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お得な投資非課税制度を活用してみよう
公開日:2017年7月06日

 

資産運用の世界では、運用利回りを1%改善するのは至難の業と言われています。だからこそ、運用益が少しでも稼げるよう努力するのですが、中でも我々一般庶民に取って有利なのが投資非課税制度の活用です。この預貯金超低金利時代に一条の光明とも呼べる非課税制度を再検証します。

「貯蓄から投資へ」から「貯蓄から資産形成へ」

かつて「貯蓄から投資へ」というスローガンのもと、現預金に偏在している個人金融資産を、株式や投資信託などの投資商品にシフトさせるため、投資教育や確定拠出年金の創設など、さまざまな手段が講じられました。

その結果はどうだったのでしょうか。

「貯蓄から投資へ」というスローガンが登場したのは2000年あたりからです。当時の個人金融資産は、総額が1388兆7000億円で、このうち現預金が751兆3000億円で、全体に占める比率は54%でした。ちなみに、投資信託は33兆9000億円で、比率は2.4%、株式・出資金は107兆4000億円で、比率は7.7%でした。

さて、「貯蓄から投資へ」というスローガンを打ち出した結果がどれほどのものだったのでしょうか。

2016年末の数字を見ると、個人金融資産の総額は1800兆円。このうち現預金が937兆円で、全体に占める比率は52%。投資信託が96兆円で5.3%、株式・出資金が167兆円で9.3%でした。確かに、投資信託と株式・出資金の比率は上昇しています。が、現預金の比率は微減したものの、ほとんど減っていません。「貯蓄から投資へ」が失敗に終わったことは、この数字を見れば一目瞭然です。

ただ、徐々にではありますが、「貯蓄から投資へ」を実現するための方策は、揃い始めています。金融庁は「貯蓄から投資へ」のスローガンを、「貯蓄から資産形成へ」に切り替えました。加えて、各種投資非課税制度を充実させ、預貯金から株式、あるいは投資信託に資金がシフトするような環境整備を始めているのです。

活用すればお得な非課税制度

具体的には、2014年1月からスタートしたNISA。そして、2016年1月からは、従来の個人向け確定拠出年金が「iDeCo(イデコ)」として、誰もが活用できる制度を目指して変わりました。「iDeCo」とは、加入者が月々の掛金を積立して、予め用意された金融商品で運用します。積立金は60歳以降に年金または一時金で受け取ることができます(※60歳になるまで、引き出し不可)。また2018年1月からは、積立NISAという制度がスタートする予定です。

NISAもiDeCoも、投資によって生じる利益に対する税金を非課税にする制度です。それが資産運用のリターンに、大きなプラスになるのは、いうまでもありません。何しろ、これまで配当金や分配金、値上がり益に対して課せられていた20%もの税率が、非課税になるのです。

簡単にシミュレーションしてみましょう。元本1万円の投資信託が1万2000円に値上がりした場合、2000円に対して20%の税金が課せられ、手取りは1万1600円になります。つまり、リターンは16%になるのですが、この税金が非課税であれば、リターンは20%になり、実に4%もの収益改善になります。

前述したように、資産運用の世界では、1%のリターン改善に苦しんでいる運用担当者が大半であることを考えると、非課税によるリターンの改善効果が、いかに大きなものであるか、おわかりいただけると思います。NISA、iDeCoとも多少の使用制限はありますが、基本的には誰にとっても、使った方がお得な制度です。それでは個々の制度をご紹介しましょう。

使い勝手の良さが光るNISA

投資非課税制度で最も簡単に使えるのは、NISAでしょう。2014年1月からスタートした制度で、今は2017年の口座が受付中です。

NISAは2014年から2023年まで、毎年120万円を限度額にして、株式と株式投資信託への投資で生じた値上がり益、および株式の配当金、投資信託の分配金に対する課税が、5年間非課税になるというものです。「2023年まで」ということからお分かりいただけると思いますが、NISAは有期限の非課税制度であり、今のところ2024年以降の制度継続は考えられていません。

NISAは、毎年120万円が年間投資額の限度額であるのと同時に、総額では600万円が限度額になります。したがって、2017年の口座から毎年120万円ずつ投資していった場合は、2021年の口座で投資した分までが総額の限度額になります。

NISAは5年間の非課税期間が終わった後、次の年の非課税口座に継続乗り換えが出来ます。つまり2017年口座で投資した分の非課税期間は2021年に終了しますが、そのまま2022年の口座に乗り換えられるのです。結果、2017年口座で投資した120万円については、2026年まで非課税で運用できます。

また、2018年口座も2022年に非課税期間が終了した後、そのまま2023年口座に乗り換えられ、2027年まで非課税で運用できますが、2019年口座以降については、現行制度だとNISAの新規預入が2023年口座までしか認められていないので、5年の非課税期間が終了した後は、一般の課税口座に移管する形になります。

現行のNISAは、20歳以上の居住者を対象にした制度なので、夫婦で2つ口座を開けば、最大1200万円まで投資枠を設定できます。2023年までしか新規の預け入れができないという制限はありますが、せっかくの非課税制度ですから、これを利用しない手はないでしょう。

