HOME > 投資・株・FX > 田代尚機「米中貿易戦争の激化 中国経済の今後は?」
米中貿易戦争の影響と中国株の行方
取材日:2019年6月 8日
公開日:2019年6月25日

激しさを増す米中貿易戦争。世界経済に影響を及ぼす恐れが大きいだけに、今後の行方は要注目です。中国経済の今後はどうなるのか。中国株のスペシャリスト、田代尚樹さんに話を伺いました。

 

米中貿易戦争の影響と中国株の行方
米中貿易戦争は今後どうなるのでしょうか。
田代
日本側の情報だけを見ていると、中国側が被るダメージが大きいのではないかという論調が目立ちます。

ただ本土の情報を見ると、影響はそれほど大きくないという論調が一般的です。たとえばファーウェイ。最新機種からフェイスブックのアプリを載せない、あるいはグーグルを使えないようにすると言われていますが、実際はそうならないと言われています。

半導体も子会社があり、そこを通じて生産できますし、台湾の半導体メーカーが供給すると言われています。

株価も、ファーウェイ自体は上場していませんが、関連会社で上場しているところの株価は、大きく下げるどころか上昇しています。だから影響がないという本土の声は強がりでも何でもなくて、そもそも影響がないというわけです。

確かに、海外業務は影響を受けると思いますが、ファーウェイの場合、国内でのビジネスが圧倒的に大きいので、米国からの圧力が強まったとしても、まあ、なんとかやっていけるのではないかと思います。
田代尚機
ファーウェイがロシアと手を組むというニュースがありましたが、その手の動きも実際にあるということですか。
田代

アメリカで売れないとなれば、アメリカと対立するロシアが顧客になる可能性はあるでしょうね。ブラジルも、ファーウェイに関しては問題なく取引すると表明しています。結局のところ、アメリカと中国のどちらを取るのということですが、今後は覇権の多様化が進んでしまうのではないかと思います。

日本の報道では圧倒的に中国が不利であり、最終的にトランプのいいなりにならざるをえないという意見がありますが、案外そうではない。中国は景気が悪くなったとしてもアメリカには折れないと言っていますから、まあそうなるだろうと思います。

もうひとつ、今回の件についてはアメリカに非があるというのが中国側の主張です。トランプ大統領の言っていることは支離滅裂だし、そもそもWTO違反です。いきなり中国に関税をかけてしまうとか、個別企業に対して制裁措置を取るとかね。

それと、中国が声を大にして言っているのは、貿易の自由化、国際化が世界平和につながるということです。そうであるにも関わらず、トランプ大統領はアメリカファーストで、保護主義政策を取っている。これは良くないという主張を繰り返しています。

習近平に対する求心力はどうですか。
田代

全く問題ありません。経済が悪化すれば民衆の不満が高まるという見方はありますが、まず大事なのは雇用です。その点に関しては、今も6%以上の成長率を維持していますから、問題はありません。確かに、一時期に比べれば水準が下がっているものの、アメリカに比べればはるかに高い成長率を維持しています。だから、求心力の低下はありえません。

習近平も目先の経済の良し悪しに関しては、ほとんど気にしていません。対して、国務院の李克強は背後に現業を抱えており、もろもろの産業を発展させ、伸ばしていくのが仕事ですから、やはり景気が悪くなった時には、景気を支えたいと考えます。

ただ、両者のパワーバランスから言えば習近平の方が強いので、習近平寄りの政策が全面的に押し出されています。

共産党にとっては、中長期で発展するにはどうすれば良いのかという視点で物事を考えています。

では、何を考えているのか、ですが、まず不動産バブルは認めています。地方の財政についてもお金を借り過ぎていることを理解しています。特に地方政府絡みの国有企業の債務が非常に大きい。それらを、これからしっかり直していこうと考えているのです。

あと、さまざまな産業が非効率です。鉄鋼にしてもセメントにしても、あるいはアルミにしても生産過剰なのです。これまで非効率的な部分は自由化しようという流れだったのですが、習近平は国家が責任を持って、生産過剰なものは減らしていく。そのために構造改革を進めるということを言っています。

実際、鉄鋼業界の再編が進み始めました。そもそも鉄鋼業界は地方政府の利権の塊のようなものでしたが、共産党がそこにメスを入れ始めました。習近平は今、3つの政策を進めようとしています。一つ目は硬直化している部分にメスを入れる。二つ目は新規産業の発展で、「中国製造2025」がこれに該当します。そして三つ目が一帯一路です。

この3つの政策を粛々と進めていく。もちろんアメリカと貿易戦争になったのは痛かったわけですが、それに振り回されることなく、構造改革をしっかり進めていこうというわけです。

現状、トランプ大統領が打ち出している政策はすべて短期目線です。なぜ短期目線かというと、次回の大統領選挙に勝つことしか頭にないからです。だから、株価に関してもあらゆる手を使って上げようとするわけです。

