
みなさん、こんにちは。楢橋里彩です。新年あけましておめでとうございます。
昨年末から急に気温が落ち、場所によっては1日で10度下がるなど寒暖差が激しいなか、新たな年を迎えました。今年も香港、中国本土の最新情報をわかりやすく楽しく発信していきますので、本年度もどうぞ宜しくお願いいたします。さて、2019年最初の「香港彩り情報」は、気になる今年の香港経済の動向、そしてエリア特集として「新界(ニューテリトリー)にある沙田(シャーティン)エリア」をご紹介します。これから旧正月に向けて香港旅行を計画している人はぜひ参考にしてくださいね!
※1香港ドル=14円計算
■目次
■2019年、香港経済の動向は?
■旅行前に要チェック!2019年香港の祝日
■沙田のディープな観光スポットに行ってみよう
中心街からMTRで40分、長閑な郊外エリア「沙田(シャーティン)」
フォトジェニック?!1万体以上のユニークな仏像が並ぶ「萬佛寺」
鳩料理で有名な老舗レストラン「龍華酒店(Lung Wah Hotel Chinese Restaurant)」
ブルース・リー特別展示「武・藝・人生―李小龍」、大好評につき2020年まで延期に
【番外編】沙田隣の駅「大圍」にある300年の歴史ある道教寺院「車公廟(Che Kung Temple)」
今年は経済的に大きな圧力を受けるとみられる中での幕開けとなりました。米中貿易摩擦に顕著な打開が見られなければ2018年に引き続き貿易は低迷するため、不動産・株式市場への投資や消費活動も減退し経済全体が低調となるでしょう。
また不動産相場の上昇が緩和もしくは下落することで市民にとっては住宅コストや物価上昇の圧力は緩和しますが、経済が低調となることで失業率の上昇が懸念されます。さらに貿易の低迷によって中国の経済成長が鈍化すれば香港への観光客の減少は免れず、今後の経済情勢は厳しくなります。
こうしたなか、香港経済の安定を維持するための鍵となるのが中国政府が推進する現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」、そして広東省珠江デルタの9都市と香港・マカオの両特別行政区の一体化を推進する地域発展計画「粤港澳大湾区」です。
こうしたプロジェクトを通して、日系企業をはじめ外資系企業の誘致がさらに活溌化しそうです。またインフラ投資などに関するシンポジウムがより多く開催され、湾仔にある「香港コンベンション&エキシビション・センター」では9月11、12日に国際シンポジウムが行われます。
今年は香港に行こうと計画を立てている方は特にチェック!祝日は以下の通りです。まもなくやってくる旧正月は火曜から木曜なので平日のみではありますが、この前後1カ月はお祝いムードがあふれてます。ちなみに今年の中国本土の旧正月は2月4日~10日。香港よりも長い休暇となりまさに大型連休なので、香港を訪れる人も増え、街なかも大賑わいになります。
■ 元旦 1月1日(火)
■ 旧正月初日 2月5日(火)~7日(木)※花火大会あり
■ 清明節 4月5日(金)
■ イースター 4月19日(金)~22日(月)
■ メーデー 5月1日(水)
■ 佛誕翌日(仏陀の誕生記念日) 5月13日(月)
■ 端午節 6月7日(金)
■ 香港特別行政区成立記念日 7月1日(月)
■ 中秋節翌日(振り替え休日) 9月14日(土)
■ 国慶日(中国建国記念日) 10月1日(火)※花火大会あり
■ 重陽節 10月7日(月)
■ クリスマス 12月25日(水)
■ ボクシングディ 12月26日(木)
今回の特集エリアは新界(ニューテリトリー)エリアにある沙田(シャーティン)。中環(セントラル)、尖沙咀(チムサーチョイ)からMTRで40分ほどの場所にあります。
香港中心街から離れた郊外にある沙田は、どこかのんびり長閑な雰囲気が漂うベッドタウン。
このエリアでメジャースポットといえば「沙田競馬場」。「香港彩り情報」では以前にも競馬特集でリポートをご紹介しています。詳しくは過去記事を参考にしてください。
