
即対処すべく、IBCに他国の商工会議所とともに、薬品の偽物対策の強化を依頼したことがあります。各業界からこのような声を受けて香港政府(税関)では、ちょうどその頃施行された商品説明条例を使い、類似品をあたかもオリジナルの商品に見せかけて販売する者の取締りが行われるようになりました。
先ほども申しましたが、商工会議所には全部で13の部会に分かれており、それぞれの部会が2ヶ月に1度の割合で定例会を開催したり、月に1度のセミナーを開き、会員にとって企業活動のヒントになることを、部会長を筆頭に学んでいます。
たとえば繊維部会でいうと、アジア地域のどの国で生産してどのように流通させるかというのが今の課題です。製造現場のタイや縫製工場のベトナムを視察することもあります。ASEAN各国と、どうのように連携してビジネスを組み立てるかが重要となっています。
一方中国は、人件費が上がっているので工場を撤退する企業も多いですが、サプライチェーンができていることが強みになっています。東南アジアは未だにそこまでのレベルはありませんが、日系企業はチャイナ・プラスワン(※1)をすることで、リスクヘッジしています。
また、中小企業部会は商工会議所会員以外を招待することがあります。たとえば毎年夏に行われるアジア最大規模の食品見本市「フードエキスポ」。昨年参加した日系企業は、250社を超え過去最多となりました。イベント期間中は、参加企業の皆さんや香港地場の商工会議所の関連会員を招いてミーティングを行い、情報交換をしています。
※1 【チャイナ・プラスワン】
日本の製造業などが、製造拠点を中国に集中して構えることによるリスクを回避するために、中国意外に生産拠点を持ち、分散投資をするという戦略。
70年代から今まで、3度香港に駐在されている柳生さんに「一番懐かしくて戻りたい時代は?」と質問をしました。「70年代です。どの時代の香港も好きですが、人々がほどよくストレートで純朴な時代でしたから」とおっしゃっいました。今のようにどこでも日本食材が買える時代ではなかったそうですが、値段が高くても買物をすることが楽しかったんだそうです。気軽に日本食が食べられる今、時代の移り変わりを感じました。
高度経済成長期を経て、日本から香港に様々な企業が進出して、香港には多くの日本製品が並ぶようになりました。ここまで日本の企業が香港へ進出した背景には、日本人商工会議所や日本人倶楽部の大きな支えがあるんだと、柳生さんのお話から感じ取れました。
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