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田代尚機(たしろ・なおき)

中国株アナリスト
1958年生まれ。愛知県出身。大和総研、内藤証券、リード・リサーチ・アンド・プロダクツ(株)を経て独立、TS・チャイナ・リサーチ(株)を設立。現在は生活の拠点を中国に移し、日本と中国を行き来しながらフリーランスとして活動中。マスコミ、金融機関や、個人投資家向けに情報提供を行っている。大和総研勤務時代に1994年から9年間、北京に駐在、中国経済、個別企業の調査を担当。それ以来、中国経済、企業に関する情報提供をライフワークとしている。社団法人日本証券アナリスト協会検定会員。
【著書】
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香港銘柄も本土政策に反応!!

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中国株投資家のみなさん、こんにちは。

NYダウが史上最高値を更新する中で、目立たないが香港市場も好調だ。

香港ハンセン指数は昨年12月23日の時点で終値は21574.76ポイントであったが、その後上昇トレンドを形成している。

2月16日以降高値圏での売り買い交錯となり24日は0.62%下落しているが、それでも終値は23965.7ポイントを付けており、この約2か月で11.1%上昇している。

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昨年9月9日の場中で記録した24364ポイントに接近しており、ここを抜けると昨年来高値となる。

上昇の目立つセクターを挙げると、セメント、鉄鋼、鉱業・非鉄金属、紙、建設機械、自動車、電子部品、海運といったところである。

具体的な上昇銘柄を挙げれば以下の通り。

セメント:中国建材(03323)、北京金隅(02009)、華潤セメント(01313)
鉄鋼:アンガン・スチール(00347)
鉱業・非鉄金属:洛陽モリブデン(03993)、中国アルミ(02600)、江西銅業(00358)
紙:玖龍紙業(02689)、チェンミン・ペーパー(01812)
建設機械:中国龍工(03339)
自動車:吉利汽車(00175)、広州汽車集団(02238)、長城汽車(02333)
電子部品:舜宇光学科技(02382)、通達集団(00698)
海運:チャイナ・コスコ(01919)、太平洋航運(02343)、中外運航運(00368)

なぜこれらのセクターが上がったのか?

政策やマクロ経済の動きがそのまま株価に反映されている。

昨年は十三五計画の初年度であり、政策のメリハリが効いた年であった。生産過剰産業の生産が制限され、遅れた設備の淘汰が進んだ。

当局の監督管理が強化され、それらが徹底されたことで、昨年の夏以降、エネルギー、素材の需給が改善された。

一方で、景気は底堅く、需要がしっかりしていたことから、価格は敏感に反応した。セメント、鉄鋼の上昇はこうした点が上昇要因であり、海運については加えてグローバルで原油価格が底打ちしたことが要因である。

紙については国務院による遅れた設備の淘汰が需給改善につながったからであり、供給側改革関連と同じ原理であるが、淘汰は生産過剰というよりも、環境悪化が原因である。つまり、環境対策の強化が紙セクターの上昇要因である。

建設機械についてはインフラ投資加速が要因であり、自動車については優遇政策の延長、各社の積極的な新車投入、SUVを中心に予想以上に需要が強いことなどが要因である。

ネットショッピングが流通業界において革命的な変化をもたらしている。それは単に都市部で流行っているといったレベルではなく、農村を消費市場に引き込んでいるイメージである。

共産党は、都市部の下水道、排水機能を強化し、天然ガスの敷設を進めるなど都市のレベルアップを図りつつ、都市の拡散を進めている。その上に、鉄道、高速道路、通信網などの一段の整備を進めようとしている。

中国の一人当たりGDPは8141ドル(2015年、IMF統計、以下同様)にすぎず、日本の32479ドルと比べると、4分の1に過ぎない。

極めて効率(生産性)の低い経済構造だが、それは農村部住民の経済貢献が低いこと、広大な土地を十分に利用できていないことなどが障害となっているからだ。

インフラ投資の拡大こそが中国の潜在成長力を引き出す重要な政策であり、昨年はそれが積極的に行われた。

そのことが、直接的には建設需要を高め、間接的には所得の増加、消費の高度化を通じて、自動車需要の予想以上の強さに繋がっている。

ちなみに、日本のマスコミはインフラ投資を景気対策とみているが、それは間違いであろう。広い意味での構造改革のための政策である。そもそも現在の中国に景気対策など必要ない。

