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中国華南地区注目エリア「横琴新区」潜入リポ
公開日:2019年12月19日

みなさん、こんにちは。楢橋里彩です。
今回は、初めて耳にする方も多いかもしれませんが、中国華南地区の大きな注目エリアである「横琴(おうきん)新区」をピックアップします。横琴島は広東省珠海市最大の島で、土地面積は106万4600平方キロメートル。マカオの3倍、香港の10分の1に相当します。

今から10年前までは大自然に囲まれた、定住人口およそ7000人の未開拓地でした。この横琴島が大きく変わり始めたのが2009年12月。「横琴新区」が新設され、深圳などの「経済特区」以上に特別優遇政策が与えられる位置付けで本格的な開発が始まりました。開発から10年近くたった今、「横琴新区」はどうなっているのでしょうか。最新情報をお届けします。

※1人民元=約16円計算

マカオからすぐに行ける華南地区注目エリア「新琴新区」

香港からは2018年に開通した「港珠澳大橋」を使っていけば片道1時間~1時間半程度でいけますが、今回はマカオまでフェリーに乗って行き、そこから「横琴新区」に入りました。マカオとの最短距離はわずか200メートル。マカオ・コタイ地区と「蓮花大橋」で結ばれています。

2014年にできた出入境管理所であるマカオの「蓮花口岸」から珠海にある「横琴口岸」へ。蓮花と横琴間には川があるため、マカオ出境の後には「蓮花大橋」を通る必要があります。この橋は歩くことができないので有料バスを使います(6香港ドル・約95円・※パタカ・人民元対応)。

バスに揺られること約10分。橋を渡ったところに中国本土の出入境管理所「横琴口岸」が見えてきます。ここで中国本土の入境手続きを済ませます。中国本土入境カードが必要となりますのでお忘れなく。取材した日が平日昼間だったということもあり、時間はかかりませんでした。

横琴口岸の入境が終わり正式に中国本土に入ると目の前には公共バス乗り場が見えてきます。今回はタクシーを利用して移動しました。横琴新区は今もなお大規模な土地開発が進められており、新しい「横琴口岸」がまもなく開業される予定。新横琴口岸では1日あたりの利用者は22万2000人に達する見通し。また、将来的にはマカオモノレールが横琴口岸まで延伸されるとのこと今後「横琴新区」とマカオの行き来がより便利になりそうです。

「横琴島」は今、土地&住宅開発ラッシュ!
7つの分野が優遇に

広東省珠海市にある最大の離島「横琴島」。マカオの土地面積の3倍近くある大きな離島です。2009年12月には「新琴新区」として新たな特別優遇策が政府から与えられ、本格的な土地開発がスタートしました。富裕層向けのレジャー施設を重点に開発が行われており、高級リゾートホテル、療養施設、テーマパークなど、様々な分野の観光スポットが建設されています。

優遇措置は次の七つの分野でとられています。観光レジャー、ビジネスサービス、金融サービス、クリエイティブ、中医学・保健、教育・研究開発、ハイテク産業

主にこうした分野の企業が誘致されており、長隆集団傘下の大規模海洋テーマパーク「珠海長隆海洋王国」や、中医薬などのバイオテクノロジー企業を集めた産業基地「粤澳中医薬科技産業園」などがあります。

周辺には、24時間営業する国際空港が5か所

「横琴新区」周辺には、24時間営業の国際・国内線の空港が5か所も。
(香港国際空港、マカオ国際空港、広州国際空港、深セン国際空港、珠海空港)

◎香港国際空港から「横琴新区」へ移動する場合:港珠澳大橋を利用すると約30分
◎マカオ国際空港から移動する場合:横琴口岸まで10~15分 
◎広州国際空港からの移動:車で約1時間半
◎深セン国際空港からの移動:車で約2時間
利便性の高さを誇ります。

港人港税と澳人澳税を適用

「横琴新区」では、粤・港・澳(広東省・香港・マカオ)の経済一体化を促進していきます。また広東・香港・マカオの緊密協力のモデルエリアとして、「横琴新区」では港人港税と澳人澳税を適用します。香港・マカオ市民は香港・マカオで納税するだけで済みます。香港・マカオの住民・企業に対する特別な優遇策が設けられており、香港・マカオ在住の日本人にもこうした優遇が適用されます。

