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米中貿易戦争の影響と中国株の行方
公開日:2018年11月29日

トレードトレードで何度も取材をさせていただいているTS・チャイナ・リサーチ代表の田代尚機氏に、米中貿易戦争の現状とその影響、そして中国株の行方についてお話を伺いました。

 

米中貿易戦争の影響と中国株の行方
米中貿易戦争の現状をどう見ていますか。
田代
両国にとって厳しい状況ですね。関税率が上がっているので、輸出量が減りますし、企業も利益を削って対応せざるを得ない。

ただ、決算の数字を見ると、米国企業についていえば、輸出入業者の両方に影響が出ています。

家電やアパレルなど中国で作って米国内に輸入する業者は、みんな苦しいと言っています。他に調達先が変えられれば良いのですが、なかなか難しい。サプライチェーンで、中国が生産工程のひとつに組み込まれているからです。

たとえばスマホ。日本や台湾、韓国から部品を調達して、中国で組み立て、アメリカに出荷するという一連の流れが出来ています。中国がグローバル化の中にがっちり組み込まれていて、アメリカ企業はそれを利用して大きくなりました。
田代尚機
田代
もうひとつは、ボーイングやキャタピラーのように輸出している側も厳しい。

今、中国側の対応は、受け身です。アメリカがこうしたから中国も厳しくやろうということです。現状、影響を最小限に止めようとしていますから、まだそれほど影響は出ていませんが、必ず今後、その影響が出てきます。

だから輸出業、輸入業の両方にとって厳しい状況なのです。トランプ政権の高官連中は、追加関税政策は失敗だったと言っています。

そのような状況で、ペンス副大統領が10月4日、あるところで会議を開きまして、中国を批判しました。曰く、中間選挙に介入している、人権を無視している、知的所有権を侵害しているというように、あらゆる方面から中国を批判しました。中国強硬派が表に出てきているのです。それが今後、どうなるのかが心配です。

中国強硬派の人たちは、アメリカの経済が多少悪くなっても、中国の台頭を許すな、中国に覇権が移行するなんて、とんでもないという人たちです。こういう人たちが、本気に経済を無視した行動に及ぶと、アメリカ経済は厳しくなります。

ただトランプ大統領は、そこまでやらないでしょう。トランプ大統領は商売人ですから、やはり商売が大事と考えるはずです。
習近平国家主席は今、トランプ大統領にやられっぱなしのイメージがあるのですが、
国内的にはどうですか。
田代

日本のメディアでは、習近平国家主席の権力が弱まったとか、長老連中にやられたとか言われていますが、今、実権を握っているのは、あくまでも習近平国家主席です。長老であろうと誰であろうと、習近平国家主席には逆らえません。

対米政策に失敗したからといって、習近平国家出席の首を挿げ替えられるほどの権力を持っている人は、長老と言われている人の中にもいないのが現状です。習近平国家主席の権力は盤石です。

ただ、景気が悪くなると不満が高まってきます。不満が高まると、政敵の台頭を許すことにもなるので、それはリスクとして認識しておく必要はあるでしょう。とはいえ、日本で報道されているほど、足下が揺らいでいることはありません。

 

田代尚機

中国の景気はどうですか。
田代

悪いです。なぜなら景気対策が出来ないからです。今の中国は、不動産バブルを抱えています。かなり危険なレベルです。銀行が傘下の子会社にファンドを組成させて、それを通じて資金を集め、それを担保にして借り入れをし、レバレッジをかけて投資をしています。企業経営者たちも、自分の株を担保にお金を借りたりしています。こういう人たちは、株価が下がると困ったことになる。だから、株式市場の対策は行っています。

ただ、気がかりなのは人口が増えなくなってきていることです。全体の人口は微増ですが、就業人員が減っています。今年のGDP成長率の目標値は6.5%ですが、もう、そんなに成長率を高くする必要はありません。

だから余裕はあるのですが、今までバブルを引き起こすようなことをしてきたため、金融機関が水ぶくれし、地方政府には不良債権が溜まっています。それもレバレッジをかけて行ったわけですから、これからはそれを抑えるために、構造改革を進めています。これは、景気が悪くなったとしても、徹底的に行うでしょう。

それと共に行っているのが供給側改革です。例えば、石炭や鉄鋼、アルミ、紙のように、生産力が有り余っているところについては、新規の設備投資を厳しく制限しています。

このようにして、中国経済の質を変えようとしているので、景気が良いわけがない。そのタイミングで、米中貿易戦争が持ち上がったので、さらに景気が悪くなっているのが現状です。

