
みなさん、こんにちは。楢橋里彩です。
今年も残すところ1ヶ月半。旧暦1月1日を元日として、本格的な新年を迎える香港。2018年の旧正月(春節)は2月16日(金)~19日(月)になります。旧正月3日目の2月18日が日曜日にあたるため、19日(月)までを公休日にしており、例年より1日長い休みになります。
日本のお正月にのような厳かな雰囲気とはやや異なり、赤や金色で新年を祝う言葉が書かれた飾り物が一斉に飾られ、旧正月期間は毎日どこかでライオンダンスが見られ、ランタンイベントが催されるなど街中が一気に盛り上がります。
今回の「香港彩り情報」は、香港ならではの旧正月の過ごし方、旧正月期間限定のイベントをご紹介します!この機会にぜひ香港に遊びにきてくださいね。
■目次
・日中は20度前後でも、暖かい格好を
・かつては日本も...旧正月を祝う国・地域は意外と多い
・香港で昔から食べられている旧正月の特別料理「盆菜」
・旧正月は街全体が赤や金で華やかに
・独身ならいくつになってももらえる?!香港のお年玉「利是(ライシー)」
・お年玉袋がなくなるかも?!香港最新"利是(ライシー)"事情
・道教寺院で、参拝と新年の運勢をみてもらう「黄大仙(ウォンタイシン)」
・旧正月にふさわしい花が買える「花市(フラワーマーケット)」
・旧正月初日の恒例のイベント!「旧正月インターナショナル・ナイトパレード」
・23分で2万発以上が豪勢に打ち上げられる「ビクトリア湾花火大会」
旧正月時期の香港の気温は最低でも10度前後、日中は20度近くまで上がります。ですが、暖かいからと薄手の服装は危険です。というのも、香港は暖房設備が整っていない場所もある上、一年を通してクーラーがついている場所が多いからです。そのため、室内のほうが外より寒いという場合もしばしば。日本と同じく冬の服装でちょうど良いでしょう。
春節というのは日本でいう旧暦の正月、日本では『旧正月』と言われています。かつては日本も春節を祝う時代がありました。明治維新後、新暦を取り入れてから1月1日、元旦に正月を迎えるようになりました。こうしたなか、香港同様、中国、台湾、韓国、北朝鮮、ベトナム、シンガポール、マレーシア、インドネシア、ブルネイ、モンゴルなどでは、春節を祝います。
旧正月期間によく食べられるのが「盆菜」というもの。香港・新界エリアで昔からめでたいときに食べられてきた『客家(ハッカ)料理』のひとつとして知られています。『客家』というのは中国で広東・広西・江西・福建などのエリアに住む、かつて華北から移住してきた漢民族の一派のことです。客家の料理は蒸し料理などが多く、日本人の口に合うさっぱりとした味付けが特徴。香港内のレストランでも気軽に食べられます。
旧正月の特別料理「盆菜」は土鍋などでアワビ、ナマコ、シイタケ、花膠(魚の胃袋)、鶏肉、車えび、豚ローストなど、高級食材を段々に重ねてじっくりと煮込んでいくもので、ボリューム満点の料理です。最近では肉や魚を一切使わない野菜のみの精進料理としての盆菜もあります。ともに、春節期間前からレストランで食べることができるので、この期間に行くときは、ぜひ香港の『お正月の味』を堪能してみてくださいね。
旧正月の飾りつけなどはとっても煌びやかです。赤や金色が基調で、街が一気に派手になります。日本の門松のように、お正月の時期に飾られるのが『福』と書かれた飾り物で、香港に来られた事がある方は、玄関先や商店の入り口などに飾られているのを見かけた事があると思います。この福の文字、自宅によっては逆に貼っていることもあるのですが、これは間違って貼っているわけではありません。
「倒」と「到」の発音が同じことから、「倒福(福が逆さま)」=「到福(福が訪れる)」の意味を表し、より多くの福が訪れる願いをこめたものなのです。
旧正月のしきたりのひとつにお年玉「利是(ライシー)」というものがあります。「紅包(ホンバオ)」とも言いますが、この習慣は日本のように大人から子供にあげるだけではありません。家族、親族、会社の部下や未婚の友人・知人、はたまたマンションの管理人など、未婚、既婚関係なく『日ごろ世話になっている人』に広く配ります。