不動産価格は1平方メートル3万~4万元に

実際に島をタクシーで移動してみましたが、主な基幹道路は完成されており、比較的綺麗でした。ですが開発中ということもありまだ部分的に砂ぼこり状態。完成するまでにはまだしばらく時間がかかりそうです。

島内にはマカオ大学の新キャンパスや若手起業家向け株式市場「中国青年創業板」の「オフラインサービス基地群」の国内初の運営サービスセンター「横琴マカオ青年創業谷」なども設立されており、マカオとの緊密な繋がりがうかがえます。

島内で販売されるマンションの多くはマカオ在住の方、また中国本土の方が購入しているということですが、タクシー運転手に聞いたところ、不動産価格は現在、1平米3万~4万元ほどで、将来的には1平米10万元以上に値上がりするものと見込まれています。土地開発が開始されて以来、中国本土からの不動産投資ツアーも増えているということです。

世界レベルの「中医薬科技産業園」も設立

広東省とマカオの協力で建設される漢方薬産業基地「粤澳中医薬科技産業園」が設立されています。これは、広東省・マカオ特区の両政府による「粤澳合作連席会議」の重要プロジェクトの1つであり、横琴新区のハイテクゾーンで敷地面積約50万平方メートル、総工費12億元を投じて建設されたものです。

両政府が合同で計画、投資、マカオ側が経営権を持つ合弁会社が運営しており、横琴新区の粤澳合作産業園区で初めて始動するプロジェクトとなります。

広東省の中医薬医療・教育・科学研究・産業メリットの統合やマカオの科学技術力と人材資源の結集を図り、内外大手医薬企業を誘致し、中医医療、科学技術成果の実用化、展示会、物流などを一体化とした「国際中医薬産業基地」のプラットフォームを構築します。また、中医薬健康サービス展示会を主催し、世界レベルのサービス医療機構を導入することで、国際交流プラットフォームを生み出します。

ほかにも、CEPA協定における香港・マカオ企業の免税政策優遇分野の電子情報、バイオメディカル、新エネルギー、環境保護、航空製造といった産業を重点的に発展させ、「エコハイテク産業基地」を設立しています。

「横琴新区展示庁」から「横琴新区」の未来を見る

海南省と福建省平潭総合実験区に続く、国内3カ所目の国際レジャー観光島ともいえる「横琴新区」。1992年から本格的な土地開発が始まったこのエリアの未来が見られる場所がここ「横琴新区展示庁」にあります。

2009年12月開業した施設で、3000平方メートルあり広々とした2階建て。毎日午前、午後に一般公開されており、館内スタッフによる丁寧な案内(参会者は要予約。中国語のみ)を聞きながら、ゆっくりと横琴新区の発展の青写真がわかる展示施設、エコロジー理念、経済状況を表すパネルや図解、グラフ、完成予想模型などを見ることができます。

今回私は中国本土からこられた投資家の皆さんと一緒に解説ツアーに参加しました。会場では熱心にスタッフの方に質問をする方もおり、「横琴新区」への関心の高さを実感しました。「横琴新区」は2020年までに観光&レジャー産業を成長させることで、マカオの観光資源との連携を進めていきます。

そして、香港・マカオをつなぐインフラシステムを整備し、「横琴新区」の新しい観光産業チェーンの形成を目指します。ここでは、今後の目標なども詳しく紹介されているため分かりやすく、投資を検討する人たちにとっては内容の濃い場所となっています。


施設名 横琴新区展示庁
所在地 広東省珠海市香洲区顺景路
周辺の地図
一般公開時間 10:30~(50分間)、15:30~(50分間)
備考 公式サイト

不動産投資、株式投資のチャンスは?