2018年スタートの積立NISA

NISAについてはもうひとつ、2018年1月からスタートする「積立NISA」という新制度があり、こちらは2018年1月からスタートして、最長20年間、毎年40万円を限度額として積み立てていくことができます。年間40万円を最長20年間ですから、1人につき最大800万円まで積み立てられるので、これを利用すればさらに長期に亘って、非課税投資が可能になります。

ただし、積立NISAは株式への投資が認められておらず、投資信託は可能ですが、それもあらかじめ決められた長期投資に適していると思われる投資信託のみに限定されるようです。

制約は多いが最強の非課税制度となるiDeCo

投資非課税制度でもうひとつ注目されるのがiDeCoです。

といっても、iDeCoは最近できた制度というよりも、2001年10月からスタートした「確定拠出年金制度」のうち、個人事業主を対象にした「個人型確定拠出年金」の加入対象者を拡大したリニューアル版として、2017年1月からiDeCoという愛称を付けて再スタートした制度です。

iDeCoは従来、個人事業主か、企業型確定拠出年金制度を導入していない企業の従業員しか加入できませんでした。これが今回の制度改正によって、これまで加入対象外だった専業主婦、公務員も、iDeCoに加入できるようになったのです。

iDeCoは、投資非課税制度のなかで最も充実しています。運用期間中に得られた投資収益についてはもちろん非課税ですが、これに加えて、拠出した資金が所得控除の対象になります。また、60歳以降にそれまで積み立てた資金を受け取る際にも、一括で受け取る場合は退職所得控除が、年金方式で受け取る際には公的年金等控除が受けられます。

ただし、iDeCoは充実した非課税制度ではありますが、反面、いくつかの点で厳しい制約が設けられているのも事実です。

まず、月々の拠出金が制限されています。NISAの場合、年間120万円の節税枠が設けられていますが、iDeCoの場合、専業主婦がこれに加入する場合は、月々2万3000円が限度額になります。他、公務員の場合は月額1万2000円、企業年金制度や確定拠出年金制度がない企業の場合は月額2万3000円、自営業者の場合は月額6万8000円となっています。

2点目に、投資対象が預金、保険商品、投資信託に限定されています。NISAのように株式で運用することはできません。ちなみに預金はもちろん、保険商品も元本確保型に含まれているので、利回りは相当低く、現状、運用利回りを求める場合は、投資信託での積立を除いて他に方法はありません。

3点目に、60歳まで中途解約が認められないことです。NISA口座を通じて購入した株式、株式投資信託は、いつでも売却および解約によって現金化できますが、iDeCoは老後資金を準備するための年金なので、加入者が60歳になるまでは、原則として解約できない決まりになっています。

4点目は、60歳までしか積立が出来ないことです。積立をせず、運用の指図だけをするのであれば、60歳以降も70歳までは運用可能ですが、資金の拠出が出来ないので、元本を増やすことができません。つまり、50歳になってからiDeCoに加入しても手遅れだということです。

仮に月々の拠出額を2万3000円とし、年平均3%の運用利回りで10年間積み立てたとしても、10年後の総額は320万7000円にしかなりません。もちろん、ゼロよりはマシですが、老後の生活資金を確保するという目的からすると、心許ない金額です。したがって、50歳から老後資金を作るならば、iDeCoだけでなくNISAも併用する必要があります。

結局、どれを優先して使えば良いのか

NISAに積立NISA、そしてiDeCoというように、複数の投資非課税制度があり、どれを選べば良いのか悩んでしまう方も多いでしょう。

基本的には、すべてを活用するのが望ましいということになります。

ベースになるのはiDeCoです。資産形成の最終目標が老後資金であることを考えれば、まずはiDeCoで積立投資を行うのが正道でしょう。iDeCoによる積立を行ったうえで、さらに余裕があるならば、NISAか積立NISAで積立投資をするわけですが、NISAは2023年までしか預入ができません。2017年口座から毎年120万円ずつ積み立てた場合、840万円まで非課税運用出来ますが、問題はその後です。

前述したように、2019年口座から2021年口座までは最長5年までしか、非課税運用できず、その期間が経過した後は課税口座で運用することになります。それを考えると、2018年1月からのスタートにはなりますが、今後20年間、毎年40万円ずつ積み立てられ、非課税運用が可能になる積立NISAの方が、長期の資産形成が可能な若い人たちにとっては有効な手段ともいえるでしょう。

逆に、すでに50代で老後資産を形成するための時間が短い人は、年間の非課税枠が大きいNISAを用いて積立投資することをお勧めします。



金融ジャーナリスト
鈴木雅光(すずき・まさみつ)

JOYnt代表。岡三証券、公社債新聞社、金融データシステムを経て独立し(有)JOYnt設立し代表に。雑誌への寄稿、単行本執筆のほか、投資信託、経済マーケットを中心に幅広くプロデュース業を展開。

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