これに対して中国は長期目線の政策ですから、投資家受けは良くありません。だから、株価も低迷している。でも、よくよく考えれば、長期目線でしっかりした政策を粛々と進めている中国の方が良いと思います。

 

田代尚機

米中貿易戦争の落としどころは?
田代

長期化するでしょうね。アメリカでは今、GAFAに独禁法を適用するという話をしていますが、GAFAこそアメリカ経済の成長エンジンなわけで、ここを抑え込むような政策を採れば、経済は落ち込みます。一方で、中国経済が非常に大きくなり、アメリカ単独の力では抑え込めなくなりました。

なので、米中貿易戦争の落としどころはなくて、米ソ冷戦時代のように、まさに冷戦といって良い状況が長期的に続くのではないでしょうか。しかも中国の経済規模がどんどん大きくなっていますから、アメリカの一国覇権が崩れる恐れもあります。

アップルがそうでしたが、中国を含む世界的なバリューチェーンを構築して、ここまで大きくなったわけですよね。それを断ち切る政策を行った時、果たしてアップルは成長を続けられるのでしょうか。恐らく中国は、独自のものをつくるでしょう。アメリカもそうでしょうが、果たして今のアメリカに、そこまでの経済力が備わっているでしょうか。いずれにしても、この問題は長期化すると見ています。

中国株は何を指針にすれば良いのでしょうか。
田代

やっぱり5Gでしょう。古くて新しいテーマですが。そもそもアメリカがなぜファーウェイ潰しをしようとしているのかというと、それは5Gの分野で中国が覇権を握る可能性が高まっているからです。5Gは非常に裾野の広い分野です。AIやインターネットなどすべてつながってきます。経済を下支えるための景気刺激策になるでしょう。

二つ目はレアアースです。南昌にレアアースの大きな工場があるのですが、ここを習近平が訪れました。その後で、「ここから長い戦いが始まる」と言ったそうです。習近平が訪れたということは、何か意味があるのです。

三つ目は小売りです。所得が伸びており、消費が高度化してきています。さまざまな小売りの形態が出てきました。そのなかには、シャオミーという携帯の会社のように、ブランドビジネスを立ち上げているところもあります。シャオミーというブランドを使って、パソコンや家電などインターネットにつながるものは全部扱っています。

しかも金融商品も取り扱い始めました。彼らは自分たちでモノは作らず、シャオミーというブランドを浸透させ、そのブランド力で商売をしています。こういう新しい小売りのスタイルが次々に登場してきました。しかも、この手の新しい小売りはECが基本です。

電子決済が隆盛ですが、これも今後注目されそうですか。
田代

ECが拡大すれば、必然的に電子決済が含まれていきます。アリババのアントフィナンシャルとか、テンセントのウェイシンなどもそうです。携帯電話ひとつで何でもできます。電子決済は物凄い勢いで広まっていて、屋台のようなところでも使えます。電子決済とECは密接なので、新しいサービス、ビジネスが生まれています。ここから伸びる企業が出てくるのではないでしょうか。

 

田代尚機

電気自動車はどうですか。
田代
5G絡みでもありますね。河南省のバスなんて完全に自動化していて、レベル4です。深センもそうです。電気自動車が普通に動いています。自動運転はまだ先ですが、電気自動車は普及しています。5Gが進めばどんどん伸びていきますよね。
軍事はアメリカを凌駕するでしょうか。
田代
アメリカの軍事力が強いのは、背景に軍事産業があるからです。でも中国には軍事産業がありません。だから、中国が軍事力でアメリカを凌駕するには、まだまだ時間がかかるでしょう。

ところが日本では中国が軍事力の面でもアメリカを凌駕する日が近いという意見が結構多く聞かれます。だから、日本はミサイルを買え、最新の戦闘機も買えということですが、これはアメリカの軍事産業が商売を繁盛させたいから流している話でもあります。

もうひとつ、中国の軍事力がアメリカのそれを凌駕できない理由は、中国軍部の内部統制が取れていないことです。
最後に推奨銘柄を教えて下さい。
田代
南極人とシャオミーです。
ありがとうございました。
田代尚機氏プロフィール

田代尚機 たしろ・なおき
TS・チャイナ・リサーチ 代表

1958年愛知県出身。大和総研で北京に駐在し、引受リサーチ、中国エコノミスト、中国株担当アナリストを経験。その後、内藤証券、リード・リサーチ・アンド・プロダクツ(株)を経て、機関投資家向けに中国株ビジネスのコンサルティングを行う。社団法人日本証券アナリスト協会検定会員。現在、ポータルサイトサーチナにて中国経済コラム掲載、マネックス証券での中国株レポート掲載。その他、メディアへの出演・寄稿多数。経済成長と国際収支(共著、2003年、日本評論社)、DVD中国株入門(2004年、メモリーバンク社)、レッド・センセーション好機到来!今こそ中国株投資(2006年、角川SSC社)、中国株厳選300銘柄(編著、2006年、東洋経済)

トレードトレードブログ:たっしーが教える、中国株なら俺に聞け!!

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