中国株投資家のみなさん、こんにちは。
共産党は景気後退ではなく、投機拡大を警戒!!
日本の投資家は中国リスクを警戒しているようだが、少しニュアンスが違うように思う。何が違うかといえば、景気が悪化するリスクを警戒しているようだが、当局は、投機が拡大することを懸念している。
結果的には、金融は引き締め気味となり、不動産バブル、株式バブル、金融商品バブルは抑制され、不要不急の投資はさらに少なくなり、景気はスローダウンするであろうが、それは、中国経済の長期的な成長にとってはプラスである。
望んで景気を減速させようとしている面がある。
先週は二つほど、気になる政策情報があった。
一つは証券市場に関するものである。9日の各社報道によれば、ブルームバーグ社は事情通の話として、「中国証券監督管理機関は両取引所を通じて、証券会社に対して、一帯一路サミット期間中、顧客の取引行動をしっかりと管理するよう要求した」と伝えている。
ある証券会社が子会社、営業部に伝えたとみられる文章も記載されている。その内容は以下の通り。
両取引所の関連部門から通知・要求があり、"一帯一路"サミット会議に際して、敏感な時期となる5月8日から5月16日の期間について、各支店は業務の監督管理を高度に重視し、積極的に協力し合い、顧客の取引行動管理業務をしっかりと行うよう求める。
具体的には以下の2点を要求する。
(1)各部門は管理する顧客の内、活発に取引する顧客、資金量の大きな顧客、重点監視名簿に記載されている顧客について、その取引状況を通知、伝達する。穏やかな取引をするよう呼びかけ、市場に対してショックを小さくする。
(2)株価ボラティリティの比較的大きな銘柄は既に両取引所によって重点的に監視されている。こうした重点管理銘柄における出来高、価格に比較的大きな影響を与える操作行為は、両取引所によって重点的に監視され、監督措置が取られる。
各支店は顧客に対して、敏感な監視の中に置かれており、異常な取引行為を行わないように呼び掛ける。(網易などから要約)
見ての通りであるが、証監会は株価を支えたいのではなく、株価の急騰を押さえたいのである。4月の清明節休場直前に発表された雄安新区建設決定の報道により、関連銘柄が暴騰。
金隅股フェン(601992)、巨力索具(002342)、河北宣工(000923)、渤海股フェン(000605)、唐山港(601000)、保変電気(600550)といった関連銘柄が、軒並み連日ストップ高となった。
証監会は取引所に対して急遽ルールを改定させ、強制的に2日間、取引を停止させている。今回は、そういうことが起きないよう先回りして投機を予防したのである。
もう一つは金融監督管理政策に関するものである。12日の中国証券報は、「監督管理部門は金融重視のバーチャルエコノミーから実物重視のリアルエコノミーへの転換を目指し、指導を強化している」といった内容の記事を掲載している。
アナリストは「第2四半期に入り、金融監督管理政策が集中的に実施されるにつれて、銀行の違法資金が徐々に株式市場から撤退している。
同時に、監督管理が厳しくなる中、銀行資金は伝統的な信用貸出業務に戻りつつあり、オフバランス投資は徐々にセカンダリー(流通)市場からプライマリー(IPO)市場に向かい始めている」などと分析していると伝えている。
背景には監督管理の及びにくい、リスクの高い理財商品を減らし、金融全体のレバレッジを小さくするといった政策がある。
不動産価格コントロール政策の強化や、金融市場への監督管理強化は、4月25日に中国共産党中央委員会政治局が開いた国家金融安全維持に関する第40回集団学習会の内容そのものである。
習近平国家主席は、「金融安全は国家安全の重要な組成部分であり、経済の安定的、健康的発展の重要な基礎となる」と発言しており、以下6項目の任務について言及している。
1.金融改革を深掘りする
2.金融監督管理を強化する
3.リスクのある点について措置、処置を行う
4.実体経済の発展のために良好な金融環境を作り出す
5.指導的立場にある幹部の金融業務能力を高める
6.共産党による金融業務に対する指導を強化する
このように、景気にブレーキをかけるような政策が打ち出されているわけだが、同時に、景気を長期にわたり拡大させるような政策も打ち出されている。
深セン経済特区、上海浦東新区に次ぐ全国的な意義を持つ新区となる雄安新区建設の決定や、APEC、G20会議を意識した一帯一路サミット会議の主催をするなど、大胆な成長戦略が実施されている。
成長戦略に加え、混合所有制改革、供給側改革といった構造改革について加速させようとしている。
結局、中国共産党は短期的な景気循環など眼中になく、長期の発展戦略、構造改革などが政策の核心なっている。
そうした政策を実施していく上でバブルの発生が予想され、それを防ぐ政策が併せて実施されているのである。
株式市場において、こうした政策は短期的には株価の急騰を妨げるもので、残念な部分もあるが、長期投資家にとってはじっくり投資できるだけに望ましいことである。
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