沙田競馬場は、沙田湾の大掛かりな埋め立て工事によって1978年に完成されたもので、大規模な競馬場です。90,000人を超える観客を収容でき毎年大規模な国際レースが行われます。
過去記事:楢橋里彩レポート「香港競馬特集(基本編)」
今回は競馬場以外の観光スポットをご紹介しましょう。沙田駅改札口Aを出たら目の前に広がるのは巨大なショッピングモール「新城市廣場(New town Plaza)」。このエリアでは最大級のショッピングモールとして知られています。
平日、週末問わず常に多くの人で賑わうモールは建物が大きく3つに分かれており、様々なジャンルのショップ、レストラン、カフェ、アパレルショップ、ブランドショップ、家電量販店、そして日本の食材を豊富に取り揃えているスーパーが入っている百貨店「一田(Yata)」、さらに映画館も入っており充実しています。
初めて行かれる場合は、あまりにも広すぎて迷ってしまうかもしれませんが、せっかく来たらゆっくりお買い物やお食事を楽しんでみたいもの。午後10時まで営業しています。
スポット名 | 新城市廣場 |
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所在地 |
Sha Tin Centre, Sha Tin, N.T. > 周辺の地図はこちら |
電話番号 |
+852-2608-9329(Phase1) +852-2691-6576(Phase3) |
営業時間 | 10:00~22:00 ※店舗によって異なりますので、各店舗の営業時間は公式サイトにてご確認ください。 |
備考 | 公式サイト |
この界隈には地元の人に親しまれている寺院が二つあります。その一つが1万体以上もの仏像が並ぶ「萬佛寺」。沙田駅B出口を出て、向かって左側にあるスロープを降りていくと、道路を挟んで反対側位に「新城市中央廣場(Grand Central Plaza)」という建物が見えます。
この建物の左側を歩いていくと、「沙田中央郵政局(沙田政府合署)」が見えてきます。
さらにこのビルを左手に沿って歩いていくと、参道入り口があります。
参道入り口は特に目印になるものはありませんが、遠くに仏像がみえるのですぐわかります。駅からここまでおよそ10分ほどかかります。
> 参道入り付近の地図はこちら
参道入り口から、ずらりと並んでいる金色の光り輝く仏像たちがお出迎え。しかしこれは序の口にすぎません。ここから徐々に道が険しくなり、急な坂道をおよそ20分ほど歩いていかなければ「萬佛寺」には辿り着きません。取材した日は、ちょっと肌寒い日でしたが、坂道を歩き続けるとすぐに汗だくに。歩きやすい格好で行かれることをお勧めします。
ごらんのように、仏像は一体一体の表情は異なり、とってもユニーク。思わず笑ってしまうような仏像もあり、なんだか誰かに似ているな~なんて思いながら歩いていると、いつのまにか山頂に到着しました。こちらは山頂からの沙田の眺望!風があり気持ちよかったです。頂上にはレストラン、カフェなどは特になく参拝のみでした。
「萬佛寺(万仏寺)」は字のごとく万に及ぶ仏像のある寺。ここには12,800体もの仏像、観音像などが祀られています。月溪法師が1949年に開山し、1957年に完成させました。仏像が金色に塗られたのは1982年ということで、比較的新しいものです。取材した日は、朝から観光客の方が多く登っていました。駅から比較的近い場所にある寺院ということもあり、沙田に来たらぜひとも訪れたい観光スポットの一つです。
<クリックすると拡大します>
スポット名 | 萬佛寺(万仏寺) |
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所在地 |
221 Pai Tau Tsuen, Sha Tim, New Territories, Hong Kong 香港新界沙田排頭村221號 > 周辺の地図はこちら |
