中国株投資家のみなさん、こんにちは。
12日(木)の香港ハンセン指数は安寄り後、下落しましたが、売りが一巡すると狭いレンジでの値動きとなりました。
終値は3.66%安の24309.07ポイントとなりました。
12日(木)の中国企業指数は3.42%安となりました。
先週の下落で200日移動平均線を大きく割り込んで推移しています。
参考として、2019年以降の主要4指数の値動きを示しておきます。
先週は、新型ウイルス肺炎が中国本土に限れば沈静化しつつあるので、3月下旬、あるいは4月中にも流行縮小のメドが立ち始めれば、株価は戻り歩調になるだろうと予想しましたが、そうはなりませんでした。
最大の誤算は、この1週間で、世界での感染が大きく加速したことです。
海外では猛烈な勢いで、新型コロナウイルスの感染が拡大しています。
中国メディアの報道(捜狐、3/12/19:00)によれば、海外(中国以外)における11日(水)の累計患者数は4万6722人で前日と比べ5692人増加、死亡者数は1540人で312人増加しました。
これに対して中国は累計患者数は8万981人ですが前日と比べ26人しか増えていません。
死亡者数は3173人ですが、11人しか増えていません。
中国では都市封鎖、人の移動制限といった厳しい対策を続けたことで、感染の拡大を抑え込むことに成功しつつあります。
しかし、中国以外では強烈な勢いで患者数が増えています。
もう少し細かいデータとして、国別に累積患者数とその増加数(カッコ内数字)を示しておきます。
イタリア:12462人(+2179)
イラン:10075人(+1075)
韓国:7869人(+114)
フランス:2370人(+497)
スペイン:2277人(+103)
ドイツ:1966人(0)
日本:1353人(+29)
アメリカ:1329人(+269)
WHOは11日(水)、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大について、パンデミックを宣言しました。
厳しい措置の打ち出せない国にも感染が拡大してしまったということで、数か月で収束に向かうなどということは、もう不可能でしょう。
感染予防の方法として、中国を参考にすることになるのでしょうが、だとすれば、厳しく人の移動を制限することになります。
そうなれば、旅行・ホテル、運輸だけでなく、消費全体に大きな影響が出るでしょう。
総需要の減少は石油にも及びます。
これまで、アメリカのオイルシェル業界は増産を続けることでシェアを拡大、サウジアラビアや、ロシアはこれを快く思っていませんでしたが、需要減少で価格下落見通しが強まったところで、サウジアラビア、ロシアは増産し、アメリカのオイルシェル業者を追い込む戦略を採るようです。
彼らにとっても原油価格の下落はつらいところですが、オイルシェル業者を潰せば、後が楽になります。
困るのはアメリカのオイルシェル業者です。
彼らのコストは高い上に、借入れ、社債発行を通じて、大きなレバレッジをかけて事業拡大を続けてきただけに、財務上、非常に脆いところがあります。
原油価格の下落はオイルシェル業界だけの問題ではなく、社債市場に深刻な影響を与えるでしょう。
金融危機のきっかけになり得るということです。
こんな状態ではアメリカの株は買えません。
今回のNYダウの下落は非常に深刻です。
中国ではようやく新型ウイルス肺炎の感染拡大をコントロールできるようになったのですが、今度は国内ではなく、海外からの感染拡大を警戒しなければなりません。
当面、厳しい移動制限、出入国制限を続けざるを得ません。
海外だけでなく、中国も景気減速への懸念を払しょくできない状況です。
だから、さらに追加の経済対策が必要なのです。
今週の香港市場は欧米市場同様、試練の相場が続きそうです。