若林栄四 ニューヨークからの便り

若林栄四(わかばやし・えいし)

1966年東京銀行(現、三菱UFJ銀行)入行。シンガポール支店、本店為替資金部及びニューヨーク支店次長を経て勧角証券(アメリカ)執行副社長を歴任。現在、ニューヨークを拠点として、ファイナンシャル・コンサルタントとして活躍する傍ら、日本では株式会社ワカヤバシ エフエックス アソシエイツ(本邦法人)の代表取締役を務める。

【著書】
・黄金の相場予想
・世界一やさしい図解FXの教科書
・異次元経済 金利0の世界
・富の不均衡バブル
・etc

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FRBの受難

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バイデン政権の財政、金融政策の総動員でマーケットにはインフレ懸念が高まっている。インフレ関連の経済指標は確かに1年前のコロナ禍最悪期と比べると、YOY (前年比)で高い目の数字が出るが、それはもちろん本質を映していない。

今の経済の問題点はバイデノミクスが指摘するように、slack が問題の本質であり、それが長年の低金利の背景であり、3%超のマイナス成長の後、GDPの15%になる財政支出をばらまいたとしても、それが一気にインフレにつながるとは到底思えない。

そもそもこのパンデミックは、強制的に需要と供給を同時に消滅させるという極めてデフレ的な現象である。そこで起こった経済のストック面のダメージは巨大である。ストック面のダメージはFRBのように資金供給だけでは何の意味もない。というのは国民経済のプライベートセクターのバランスシートが、痛んでいるからである。キャッシュフローを確保することは悪いことではないが、バランスシートの改善にはつながらない。タックスペイヤー(納税者)のカネを無償でギブアウトすることにより初めてバランスシートの改善につながるのである。

今回の財政の巨額の出動はその無償のギブアウトである。しかし、傷んだバランスシートの改善はいきなり効果を発揮するものではない。長い時間をかけてバランスシートを改善し、初めて前向きの経済活動が可能になるのである。そのうえでフルシリンダー エンジン全開となる。それまでインフレの恐れは杞憂に終わるだろう。

そもそも米国のインフレはドルが金の縛りを離れた1968年の金2重価格制の採用から始まっているとみるべきで、2021年では日柄が合わない。少なくとも59年の日柄とみると2027年あたりまでは基本的にインフレの心配はないだろう。むしろリスクはデフレということではないかと思われる。

1913年に設立されたFRBは今年で108年目の黄金分割の節目のタイミングを迎える。

1980年以降大過なく暮らしてきたFRBに何らかのクライシスが訪れてもよい日柄である。FRB が一番困るのはインフレではなくデフレである。デフレに対してはもう打つべき手段を持っていない。9.5兆ドルまで膨らんだFRBのバランスシートをさらに膨らまして、民主主義の正当性を欠く中央銀行の経済介入を繰り返すのか。

今年から来年にかけてFRBの危機が訪れるような気がする。

その危機は対処が簡単なインフレではなく、対処が難しいデフレではないか。それでなければ108年目の危機にふさわしくないだろう。

9.5兆ドルのQE (量的緩和)をやってしまい、エコノミストであるFRB 官僚がこれ以上は手を拱くしかないデフレに直面、右往左往するところをバイデン政権の財政出動がかろうじて米国経済の大崩壊を防ぐというシナリオになりそうだ。そのためにジャネット イェレン元FRB議長がバイデン政権の財務長官に座っているとみれば極めて説得的なシナリオである。それが名実ともに財政金融のポリシーミックスの交代ということなのだろう。

4月末米国株式市場は、第1四半期の企業決算特にビッグ・テックの絶好調に、新高値を更新している。そうした中で誤ったインフレ懸念が盛り上がっている。

しかし、パンデミックによる一時的な落ち込みからの反動である景気回復は当然長続きしない。

IMFの見方では、このパンデミックで、労働、資本の供給量が減少、潜在成長率は低下し、需給ギャップはデフレギャップを拡大させる。その結果物価は下落する。

経済の先行きに対する期待も今がピークで、これ以上は高まらないだろう。その中で先進国経済は1-2%の低成長が続くというのがIMFなど国際機関の見方である。反動ユーフォリアは、はげ落ちるのは時間の問題だろう。

なにせこの株式市場のラリーは一番直近の底から見ても12年間の大ラリーである。

直近の底は2009年3月の、リーマンショック後安値は、NYダウは6469ドル、SP500は666が底値となっている。

2009年3月の悲観の大底から48四半期―12年は黄金律でいけば95.5単位47.75四半期のタイミングで21年3月あたりで楽観の極に振れ、そのユーフォリアは継続、すでに4月末には12年間で5.3倍、SP500で6.3倍まで株価を押し上げている。

NASDAQは12年間で実に10.4倍である。

Roaring Twenties(怒涛の20年代)と言われた大恐慌前の好景気でNYダウは1921年7月の63ドルから1929年9月の386ドルまで8年間で6.12倍の上昇であった。それから大恐慌が訪れるのである。

どこから見ても異常な現在の株高がいつ崩れてもおかしくないとみるのは極めて自然である。

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