中国株投資家のみなさん、こんにちは。
16日(木)のハンセン指数は僅かに高寄りしたものの、すぐに売りに押される展開となりました。
後場に入ると下げ止まったものの戻りは弱く、終値は1.46%安の2万4667.85ポイントで引けました。
16日(木)の中国企業指数は1.46%安で引けました。
参考として、2021年以降の主要4指数の値動きを示しておきます。
ハンセン指数は4日続落となりました。
7月20日、8月20日と下値を切り下げていましたが、16日は更に安値を更新してしまいました。
中国恒大集団(03333)の債務危機が市場全体に暗い影を落としています。
新型コロナ禍で急落した株価は昨年7月、一旦大きく戻したのですがそれ以降、厳しい下げが続いています。
月次チャートをみれば3月以降、6本連続で陰線が出ており、9月もここまでの株価を見る限り、陰線となっています。
中国政府はここ数年、不動産価格抑制策を強めています。
同社はこれまで、当局の意向を無視してレバレッジを目いっぱいかけて不動産事業を拡大してきました。
海外進出もそうですが、事業の多角化にも積極的でした。
バブルの象徴のような同社です。
不動産会社は他の業種と違って倒産しにくいとはいえ最悪の事態が起きないとは言い切れません。
そうした場合に、当局が助けるとは思えません。
金融システムの問題は国内の銀行だけを支援し、海外金融機関については市場原理での処理を押しつけるかもしれません。
1990年代後半、朱鎔基元首相が行った国際信託公司の債務処理の再現となりかねません。
この時は地方政府の暗黙の保証が付いていると考えていた海外投資家にとって、市場原理での処理には大きく失望させられました。
今回もし同じことが起これば、欧米投資家は投資意欲を大きく削がれかねません。
軟調な相場となっているのは投資家のこうした懸念も要因の一つだと思います。
足下の景気減速も株価の足を引っ張っています。
15日寄り付き前に発表された8月の経済統計は以下の通りです。
鉱工業生産:5.3%増、前月と比べ▲1.1ポイント
固定資産投資(累計):8.9%増、前月と比べ▲1.4ポイント
小売売上高:2.5%増、▲6.0ポイント
生産についてみると、自動車生産量が▲19.1%減(前月と比べ▲3.3ポイント)、鋼材が▲10.1%減(▲3.5ポイント)、原油加工量が▲2.2%減(▲1.3ポイント)、発電量が0.2%増(▲9.4ポイント)と大きく減速しています。
もちろん、昨年の大幅反動のさらにその反動といった面はありますが、それを考慮しても、この鈍化は大きく、サプライズとなりました。
需要面では、小売売上高の伸び率が大幅に鈍化したことがサプライズとなりました。
新型コロナ禍拡大に対して当局が厳しい対策を講じたことで、レストラン、小売が大きなダメージを受けました。
引き続き電子商取引の拡大は続いていますが、それだけでは吸収できませんでした。
もっとも、国家統計局は合理的な経済運行の範囲内にあるといった立場を全く崩していません。
その分、景気対策出動の可能性は薄いように思います。
ただ、当局は金融面の安定には充分注意を払っています。
8月17日に行われた中央財経委員会では共同富裕の促進が話し合われたのですが、同時に重大な金融リスクの防止・解消、金融の安定的な発展についても話し合いが行われています。
景気対策というよりも、金融リスク防止、金融市場の安定と言った観点から預金準備率の引き下げなどの金融緩和措置が行われそうです。
市場への資金供給はタイムリーにかつ十分行われるとみられます。
直接的な影響ではなく、中国経済、金融の安定と言った間接的な要因から香港市場にもその恩恵はあると思います。
また、欧米機関投資家が懸念する共同富裕の促進ですが、イノベーションを押さえつけるのではなく、イノベーションの加速による弊害を取り去ることが行われているだけで、イノベーションを加速させる大方針そのものは引き続き重視されています。
2050年に社会主義現代化国家を打ち建てる、中国を強国にするといった目標は全く揺るぎません。
そのためにイノベーションの加速は不可欠です。
テンセント、アリババ、美団など、悪材料により大きく下げているハイテク主力銘柄ですが、ここは買いのチャンスだとみています。
ただ、地合いが悪いのでいつ下げ止まるのかは分かりません。
買い下がるぐらいの強い気持ちが必要だと思います。