もう一段、悪くなるでしょう。それが上期の段階で分かったので、7月23日に開かれた会議において、インフラ投資の拡大を中心にして景気対策を打つことが決まりました。また、金融については、貸し渋りにならないよう、預金準備率を低めにしています。

とはいえ、いずれにしても景気を下支える程度のことしかしません。目下の優先順位は、まず徹底的に構造改革を進めること。次に、アメリカとの問題です。

 

米中貿易戦争がさらに深刻化する恐れはありませんか。
田代

メモリーでも何でもそうなのですが、グローバル化しているので、中国もアメリカの製品がないと、立ち行かなくなります。そこを米国の中国強硬派が攻め立てているわけですが、中国も米国に決定的なダメージを与えられるものを持っています。たとえばレアアースなどは代表的ですが、そこは中国側も絶対にやらないと言っています。もしそれをやったら、米中関係は完全に崩壊します。

結論からいうと、壊滅的なことにはならないでしょう。米国もブラフまではやりますが、本当の最後まではやらないと思います。それは米国にとってもマイナスですし、もうひとつ言うならば、中国は米国国債を大量に保有しています。それをもし売却したら、どうなりますか。米国国債のマーケットが崩壊します。それは、米国の金融市場の崩壊にもつながります。

だから、米国の一部からは、中国を徹底的に叩くといった声が聞こえてきますが、そこまでは出来ません。

セクター別に見て、注目点などはありますか。
田代

まず大手不動産の業績は非常に良いのですが、政府が規制を強化していますから、今後は業績の悪化リスクが高まってくるでしょう。とはいえ、非常に悪くなるという気もしませんから、安値買いが良いのではないでしょうか。

資源はしばらく厳しいと思うのですが、供給側改革で需給が締まった部分については買いです。たとえばモリブデンを生産している洛陽モリブデンなどは、良いと思います。あるいは素材で言うと、鉄やセメントは良いでしょう。それと紙。段ボール需要が非常に高まっています。なぜなら、ECの発展によって、発送する際の箱をたくさん必要とするからです。

一番良いのは、AI関連です。ECも含めて物凄い取引が行われていますから、それをビッグデータで解析してやれば、非常に有力なマーケティングツールになります。膨大なデータがあるので、今、何が売れそうなのかが、ビッグデータとAIを使って瞬時にわかるわけです。それも、あっという間に答えが出てきます。ここは非常に強いと思います。

 

田代尚機

株価の行方をどう見ていますか。
田代
景気はまだまだ悪くなります。景気対策よりも構造改革を中心にしていますから、これはもう仕方がありません。

本土の株価に関しては、景気対策はしないけれども、株価対策は徹底的に行いますから、株価はもう下げる余地がないと見ています。というよりも、これ以上、下がると本当に困ったことになるのです。なので、まずは買支えをするでしょう。社会保障の資金、保険の資金、あるいは外国人投資家の資金などが、株式市場に流れ込みやすい環境を作っていくのではないでしょうか。

だからといって急騰することはないと思いますが、もし米中貿易戦争が解決に向かうとなったら、株価はかなり戻すと思います。

次に、香港に上場してる中国関連株ですが、香港市場の株式については、本土株より少し遅れて動くでしょう。結局、香港市場の主要投資家は、欧米の機関投資家です。彼らはアクティブ運用の比率がどんどん低くなる一方、パッシブ運用が増えています。

結果、米国株が下がれば、株式のポートフォリオ比率を下げるため、香港の株式も売られます。米国株については、まだしばらく厳しい局面が続くと思うので、香港株も厳しいかも知れません。
ありがとうございました。
田代尚機氏プロフィール

田代尚機 たしろ・なおき
TS・チャイナ・リサーチ 代表

1958年愛知県出身。大和総研で北京に駐在し、引受リサーチ、中国エコノミスト、中国株担当アナリストを経験。その後、内藤証券、リード・リサーチ・アンド・プロダクツ(株)を経て、機関投資家向けに中国株ビジネスのコンサルティングを行う。社団法人日本証券アナリスト協会検定会員。現在、ポータルサイトサーチナにて中国経済コラム掲載、マネックス証券での中国株レポート掲載。その他、メディアへの出演・寄稿多数。経済成長と国際収支(共著、2003年、日本評論社)、DVD中国株入門(2004年、メモリーバンク社)、レッド・センセーション好機到来!今こそ中国株投資(2006年、角川SSC社)、中国株厳選300銘柄(編著、2006年、東洋経済)

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