国務院は「中国(広東)自由貿易試験区総体方案」のなかで、広東省自由貿易区は南沙、深圳市前海・蛇口、珠海市横琴から成り、中国本土と香港・マカオの深い経済協力を推進するとともに、21世紀シルクロードの重要ハブとして位置付けられると発表。特に人民元建てで越境の決済、投資、融資、株式上場などを推進する金融分野での開放・革新措置が注目されています。

「横琴新区」の登録企業はおよそ2万社。そのうち4割が観光、3割が金融系の企業。今後、国内初の「オフショア金融島」を構築し、新たな国際金融センターとしての発展を目指します。また、香港・マカオとの連携を緊密化させ、「横琴新区」を金融機関、取引プラットフォーム、各種ファンド、仲介サービス機関が集まる区域に作り上げることで、新たな「金融プラットフォーム」を目指します。

巨大エンターテインメント施設が大人気

まだ開発中で人は住んでいないはずなのに、なぜか家族連れや観光客らしき人も多く感じました。それもそのはず。2014年にオープンした巨大レジャーエリア「長隆国際海洋度假区」に行かれる人が多いのです。中国レジャー大手の長隆集団が約200億元を投じたもので、水族館、ホテル、サーカスなどのテーマパーク、ショッピング・センターなどが入っており大規模な複合エンターテインメントエリアです。

一日では回り切れないほどの施設には、イルカ、シャチ、ベルーガのショーや、巨大ジェットコースターなど、遊園地も併設されており、週末になると家族連れが多く、朝から賑わっています。「横琴口岸」から直接タクシーで20分~30分程度で到着。ほかにも「横琴口岸」から無料シャトルバス(30分に1本)もでています。

▶公式サイト:https://www.chimelong.com/zh/

鮮度高い魚介類を楽しめるレストラン「許生漁家樂海鮮餐廳」

「横琴口岸」から車で20分ほどの位置にある、珠海湾仔海岸街エリアには鮮度の高い生き生きした魚介類を食べられるレストランがずらりと並びます。ここは「許生漁家樂海鮮餐廳」のレストランが全て運営しているということで、どこに入ってもほぼ同金額で食事を楽しめます。

レストランに入ると、入口と反対側にある魚介販売の露店に通されます。行くとどの露店からも「こっちは安いよ!」「こっちにおいで!」と大声で声をかけられ、どの露店で購入すれば良いかわからないほどの熱気。ここで好きな魚介類を選び、調理法を選ぶことができます。ただし、「海鮮代理買い付け費用」が別途300元~(約4,700円)かかりますのでご注意ください。


▼露店の様子。



今回オーダーしたのはこちら。

◇辣酒螺(せいろの蒸し蟹)28元(約440円)

◇籠仔蒸蟹類(お酒と麻辣漬け煮込みのタニシ)32元(約500円)

◇蒜蓉粉絲蒸貝類(ホタテのニンニク蒸し)28元(約440円)

◇碎蛋蒸海膽(ウニの茶わん蒸し)28元(約440円)

◇蒜蓉炒時蔬(季節の野菜ニンニク炒め)28元(約500円)

香港の値段よりはるかに安く、特に蟹は味噌がたっぷり濃厚!味付けも、辛さ控えめのものは、きちんと控えめにされているなど、希望通りに味つけでどれをいただいても大満足でした。

店舗名 許生漁家樂海鮮餐廳
所在地 珠海湾仔海鮮街3号(許生海鮮餐庁)
周辺の地図
営業時間 8:00~23:30
電話番号 +86-178-7560-8264
(微信)+86-756-8821488、+86-756-8812811

今回初視察の「横琴新区」エリアは可能性を沢山秘めた場所でした。展示庁での未来予想模型は緑に覆われ、自然が溢れる街並み造りでした。館内の関係者に聞くと島の元々生い茂っていた自然をできるだけ損なわずに緑化政策を意識していくとのこと。

そういえば街のいたるところに花や植物が植えられていたのを思い出しました。まだ開発途中ではありますが、今後粤港澳(広東・香港・マカオ)大湾区都市がどのように変貌を遂げていくか楽しみです。

なお、中国国内はキャッシュレスが急速に普及しており、ご旅行の際はWeChatPayやアリペイといった決済アプリを事前に登録していくのがおすすめです。

さて次回は「2020年旧正月イベント特集」。1月25日~28日まで旧正月の香港で開催される様々なイベントをご紹介します。

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