たっしーが教える、中国株なら俺に聞け!!

田代尚機(たしろ・なおき)

中国株アナリスト
1958年生まれ。愛知県出身。大和総研、内藤証券、リード・リサーチ・アンド・プロダクツ(株)を経て独立、TS・チャイナ・リサーチ(株)を設立。現在は生活の拠点を中国に移し、日本と中国を行き来しながらフリーランスとして活動中。マスコミ、金融機関や、個人投資家向けに情報提供を行っている。大和総研勤務時代に1994年から9年間、北京に駐在、中国経済、個別企業の調査を担当。それ以来、中国経済、企業に関する情報提供をライフワークとしている。社団法人日本証券アナリスト協会検定会員。
【著書】
・人民元投資入門
・中国株「黄金の10年」
・レッド・センセーション好機到来!

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貿易摩擦よりもイノベーション型国家建設!!

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中国株投資家のみなさん、こんにちは。

金融当局、BATJの本土回帰を促す!!

3月15日のウォールストリートジャーナルは、「アリババ、中国本土市場への上場を計画」と伝えている。

アリババの広報担当者によれば、14年にニューヨーク証券取引所に上場して以来、当局の規制が緩和され許可が得られればA株上場することを検討してきたと述べたそうだ。
アリババの事業は本土が主体であるが、ケイマン諸島に本社を置いている。中国当局がこうした外資企業の上場を許すとしたら、画期的なことであるが、その可能性が十分出てきた。

上海証券報が2月26日に国家発展改革委員会に取材、「今年はユニコーン企業に対する特別な政策支持があるかもしれない」と発言しており、それ以来、株式市場ではこれが好材料となり、中小型株が上昇している。毎日のように関連情報が発信されている。

中国証券監督管理委員会の閻慶民副主席は3月15日、他国上場企業の自国内上場手段としてよく使われる預託証券について言及した。

「中国預託証券(CDR)は間もなく解禁されるだろう。対象企業としてはニューエコノミーもしくはユニコーン企業が選ばれるだろう。
CDRは両地域で法律・管轄が違うといった問題、地域を超えて監督管理を行わなければならないといった問題に対して有効であり、既に海外に上場した企業、海外市場から撤退して本土市場に戻ろうとする企業にとって有利である。
如何にしてユニコーン企業を定義するかについては、多くの部委と共同で決める必要がある。科学技術部、工信部は技術的なデータを持っており、その標準に達すること、工業インターネット、AIなどに関連することなどが条件となる」などと発言している。


また、上海証券取引所は15日、如何にして市場に資金を導入し、"金融などの虚構経済から実体経済に向かうか"といった問題に答える形で、
「2018年の上海証券取引所はハイテク、新産業、新業態、新モデル企業に注目し、質の良い上場企業資源、BATJ(百度(バイドゥ)、アリババ集団、騰訊控股(テンセント)、京東集団(JD ドットコム))など
突出したユニコーン企業に対する上場サービスを加速強化する」としている。

共産党は明確にBATJに対して、国内市場への回帰を促している。彼らが国内市場に上場すれば、彼らに対してより多くの事業資金を提供することができ、彼らの成長加速を原動力にイノベーション型国家の建設を加速させることができる。

さらに、本土に上場することで、本土上場企業が守らなければならない会計情報の開示、コンプライアンスを課すことができる。
これまでは、フィナンシャルアドバイザーである欧米系金融機関との関係が強く、国家のコントロールが効きにくい状態であったが、そうした状況に一定の歯止めをかけることができるようになる。

もっとも、彼らが国内上場しなかったのには理由がある。本土上場は国有企業改革を優先させてきたといった長い歴史がある。民営企業の上場は後回しにされてきた面がある。

そうした弊害を防ぐために2006年1月、深セン取引所内に中小企業板が創設された。
しかし、上場基準そのものは、わずかに緩和された程度であった。上場基準のより緩い創業板市場が出来たのは2010年6月である。
ただし、歴史が浅く、資本市場に厚みがないこともあり、大規模な資金調達は難しいといった状態が続いている。

経営者からすれば、香港や、アメリカの市場は、世界中の投資家から資金を集めることができ、IPOの規模は格段に違う。資本市場としての魅力という観点から言えば、本土市場は劣っていたと言わざるを得ない。

資本市場の強化は国内新規産業の育成発展を進める上で極めて重要である。当局としてはできるだけ早く、欧米、香港に近い規模のIPOができるように規制を緩和し、また、海外から資金を流入させようとしている。
トランプ大統領は一部の中国企業のアメリカでのM&Aを制限し始めた。
また、アメリカへの輸出に追加関税をかけようとしている。こうした対中政策が続けば、中国企業がアメリカの資本市場を通じて資金調達することを制限されかねない。それは中国当局側からすれば、チャンスである。

そうであれば、本土の資本市場の自由化、国際化を加速させることで、中国企業の海外資本市場からの回帰を促すことができる。海外資本市場への優良企業の流出を防ぐことができる。
さらに、アメリカ市場において投資家が好む中国関連金融商品が不足することで、海外から資金を導入しやすくなり、中国の資本市場を発展させることができる。

今回のユニコーン企業への優遇政策は、国家が進める「イノベーション型国家の建設を加速する」といった大きな目標に対する一つの政策といった位置付けになるだろうが、
アメリカの貿易摩擦に対して単に反発するだけでなく、それを利用して中国の利益となる政策を打ち出そうとしている点で秀逸である。

 

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