酒匂隆雄が語る「畢生の遊楽三昧」

酒匂隆雄(さこう・たかお)

酒匂・エフエックス・アドバイザリー代表
1970年に北海道大学を卒業後、国内外の主要銀行で為替ディーラーとして外国為替業務に従事。
その後1992年に、スイス・ユニオン銀行東京支店にファースト・バイス・プレジデントとして入行。
さらに1998年には、スイス銀行との合併に伴いUBS銀行となった同行の外国為替部長、東京支店長と歴任。
現在は、酒匂・エフエックス・アドバイザリーの代表、日本フォレックスクラブの名誉会員。

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ペット飼育不可。

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昨日、昔飼っていたオカメ・インコの話をしたがあの騒ぎの直後に犬を飼うことになった。

 

これも20年以上前の話である。

 

ある夏の日曜日の朝、未だ寝床で惰眠を貪っているとリビング・ルームが騒がしい。

何だろうと思ってリビング・ルームに行ってみるとカミさん、長女(中学生だったかな?)、そして小学生の長男が小さな犬を囲んで騒いでいる。

またそれが泥だらけの汚い犬でブルブル震えている。

筆者。"何だ、この犬は!"

カミさん。"さっき、小学校の里親犬の会で貰って来た。"

長男。"飼いたい。"

筆者。"駄目だ。どうせちゃんと世話なんてしないだろう。それと何で震えているんだ、病気なんだろう?"

カミさん。"さっきまでは震えていなかった。恐らく冷房が効き過ぎて寒いんだよ。"

長女と長男。"散歩にも連れて行くし、ちゃんと世話をするから絶対に飼いたい。"

 

実は筆者は動物が好きなのだが、兎に角びっくりして最初は反対した。

皆でワーワー言いながら洗ってやったら、何だか可愛い顔をしている。

筆者。"まあいいだろう。だけど世話をしなかったら返すからな。"

 

名前は"はな"と名付けられた。

 

小さい頃リビング・ルームで飼っていたのだが朝一番最初に起きる筆者の顔を見ると嬉しくてじゃーっとおしっこを絨毯の上に漏らす。

夕方筆者が帰宅すると又嬉しくてじゃーっとおしっこを玄関に漏らす。

 

世話をするのは家族の約束だから、"おーい、漏らしたぞ!"と怒鳴ると誰かが面倒を見ていた。

 

"はな"は大人しく、只の一度も吠えたことは無かった。

人懐こくて、散歩をしていると"はなちゃん、はなちゃん。"と近所の人が声を掛けてくれた。

 

さて我々が住んでいたマンションは賃貸で、勤めていた銀行が借り上げて社宅の様な感じで住んでいた。

外国人向けの物件で、3LDK.220平方メートルもあり、床は全て絨毯が敷かれていた。

(隣に横浜マリノスでプレーしていたアルゼンチンのワールドカップ代表のメディナ・ベージョと1階にはサパタと言う有名なサッカー選手が住んでいた。)

 

住んで丁度10年が経ち、壁紙と絨毯を取り換えて欲しいと仲介業者(超有名な会社)に電話したら、"お伺いして拝見させて頂きます。"と言って数日後に担当の女性が訪ねて来た。(筆者は出勤中でカミさんが対応した。)

 

ピンポーンと鳴ってその女性が玄関に入った途端に"はな"が奥から猛ダッシュで現れて一生懸命しっぽを振って歓迎の意を表した。(らしい。)

 

女性はびっくり仰天して、"い、犬を飼っていらっしゃるんですか?犬を飼ってはいけないんです!"と叫び、"失礼しまーす。"とそそくさと帰って行ったらしい。

 

帰宅するとカミさんが顛末を話してくれたがどうもピンと来ない。

すると10日くらい経ってから仲介業者から手紙が来て、"重大な契約違反が有る(ペットを飼ってはいけないのに勝手に飼っている。)ので、ペットを処分するか退去して頂きたい。"と言う。

契約違反って言ったって、契約は銀行がしたんだし自分は契約書なんか見てはいない。

それに同じマンションの中で多くの家で犬を飼っているではないか?