ちなみにお年玉は20香港ドル(約290円)が相場。旧正月が近づくと、香港の新聞にお年玉袋が付録として付いてきたり、ショッピングセンターで買い物後に粗品としてお年玉袋がもらえることがあります。この期間の前後はやたらマンションの管理人が優しくしてくれたりすることも(笑)。こういう光景をみかけるようになると、旧正月がまもなく訪れることを実感します。
ちなみに香港では「微信(ウィーチャット)財布のお年玉機能」が、2016年よりスタートして話題になっています。ウィーチャットウォレット(財布)というのは「お財布ケータイ」のこと。これまでは、香港でウィーチャットウォレットの機能の一つである「微信支付(ウィーチャットペイ)」を利用する為には中国本土の金融機関が発行する銀聯クレジットカードが必要でしたが、現在はVISAかマスターカードのクレジットカードを登録出来るようになり、香港でもウィーチャットペイを使った決済が出来るようになりました。
お財布ケータイのお年玉機能を使うと、今まで手渡しだった個人間のお年玉のやり取りがすべて微信(ウィーチャット)でできるということで、遠方に住んでいる家族や親族などにも気軽に送れるようになると人気が高まっています。
昨年に始まったばかりですが、香港でも利用者の数は増えているとのこと。ちなみに受け取ったお年玉は銀行などの預金口座に移すことができ、現金で引き出せます。中国本土では、今年からウィーチャットお年玉を口座に移すには手数料が必要になりましたが、普及率を高めるためか香港ではまだ無料です。利便性の高い決済システムが普及することで、香港の利是事情も大きく変化し、将来的に『お年玉袋』が無くなる日が来るかも?!
香港各地には様々な寺院がありますが、旧正月に限らず一年中参拝客でにぎわう道教寺院といえば「黄大仙(ウォンタイシン)」。年間300万人以上が訪れる黄大仙での参拝はぜひしておきたいところ。敷地内では今年の運勢、おみくじ鑑定などを本格占い師により占ってもらえる場所もあります。
日本語対応可能な占い師のブース前には、日本からの観光客で大混雑になることもあります。場合によっては1時間待ちになることもあるので、ランチタイム前後は避け、早い時間帯に来ることをおススメします。詳しいことは前回の香港彩り情報 「2018新年祈願&占い特集」 を参考にしてください。
他にも、香港島にある上環(ションワン)エリアのハリウッドロードにある寺院「文武廟(マンモンミュウ)」もおススメです。およそ150年の歴史をもつ香港で最も古いお寺として知られており、こじんまりしたお寺ではありますが、ここでは巨大渦巻の線香が天井から吊るされており圧巻。日本ではまず見ることができません。旧正月期間中は、この寺院の前でライオンダンスなどが行われ賑わいます。
建物名称 | 黄大仙(ウォンタイシン) |
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開放時間 | 7:00~17:30 |
入場料 | 無料 |
場所 | Won Tai Sin, Lung Cheung Rd., Kowloon 黄大仙付近の地図はこちら |
アクセス | MTR観塘線 黄大仙(Wong Tai Sin)駅B2出口徒歩1分 詳しくはこちらをご確認ください。 |
建物名称 | 文武廟(マンモウミュウ) |
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開放時間 | 8:00~18:00 ※毎月、1日と15日は7:00からオープン |
入場料 | 無料 |
場所 | 128 Hollywood Road, Shueng Wan, Hong Kong > 文武廟付近の地図はこちら |
備考 | 地下鉄ションワン(上環:SHEUNG WAN)駅から徒歩12分。 セントラル(中環:CENTRAL)駅からNO.26バスで5分。 詳しくはこちらをご確認ください。 |
旧正月の1週間ほど前から始まる『花市』。縁起の良いとされる桃やスイセンの花は最も多く好まれます。スイセンは良い香りが幸せを運んでくると言われており、また家の中で桃の花が開くと『良縁を運ぶ』といわれることから、花市会場では真剣に品定めをする女性で賑わいます。