一方で、下落したセクターについては、上昇した銘柄ほどはっきりとした傾向はない。食品、アパレル、太陽電池関連、飲食店などが目につく程度である。

食にかかわる消費は決して悪化しているわけではないが、業界内の競争が激しい。アパレルについては昨年、不良在庫一掃、需要回復などから買われており、今年に入ってからは、上昇の反動が出たとみられる。

また、太陽電池関連に関しては後退気味の優遇政策の影響が出ている。

これからどんなセクターに注目したらよいだろうか?

「政策主導で構造変化が進展、経済が回復している」といった点が株価に反映している。ならば、今後の政策、景気見通しが上昇するセクター探しに役立ちそうだ。

2017年は供給側改革を深化させ、攻略する年となる。

中国人民大学の劉元春副校長は、「今年のマクロコントロールはリスク防止に重点が置かれ、穏やかで健全な中立的な金融政策といった意味合いは変化するかもしれない。

短期的にみれば、利上げの可能性はないだろうが、そのほかの貨幣ツールを用いて間接的に利上げと同じ効果を発揮させるだろう。

経済成長方式の転換に伴い、不動産が固定資産投資をけん引するといった作用はだんだんと小さくなるだろう。

現在行われている不動産コントロール政策は単純な引き締め策ではない。保護するもの、圧力をかけるものの区別がはっきりとしている。投機行動は厳しく抑制され、実需については満たされ、保障される」などと発言している。

ここでは上がってこなかったが、春節明け後、不動産の一角が急上昇している。

具体的には碧桂園(02007)、雅居楽地産(03383)、融創中国(1918)、旭輝控股(00884)、合景泰富地産(01813)など、中高級住宅を扱う不動産開発会社の株価が急騰している。

1月における70大中都市住宅販売価格変動状況を見ると、新築商品住宅では目立たないが、中古住宅では底打ち感が出てきた。春節の販売状況も好調であったこともあり、買われているのだろう。

短期的には回復基調が続くだろうが、どこかの段階で、不動産コントロール政策が強化されるだろう。不動産はあくまで短期勝負である。

昨年と今年では、政策は変わらない。今年目立った変化があるとすれば、一帯一路戦略、混合所有制改革あたりではなかろうか。

また、環境関連が一服となっているが、そこもねらい目であろう。

業績の良くなりそうなセクターはこの半年間で相場になったセクターである。それらの間で循環物色が進むとみている。

全体相場については、本土は穏やかな上昇相場となりそうだ。

中国人民銀行は、金融レバレッジを縮小させること、つまり金融機関に対して理財商品の無謀な拡大、国債の投機、過剰な不動産融資、不動産ローン、証券会社の信用取引業務拡大のための資金供給などを押さえようとしている。

本土での株式バブルは起きにくい。投機資金は本土ではなく香港に流れ込むだろう。

券商中国は2月19日、「年金運用ファンドについて来週にも、その資金が運用者の手に渡るとみられ、約100億元規模の資金が、"バリュー投資"、"アクティブ投資"などの投資ファンドに流入するだろう」と報じている。

昨年12月6日、「年金資金の本格的なA株投資解禁が近付いており、運用口座への入金を待つばかりである」と伝えている。

21社の年金運用者名簿が明らかにされており、この内14社が公募ファンド、3社が保険会社、3社が資金管理運用会社、1社が証券会社である。

年金運用者は割安な香港市場への投資を拡大するのではないかとみられる。本土からの資金流入が香港市場の上昇を支えていきそうだ。

リスク要因は、アメリカである。ドル高による香港市場からの資金流出や、NYダウ急落に伴う機関投資家のリスク回避などが心配である。

簡単に読める相場などない。長期投資にこだわり過ぎず、マーケットリスクに注意しながら、循環物色の波に乗って、利食いを重ねていくやり方がよさそうだ。

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