらの「素朴な味」を楽しむなら、おススメです。
※おススメメニュー:熱香草陳皮緑豆炒(ハーブと陳皮が入った緑豆の汁粉)19香港ドル(約220円)
二代目女将の阿さんのおススメで、ミシュラン奨励メニュー以外もいただくことに。暑いときこそ食べていただきたいのが「熱香草陳皮緑豆炒」。
「暑い時に熱いもの?!」と思うかもしれませんが、香港では特に蒸し暑い季節は、「気を下げる」ために涼茶を飲んだり亀ゼリーを食べたり、白湯をよく飲むなど熱中症対策をしています。そのひとつに緑豆のたっぷり入ったお汁粉があります。緑豆は気を下げると言われており、取材していた時も地元の人たちがこのお汁粉の持ち帰りをしていく姿を多く見かけました。
美味しく食べながらしっかり気を下げて、体から放熱、放湿させる。伝統的な食べ方が今も受け継がれています。このお汁粉の味は日本のお汁粉に比べて甘さは押さえられているので、甘いのが苦手な人でもさらりと食べられそうです。陳皮(みかんの皮)が入っているため、フルーティな香りが食欲を掻き立てます。食鯉別腹!暑い日こそしっかり放熱するために、温かいお汁粉はいかがですか?
イカ、タコ、豚、鶏、鴨の内臓などを煮込んだり、揚げたりしたものを串刺しにして食べる露店は香港の至るところで目にします。気軽に路上で食べられることもあって学生たちを中心に昼過ぎから帰宅ラッシュ時の時間帯は大混雑するほど。
ミシュランガイドで奨励店となっている「第三代肥仔」は尖沙咀駅から徒歩5分圏内にあります。ずらりと並ぶショーケースを見ても何がなんだかわからない・・・。初めて来られる人は戸惑うかもしれませんが、そういう場合はお店のスタッフにおススメを尋ねるのもいいかもしれません。今回は、オーナーの余啓康さんイチオシの2種類お願いしました。それがこちらのミックスです!
<ミシュラン奨励メニュー>大墨魚+火雞腎(イカと鶏の砂肝)(19香港ドル:約250円)>
やや甘めの特製ソースと辛子を絡めていただきます。なぜ辛子がつくのかきくと「こっちのほうが甘さとスパイスを両方楽しめるから」とのこと。食感はなかなかグッド!焼き鳥として食べるのとはまた違った食べ方なので、新しい味を発見できるかも?
内臓系の食べ物を露店で食べることに抵抗があるかもしれませんが、「このお店は鮮度のいいものしか置いていない」と余さんは自信たっぷりおっしゃっていましたので、ぜひ香港にいらした際はお立ち寄りください。ちょっと小腹がすいたときなどグッドです。
店内はとても清潔感がありました。香港では抜き打ちで政府による衛生検査が行われるとの事です。他の人気商品は、ゲソ揚げや豚の十二指腸などといった内臓系だそうです。ミシュランガイド奨励店になってから一気に観光客が増えたようで、地元の人との比率が逆転したほどとか。
景気低迷でこうしたサービス業も打撃を受けているのか伺うと、「賃貸料は確かに上がり続けて厳しいと感じるけど、3年間の更新したばかりなので、この間にどうにか変わってくれたら」と豪快に笑いながら話してくださいました。
卵と小麦粉で作られているとてもシンプルな甘いお菓子といえば「鶏蛋仔」(卵カステラ)。甘い香りにつれられて学生たちが学校帰りに立ち寄る気軽に食べるのをよく目にします。こちらも香港では定番!オーソドックなお菓子です。
今回ミシュラン奨励店に選ばれたのは、香港にいくつもチェーン店をもっている「媽咪」の尖沙咀店。駅から5分圏内にある小さなお店です。2年前にオープンして以来、常にお客さんが並んでいるという人気店でもあります。こうした「鶏蛋仔」の人気は、美味しいだけでなく、安く、しかも目の前で、出来たてのアツアツを食べられるということだと思います。
オーダーが入ってから作るため少し待ちますが、皆さん暑い中、辛抱強く路上で待ちます。メニューは様々な変り種の卵カステラが10種類もあります。お店の方にどの商品が一番人気かとお聞きすると「初めて食べるならスタンダードの「鶏蛋仔原味(Original Flavor)」(16香港ドル:約210円)がいいですね」とのこと。早速オーダーしました!
鶏蛋仔原味(original Flavor) 16香港ドル:約210円
鶏蛋仔の主な材料は、卵、砂糖、小麦粉。聞くとその日の天気や湿度に合わせて調整をしながら生地を作っていくのだそうです。特に使用する水の温度も大事なようで、やや冷えた状態を維持しながら生地を作っていきます。当然ながらキッチンは戦闘状態。クーラーがあるわけではないので皆さん暑さのなかひたすら作り続けていきます。
待つこと5分。卵の形のシンプルな「鶏蛋仔 原味」です。甘さは控えめで外はカリカリ、中はモチモチしていますが、どっしりとした食感はなく、むしろペロリと食べられちゃいます。とってもシンプルで優しい味わい。どこか懐かしい気分にもさせられます。お店自慢メニューを聞くと「甘さのなかにややしょっぱさがある「白芝麻(白ごま)」も勧められました。
確かに甘さとしょっぱさがバランスよく、甘い菓子類が苦手な人も食べられます。個人的にはセサミの方がはまりそうです。お店のスタッフにミシュラン奨励店になってから変化したか伺うと、「大きく変わりました。特に日本人と韓国人の観光客が圧倒的に増えましたね。」とのこと。季節ごとに、その時期ならではのメニューを出しているそうで、今秋には「スイートポテトを取り入れた鶏蛋仔」を作るそうです。こちらも楽しみです。
いかがでしたでしょうか?30度を超える炎天下のなか、どのお店にも冷房は設置されていなかったため、皆さん汗だくでのお仕事です。取材の最後にいただいたお汁粉が、私の汗だくの体を芯から引き締めてくれて、とてもホッとしたものでした。
今回ご紹介したストリートフードはほんの一部です。私のブログ「彩り亜細亜地図」では香港の色々な情報を発信しております。ぜひ一度ご覧くださいませ。