香港の三大花市といえば、コーズウェイベイのビクトリア公園、プリンスエドワードの花墟公園、荃湾沙咀道で開催される花市のことを指します。特にビクトリア公園は香港最大規模で、花市だけでなく、雑貨なども販売している露店も多く、日本のマーケットの様子とは違うので見るだけでも楽しいものです。
ちなみに、鉢植えや生花の店は大晦日、つまり2月16日午前零時を過ぎると一気に値段を下げるところも多く、深夜から明け方にかけてさらに混むことが予想されます。このように、旧正月の前から花を買いにマーケットが賑わっているのも、香港ならではのお正月の光景です。
イベント名 | 花市 Flower Market |
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開催日 | 2018年2月10日(土)頃~2018年2月16日(金)※未発表 |
開催場所 | ビクトリア公園:Causeway Road, Causeway Bay, Hong Kong > ビクトリア公園付近の地図はこちら 旺角花墟公園:Flower Market Road, Prince Edward, Kowloon > 旺角花墟公園付近の地図はこちら 他 |
今年で23回目を迎えるイベント「旧正月インターナショナル・ナイトパレード」。毎年春節の元旦、夜20時から尖沙咀エリアで開催される大規模なパレードです。スタート地点は、尖沙咀のフェリーピアがある文化中心(カルチュラルセンター)前。国内外問わず様々なパフォーマンスや山車が尖沙咀の中心街を1時間半にわたってゆっくりと練り歩くナイトイベントです。
香港のマーチングバンドの演奏、アクロバティックなパフォーマンスなどの、世界中の様々なパフォーマンスをみることができます。ここでは毎年日本からもパフォーマーの方々が参加、伝統的な日本の踊りを披露しています。パレードの沿道見物は無料ですが、有料の観覧席もあります。チケット、パレードのルートなど詳しいことは香港政府観光局HPにて掲載されていますので参考にしてください。
イベント名 | The Cathay Pacific International Chinese New Year Night Parade |
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開催期間 | 2018年2月16日(金) |
開催時間 | 20:00~21:45 |
備考 | 詳しくは香港政府観光局のページをご確認ください。 |
新年最初の大きなイベントとなるのが「ビクトリア湾花火大会」。毎年旧正月の2日目にあたる2月17日(土)の20時から2万発以上の花火が約23分にわたって打ち上げられます。毎年50万人近い人たちが見物するので、尖沙咀や中環などビクトリアハーバーを望むプロムナードは見物客で大混雑します。この日は早い時間帯から交通規制がありますので、道路や駅改札口が一部封鎖されます。待ち合わせ、移動する際は余裕をもってお出かけくださいね。
イベント名 | ビクトリア湾花火大会 |
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開催期間 | 2018年2月17日(土) |
開催時間 | 20:00~(23分間) |
備考 | 詳しくは香港政府観光局のページをご確認ください。 |
■取材後記
他にも旧正月の時期には香港ディズニーランド・リゾートやオーシャンパークなどでも期間限定のイベントが開催されます。ディズニーランド・リゾートでは、2018年の干支、戌年にちなんでディズニーキャラクターの「グーフィー」をメインにしたイベントなども行われる予定です。詳しいことが分かり次第フェイスブック、ブログでお伝えします。
■プロフィール
NHK宇都宮放送局キャスター・ディレクターを経てフリーに。ラジオDJとして活動後2007年に中国に渡りアナウンサーとして大連電視台に勤務。現在はイベントなどのMC、企業トレーナー、執筆活動、番組コーディネーター、通訳と幅広く活躍中。
オフィシャルブログ「彩り亜細亜地図」では、香港のオシャレなお店や、見どころ満載の場所など、香港の耳寄りな情報を紹介。ブログに掲載されている専用フォームより司会や通訳などのお仕事の依頼を行うことができます。