電話番号 | +852-2691-1067 |
開放時間 | 9:00~17:00 |
備考 | 公式サイト |
沙田に来たら、ぜひとも行きたいのが老舗広東料理レストラン「龍華酒店(Lung Wah Hotel Chinese Restaurant)」。1950年に開業。店名に酒店と書いているのでホテル?と思いがちですが、現在はレストランのみ営業。「鳩料理」で有名なレストランとして地元の人にも観光客にも愛されるレストランです。
※【酒店】・・・台湾以外の中国語で「ホテル・旅館」の意。
沙田駅B出口から向かって左にあるスロープをおりて、まっすぐ歩いている行くと、上禾輂村(Sheung Wo Che Village)が見えてきます(看板がでています)。駅からは徒歩で10分ほどです。
レストランのエントランスは営業しているのか不安になるほどのレトロ感満載な雰囲気。真っ赤な提灯が吊り下げられたアプローチを歩いていくと、ようやくレストランに到着しました。
タイムスリップしたかのような空間は、食事をする前からなんだかわくわくする気分にさせられます。
実はこちらのレストランは開業時の50~60年代に多くの香港映画が撮影された場所としても知られています。香港アクションスターとして世界的に有名なブルース・リー主演の映画「唐山大兄(ドラゴン危機一髪)」のロケもここで行われたとのこと。店内のいたるところにブルース・リーの写真や絵が飾られており、当時をしのばせます。
さて、お待ちかねのお食事です!いくつか鳩料理があるなかで断然人気の「红焼頂鴿(鳩ロースト)1羽98香港ドル(約1,400円)」はオーダー必須です。お店の人にはローストしたままの状態かカットしてもらうか聞かれましたが、今回はローストした状態のままでお願いしました。
周りのテーブルを見ても皆さんローストをオーダーしていました。香港では何度か鳩料理を頂いていますが、こちらのレストランの鳩のローストは焼き立てでアツアツのものがでてきます。外はカリカリでなかは肉厚でとってもジューシー。臭みはなく鶏肉よりやや硬めでしつこくない味わい。リピートしたくなる美味しさでした。
「竹笙扒鴿蛋(鳩の卵料理)138香港ドル(約2,000円)」は、店員さんのおススメでオーダーした鳩の卵料理。うずらの卵よりやや大きくプルンプルン。淡白な味で卵ぽさを感じないあっさりした食感でした。
「鮑粒福建炒飯(アワビ入り福建チャーハン)138香港ドル(約2,000円)」は、とろみがけの福建チャーハン。レストランでは大人気メニューの一つです。具だくさんの贅沢チャーハンは、味はしっかりしているのに、しつこくなく食べられます。大皿料理なので人数が多いほうがいいかもしれません。
さらに、日本人にはこの料理も人気ありますよ、とお店の人が教えてくれたのが「風沙干炸豆腐(揚げ豆腐)98香港ドル(約1,400円)」。スパイシーなパウダーかかっているので、ビールに合いそうな一品。
どれをいただいても文句なしの美味しさでした。創業して半世紀以上、今も変わらず昔からの馴染みのお客さんで賑わうレストランです。
スポット名 | 龍華酒店 |
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所在地 |
No. 22, Ha Wo Che, Shatin, New Territories 香港新界沙田下禾輂22号 > 沙田駅から店までの経路はこちら |
営業時間 | 11:30~22:30(年中無休) |
支払い方法 | 現金、カード(Visa Master) |
言語 | 広東語、標準中国語、英語少々 |
備考 | 公式サイト |
香港の代表的なアクションスター、ブルース・リー(李小龍)が1973年7月20日に32歳の若さでこの世を去り、今年で46年。今もなお世代を超えて不動の人気を誇るスーパースターの特別展示会「武・芸・人生―李小龍」が、沙田にある香港博物館にて只今開催中!
