酒匂隆雄が語る「畢生の遊楽三昧」

酒匂隆雄(さこう・たかお)

酒匂・エフエックス・アドバイザリー代表
1970年に北海道大学を卒業後、国内外の主要銀行で為替ディーラーとして外国為替業務に従事。
その後1992年に、スイス・ユニオン銀行東京支店にファースト・バイス・プレジデントとして入行。
さらに1998年には、スイス銀行との合併に伴いUBS銀行となった同行の外国為替部長、東京支店長と歴任。
現在は、酒匂・エフエックス・アドバイザリーの代表、日本フォレックスクラブの名誉会員。

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トリプル・ブルー。

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最近、トリプル・ブルーと言う言葉を耳にする。

トリプルは三つ、ブルーは青の意味だが、ブルーは現在トランプ大統領と3週間後に迫った大統領選挙を争うバイデン元副大統領が所属する民主党のシンボル・カラーである。
一言で言えば、"三つの民主党"であろうか?

今此処でトリプル・ブルーが話題になってきたのは、11月3日の大統領選挙でバイデン氏が勝利し、同時に三分の一が改選される現在共和党が過半数を占める上院で民主党が過半数を獲得すると、現在民主党が過半数を占める下院と合わせて、大統領、上院、そして下院の三つの全てを民主党が占めるトリプル現象が起きる可能性が高まってきたからである。
このトリプル・ブルーの事をトリプル・ウェーブ=(三つの波)とも呼ぶらしい。


第一回目のトランプ対バイデンのテレビ討論以降、バイデンの支持率が上昇しており、数字の上ではトランプ再選の確率は益々減っている。

今迄は何となく、トランプ再選なら大きな波乱無し、バイデン新大統領誕生なら株価は暴落して金融界は大混乱となり、恐らくドルも下げるのであろうなと思っていたのだが、市場はどうやらそんな簡単な展開とはならないと判断し始めた感が有る。 

その結果、9月は調整色の強かったニューヨーク株式市場は再び上昇に転じ、10年債利回りも0.8%に近付くまで上昇してきた。

この背景には今迄バイデン候補の増税プランにだけ目を向けていた市場が、同時に推し進めようとする大規模な財政支出による経済効果に対して前向きに考えだした点が挙げられよう。
"増税はするだろうが大統領に成った途端、特にコロナ禍でアメリカ経済が弱っている状況ではいきなりの増税はあるまい。少なくともある期間は増税せず、むしろバイデン候補が公約している財政支出による経済効果の方が大きいのではないか?そうなると株価にとってはプラスではないのか?"との期待が出始めたのである。
財政支出が拡大すれば当然債券市場の需給は供給過多となって債券価格は下がり、金利は上昇する。
株価上昇+金利上昇の図式が出来上がる。
これは典型的なリスク・オン(投資家がリスクを好んで取って、安全資産を売る。)となり、ドルは売られる筈である。
当然、ユーロやポンドは対ドルで上昇する可能性が高いが、ドル・円相場の行方を占うのは難しい。
と言うのはリスク・オンでドルが売られるのと同時に円も売られるからである。
ドル売りと円売りが同時に進めば、弱い通貨同士の通貨ペアーであるドル・円は動きづらくなると思われる。

現状ではバイデン候補が圧倒的に有利と言えども、選挙は水物。
現在でも、"2期目再選を狙う大統領は圧倒的に有利。特に株価が堅調である時の現職大統領の再選率は極めて高い。バイデン有利を唱える人は隠れトランプの存在を過小評価している。"と今でもトランプ再選を疑わない共和党びいきは沢山存在する。

大統領選の結果を推測してシナリオを描いてみると、
1) トランプ大統領再選、上院共和党過半数維持。
これは現状維持で大きな波乱は無し。
コロナ禍以前の予想はこのシナリオが最も優勢であった。

2) トランプ大統領再選、上院共和党過半数を失う。
大統領共和党、上院民主党、下院民主党となり、ホワイト・ハウスと議会とのねじれが拡大し、トランプ大統領の政策遂行が難しくなり、株価は下落して金利も下落。 

3) バイデン新大統領誕生。上院共和党過半数維持。
大統領民主党、上院共和党、下院民主党となってホワイト・ハウスと議会とのねじれが拡大し、バイデン新大統領の政策遂行が難しくなり、株価は下落して金利も下落。 

4) バイデン新大統領誕生。上院共和党過半数を失う。
大統領民主党、上院民主党、下院民主党のトリプル・ブルーが実現しバイデン新大統領の政策遂行が優しくなり、株価は上昇して金利も上昇。 
これが現時点で市場が期待するシナリオに成りつつある様な気がする。

さて、必ずこのシナリオのどれかが実現する訳であるが、先ず3)、4)のバイデン新大統領が誕生する場合も、その勝利が圧倒的なものであればトランプ現職大統領が潔く負けを認める可能性が有るが、これが僅差での勝利となれば間違いなく選挙結果にケチをつけて連邦最高裁に選挙の無効を訴える可能性が高く、大混乱となる危険性が有る。

為替で言えば、1)はドル小幅上昇、ドル・円も上昇、2)はドル小幅上昇、ドル・円は金利下落に伴って小幅下落、3)は2)と同じくドル小幅上昇、ドル・円は金利下落に伴って小幅下落、4)はドル下落、ドル・円は金利上昇分を打ち消すドル安が優勢となり下落と見るが、果たしてこうすんなりとシナリオ通りに相場が動くかどうかは全く分からない。

15日に予定されていた第二回目のトランプ対バイデンのテレビ討論がトランプの反対により中止が決定されたらしいが、圧倒的に不利な状況を理解しているであろうトランプ大統領が選挙をあと3週間に控えて何をしでかすか分からないというのは不気味である。

ドル・円に関してはドルとパラレルに動く状況は変わらず、動きづらい展開が予想されるが当分ニュースのヘッド・ラインに注意しておく必要が有りそうだ。

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