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田代尚機(たしろ・なおき)

中国株アナリスト
1958年生まれ。愛知県出身。大和総研、内藤証券、リード・リサーチ・アンド・プロダクツ(株)を経て独立、TS・チャイナ・リサーチ(株)を設立。現在は生活の拠点を中国に移し、日本と中国を行き来しながらフリーランスとして活動中。マスコミ、金融機関や、個人投資家向けに情報提供を行っている。大和総研勤務時代に1994年から9年間、北京に駐在、中国経済、個別企業の調査を担当。それ以来、中国経済、企業に関する情報提供をライフワークとしている。社団法人日本証券アナリスト協会検定会員。
【著書】
・人民元投資入門
・中国株「黄金の10年」
・レッド・センセーション好機到来!

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本土市場は政策待ち!!

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中国株投資家のみなさん、こんにちは。

香港ハンセン指数はなぜ上がる? 香港ハンセン指数が上昇している。

tashiro_20170525_01.png

2016年12月28日の場中で安値21488.82ポイントを付けた香港ハンセン指数は途中2度ほど軽い押し目があったものの、上昇トレンドを形成。5月16日の場中では高値25413.35ポイントを付けている。
これは2015年7月23日以来、約1年10カ月ぶりの高値となった。週末となる19日は少し下げているが、それでも終値は高値圏と言える25174.87ポイントで引けている。

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一方、上海総合指数は5月11日に場中で年初来安値3016.53ポイントを記録した後、自律反発していたが上値は重く、19日の終値は3090.63ポイントに留まっている。

両市場で大きく明暗が分かれているが、本土市場は金融当局の金融リスク縮小政策により、投機の抑制が進んでいる。特殊要因の影響が大きい。

香港の上昇要因は何だろうか?

まず考えられるのは、本土市場から資金が流入しているといった点である。

今年年初から、上海・ストックコネクト、深セン・ストックコネクトを通して流出入する資金動向を見るといずれもネットで流入基調(流入-流出>0、以下簡単に流入と記す)だが、香港から本土への流入額よりも、本土から香港への流入額の方が多い。
その差額を示すと、1月は97億元、2月は139億元、3月は221億元、4月は138億元で、5月に入ってからは19日までで既に163億元に達している。

tashiro_20170525_03.png

細かくみると、香港ハンセン指数は4月19日をボトムに上昇を加速させているが、逆に本土ではその間下落トレンドを形成している。

そこで、4月20日以降、5月19日までの資金流入動向を調べてみると、20日間の内、4月20日、5月8日以外の18日間は全て本土から香港への資金流入の方が多くなっている。

売買代金と流入額を比べると、例えば4月における香港市場の売買代金が1兆2202億香港ドルであるのに対して、本土から香港への資金流入額は266億元で、1香港ドル=0.89元で計算すると、2.4%に過ぎない。
しかし、流入した資金は回転する。また、5月19日現在、これまでに本土から香港に流入した資金累積額は5165億元に達し、これらの資金も一部は回転するはずだ。
そうした観点から、中国から流入した資金による香港市場の押し上げ効果は、アナウンスメント(香港マスコミが本土から資金が流入していると伝えることによる)効果も合わせると、決して無視できるほど小さくないといえよう。

中国からの資金が増えているとはいえ、依然として主要投資家は欧米の機関投資家である。彼らがどう動いたかは、香港市場を分析する上で非常に重要である。

欧米機関投資家のリスク許容度がどうであったかは、NYダウの動きを見ればよくわかる。NYダウについては、2月から3月上旬にかけて上昇、その後軽い押し目を作ったが、4月下旬に高値圏に戻している。
5月17日には1.78%下落したものの、19日現在、下げた分の半分強を戻している。今年に入ってからという時間軸でいえば、欧米機関投資家はリスクオンの姿勢であったといえよう。
香港金融当局は香港ドルを米ドルとペッグさせている。米ドルが他通貨と比べ高くなれば、香港ドルの金利を引き上げるなどの金融政策によって、香港ドルを他通貨と比べ高く保つようにしなければならない。
金融引き締めは株式市場にとって大きな悪材料であり、逆に緩和は好材料である。

今年に入ってからのドルの実効レートを表す米ドル指数はボラタイルな動きを続けつつも、ドル安方向に動いている。これは香港市場にとって好材料である。為替要因も香港市場を活気づかせた要因の一つである。

香港株式市場の株価決定要因は、こうした
(1)本土からの資金流入度合い、
(2)欧米機関投資家のリスク許容度、
(3)米ドルの動向に加え、もう一つ大きな要素がある。それは企業業績も含めた
(4)中国経済のファンダメンタルズである。(4)については、1~3月のマクロは好調、4月は少し不安の残る内容であった。
企業業績については、全体的にほぼ予想通りで、ハイテク関連などはむしろ予想を上回る結果であった。ファンダメンタルズ要因としては、足元の株価にあまり影響を与えなかったのではないかとみている。

共産党は、雄安新区建設、一帯一路戦略の加速といった大戦略や、混合所有制改革、供給側改革といった構造改革を進める方針を示している。
そうした背景での金融リスク縮小政策であることから、引き締め気味の金融政策については香港の主要投資家たちはそれほど意識していないのだろう。

これからどうなるだろうか?

株式市場も、世の中も、一寸先は闇である。上で示した(1)、(2)、(3)、(4)に沿って予想するしかないが、不透明なところが多くて、決定的な予想は少し難しい。
ただし、一つ言えることは、香港市場はファンダメンタルズに比較的忠実な市場であり、その面では好調が続きそうである。マーケットの見通しはほどほどにして、個別銘柄の業績見通しをしっかりと行った方がよさそうだ。

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