同展示会は李小龍会(ブルース・リー ファンクラブ)の協力によって2013年より開催しているもので、およそ600点の貴重な品々が展示されています。個人的に印象的だったのは、映画のシーンで起用しているポージングなどを几帳面に1シーンごとに丁寧に絵を描いたもの。
当時通っていたのであろうレストランのメモ帳に走り書きしているものもあり、彼の武道家としての強い情熱を感じるものばかりです。さらに驚いたのは、とても繊細な文字で書いた「日本語」。これには感激しました。
会場では実際に映画撮影を行った場所、ブルース・リーの展示会、そしてお忍びで通ったレストランなど、ファンにはたまらないものが惜しげもなく展示されています。
6年前の没後40周年に香港文化博物館で始まったブルース・リー展「武・芸・人生―李小龍」は当初、2018年7月20日に閉幕する予定でしたが、あまりの反響の大きさから会期が2020年まで延長されることになりました。
これまでに参観者は280万人に達し、1年間に56万人が足を運んだことになり、いかに人気が高いかがうかがえます。
開幕時には、彫刻家・朱達誠氏が製作したブルースの高さ3.5メートルの彫像は今も博物館の正面玄関に置かれていますが、このたびの会期延長に合わせた数量限定の記念品として、再度朱氏が型を手掛けた高さ30センチのミニチュア版銅像が登場。会期中には新たな展示品も増えるということなので、一度行かれた人も再訪する価値ありです。
過去記事参照:世界的アクションスター、李小龍(ブルース・リー)の縁の地を訪ねる
場所 | 香港博物館 |
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住所 |
1 Man Lam Road, Sha Tin, Hong Kong > 付近の地図はこちら |
営業時間 | 10:00~18:00(週末は19:00) |
休館日 | 火曜日、旧正月期間 |
料金 | 無料 |
備考 | 香港博物館 |
沙田駅隣にある「大圍駅」の徒歩10分圏内に、歴史ある寺院「車公廟(Che Kung Temple)」があります。駅B出口からバスターミナルにむかい、左側を歩いていきます。
目印のサインが至る所にでているので分かりやすいです。
300年近い歴史のある道教寺院「車公廟」は、黄大仙と並び、特に旧正月の時期になると、地元の人々が多く訪れる場所です。ここには、南宋の武将チェ・クン(車公)が祀られています。チェ・クンは暴動や天災、疫病などを制圧する圧倒的な力で有名になり神としてあがめられるようになりました。この寺院は、沙田に広がった疫病を鎮圧しようと約300年前に建立されたといわれています。
今の寺院の建物は、旧正月の2日目に行われる車公祭の際に寺院を訪れる多くの参拝者を収容できるように、1993年に新たに建立されたもの。
本殿は撮影できなかったのでお見せできませんが、チェ・クンの巨大な銅像とともに、両脇には、太鼓と鐘、風車が備えられています。お参り方法は、風車を回し、その後脇にある太鼓を3回たたきます。この風車を時計回りに3回回すと幸せが訪れるといわれています。また、逆時計回りに3回回すと運気をリセットして、良い運気が訪れるそうです。
参拝者は熱心に太鼓、鐘を鳴らし、風車に手を触れて回しながら祈りを捧げます。
<クリックすると拡大します>
建物名 | 車公廟(Che Kung Temple) |
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所在地 |
7 Che Kung Miu Road, Taiwai, Shatin, New Territories > 付近の地図はこちら |
開放時間 |
8:00~18:00 ※年中無休 |
電話番号 | +852-2603-4049 |
備考 | 公式サイト |
普段から買い物などで沙田エリアは行きますが、実は寺院に行ったのは取材をした今回が初めて。中心街とは異なる雰囲気のある沙田の新たな魅力を再発見することができました。
有名な寺院としてこれまで何度か「黄大仙」を取り上げてきましたが、沙田の小さな寺院も味わい深いもの。香港を訪れた際には、寺院巡りをしてみるのも面白いかもしれません。
ちなみに車公廟のエントランス付近には占い師が座っています。もし言葉(広東語・中国語)などできるなら、占いに挑戦してみてはいかがでしょうか。
さて次回は、「香港の銀行事情」特集です。香港で口座開設をしたいけど今の香港の銀行事情が知りたい、という方は必見。主要な銀行を取り上げ比較、口座開設の現状についてお伝えします。