 

電話をしてその点を告げると、"マンションの所有者はペットを飼っても構わないが賃貸契約で入っている人は犬猫のみならず小鳥だって飼ってはいけないんです。契約書に書いてあります。"とけんもほろろである。

 

慌ててその契約書なるものを見ると確かに"如何なるペットの飼育も不可。"とちゃんと書いてある。

 

カミさんはどうしよう、と殆ど泣き顔である。

 

"はな"はもう家族の一員。処分など出来る訳が無い。

では退去しなくてはいけないではないか。

 

もうそれから大変。

本屋から分厚い賃貸物件が載っている本を買ってきて幾つかの物件を見て回ったが、ペット飼育可で気に入った物件が無い。

 

どうしようかと悩んでいる最中に偶々高校の後輩で時々一緒に飲む有名な弁護士と会う機会が有り、"参っちゃったよ。"とこの話をすると、話を聞いた後その後輩が"なーに、酒匂さん放っといて良いですよ。わんちゃんが夜吠えたり、誰かを咬みついたり、廊下でおしっこをするなどの公序良俗に反する行為(そう言えば大学で習ったな。)をしていない限り出ていく必要なんか有りません。"としらっと言う。

"だけど契約書にペット不可って書いてあったよ。"と言うと、"だってそれを知らなかったんでしょ?知ってて確信犯的に飼っていたのではないのだから既得権の方が優先します。明日先方に弁護士が犬を手放すもことも退去することも必要無いと言ったと伝えて下さい。"と言われ、その様にしたら後日再び女性の担当者が来た。

その時は筆者が同席し、はなは隣の部屋に隔離しておいた。

 

彼女がリビング・ルームを見たいと言うので案内すると玄関で"あ、靴は脱いで使って頂いているんですね。"と言うので、"日本人なんだから靴は脱ぐでしょう。"と返すとぐっと雰囲気が良くなった。

 

リビング・ルーム、ダイニング・ルーム、そしてキッチンをぐるりと見て、"随分綺麗にお使い頂いているんですねえ。わんちゃんの匂いもしませんね。"と感心している。

 

家を綺麗にしているのはウチの庭師(カミさん)だから何も言うことは無い。

 

当初の目的は壁紙と絨毯を取り換えることだったので筆者がこう切り出した。

"こうしません?我々が出て行った後お宅はどうせ壁紙と絨毯を再び取り換える必要が有るでしょ?今回は何もしないでこのままにしておいて、我々が出て行った後にそれをやったら無駄が省けますよね?"

担当者は即答した、"それは寧ろ我々も助かります。但し退去為さる時のチェックでわんちゃんによるダメージが発見されればお預かりしている敷金(今はこう言ったものは無いらしいがその頃は入る時に取られっ放しの礼金と敷金を数百万円支払った。)から修繕費用を引かせて頂きますので宜しくお願いします。"

 

No problem !=(問題無し!)

 

そしてそれから約5年後くらいに現在住んで居るマンションに越して来た。

 

退去する数週間前にまた担当者が数人引き連れてチェックに来た。

220平方メートルの家の中を皆でぞろぞろ歩いて回っていると、皆が"15年経ったとは思えませんね。綺麗に使って頂いて有り難う御座いました。"と礼を言われた。

 

結局長男が部屋の窓に貼ったシールを剥がすのに数万円掛かったが、預けていた数百万円の敷金がそっくり返って来た。

 

めでたし、めでたし。

 

 

 

教訓その一。

人様からお借りして使っている物は大事にすること。

教訓その二。

困った時はその筋のエキスパートに相談すること。

教訓その三。

主張すべき事はちゃんと主張すること。

 

 

在りし日の愛犬はな。

 

はな.JPG

13歳で亡くなる前の写真で、この頃は日中はリビング・ルームで、夜は筆者のベッドの隣でずっとこの籠に入って寝ていた。

本当に可愛い犬だった。

 

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