中国株投資家のみなさん、こんにちは。
25日(月)の上海総合指数は高寄り後、商い閑散の中、終日狭いレンジでの値動きとなりました。
終値は0.15%高の2817.97ポイントで引けました。
セクター別では食品加工、飲料、公共、石炭、自動車などが買われました。
一方、電子部品、通信機器、通信サービス、国防軍事、ホテル・レストランなどが売られました。
25日(月)の創業板指数は0.28%高となりました。
25日(月)の上海50指数は0.50%高となりました。
25日(月)の上海総合指数は日足と出来高をみる限りでは、先週末の大幅な下げを受けて一旦様子見状態となっただけで、下落リスクが軽減されるような何か新しい情報があったというわけではありません。
22日(金)の下げは前場に行われた政府活動報告の内容に投資家が失望したからだと考えています。
ポイントは3つあります。
一つ目は今年の経済成長目標が示されなかった点です。
その理由として、政府活動報告では「グローバルで新型コロナウイルス肺炎が流行しており、経済・貿易の見通しが立たないからだ」と説明しています。
この点について、エコノミストたちもまったく同感です。
しかし、両者では立場が違います。
アナリストとしては、政府にはぜひとも目標を示してもらいたいところでしょう。
政府として目指す目標を設定して、それに向けて積極財政政策、金融緩和政策、長期成長戦略を強化するといった姿に期待したのですが、そうなりませんでした。
二つ目は政策について目新しいところがなかったという点です。
今年の財政赤字率は3.6%以上であり、財政赤字の規模は昨年と比べ1兆元うえることになります。
この財政予算のほかに、1兆元の特別国債が発行され、新型コロナウイルス肺炎疾病対策のために使われます。
確かに積極財政政策には変わりありませんが、税収が減少することによる赤字率の拡大といった面もあり、政府が大きく需要拡大を図るという形とはなっていません。
金融政策にしても、サプライズはありません。
全体を通して"就業"と言う言葉が多用されていて、景気そのものを支えることよりも、まずは雇用の確保、零細企業の救済など、社会を安定させることが重要だといった姿勢です。
投資家の期待する景気対策により資金流動性が高まり、株式市場が活性化されるといった形にはなりそうにありません。
三つ目は香港市場の急落です。
22日(金)の香港ハンセン指数は▲5.56%安、2015年7月8日以来の下落幅を記録しました。出来高を伴っての下げであり、ろうばい売りの様相を呈していました。
急落の要因は政治がらみです。
政府活動報告では最後に近い部分で、「"一国二制度"、"香港人が香港を治める"、"広東人が広東を治める"、"高度な自治"といった方針を全面的に正しく貫き、健全な特別行政区を維持するための国家安全法律制度と執行メカニズムを打ち立てなければならない」といった文言が出ています。
わずか一文ではありますが、この国家安全法という言葉に香港市場が敏感に反応したのです。
トランプ政権は新型コロナウイルスの感染拡大初期において、中国は隠蔽活動を行ったと中国批判を強めています。
華為技術への規制強化、中国企業の締め出しを狙った上場基準の厳格化など、対中強硬策を打ち出しています。
こうした背景での国家安全法の制定ですので、トランプ政権に恰好の攻撃材料を与えています。
本土市場は悪材料が多く、好材料が見当たりません。
新たな政策、資本市場改革などの発動待ちです。