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経済ジャーナリスト鈴木雅光の「奔放自在」 vol.08
公開日:2019年2月15日

まとまったお金を受け取ったら

人生のなかでは何度か、まとまったお金を手にする機会がある。それも、会社員のボーナスに比べて大きな金額の話であり、決して少なくない人が、この機会に恵まれると思われる。

いささか不謹慎な話だが、50歳を超えてくると、親の年齢はほぼ平均寿命に近付いてくる。となれば、そろそろ相続が発生してもおかしくない。自分の親の一次相続と二次相続に加えて、もし結婚していたら、相方の一次相続と二次相続が発生する。

もちろん、親が全く財産を持っていなければ、相続は発生しようがないわけだが、持ち家で、幾ばくかの預貯金、株式、保険加入などがあれば、何らかの形で相続が発生する。

次に60歳になれば、定年退職金が入ってくる。最近は分割で支払われるケースも増えているし、自営業者にはあまり関係のない話ではあるが、会社員であれば、経団連に加入している1部上場企業で平均2000万円程度。中小企業の平均値だと1000万円弱という、まとまったお金が入ってくる。

金融広報中央委員会が発表している「家計の金融行動に関する世論調査(2018年調査)」によると、50代で金融資産を保有していない世帯は17.4%。いろいろとお金のかかる年代だけに、資産形成が思うように進まないケースもある。だからこそ、相続や定年退職でまとまったお金が入ってきたら、それを減らさないように、しっかり守る必要がある。

というのも、あまり持ち慣れない金額のお金を持つと、つい気が緩み、ついでに財布の紐も緩みがちだからだ。

たとえば退職金が指定した銀行口座に2000万円入ってきたとする。それまで1000万円しか無かった預金残高が、いきなり3000万円になったら、それは多少、気も大きくなるだろう。

でも、ここで冷静に考えてもらいたい。3000万円は大金なのだろうか。

60歳で定年を迎えたものの、公的年金の受給開始年齢は65歳からなので、5年間、もし働かなければ、この間は無収入状態が続く。もし年間500万円で生活したら、5年間で必要な生活費は2500万円。あっという間に3000万円は底を尽く。

しかも、65歳から先がまだまだ長い。最近は100歳まで生きることを前提にして資金計画を建てろという話もあるくらいで、もし100歳まで生きたとしたら、65歳から残り35年もある。65歳以降は公的年金が受給できるとしても、ゆとりある生活を実現しようと思うなら、やはり取り崩せる預金は必要だ。そう考えると、2000万円の退職金は決して大金ではない。なので、まとまったお金を受け取ったら、まずは減らさないように、しっかり守ることを優先して考えたい。

絶対にやってはいけないことが2つある。

ひとつは「自分へのご褒美」と称して、豪華海外旅行に出かけたり、外車を購入したりするなど、分不相応な消費に走ることだ。前述したように、結構な年齢まで生きることを前提にすると、生活費だけでもかなりのお金が必要になる。自分にご褒美を与えている余裕は、どこにもないはずだ。

2つめは、少しでも大きく殖やそうとして、過大なリスクを取った運用をすること。定年退職後に時間があるからといって、株式のデイトレーダーになろうとするなどというのは、もってのほかだ。退職金などを種銭にして、株式投資を始める人は少なくないが、成功している個人投資家の多くは、すでに10年以上のキャリアを持っていて、この間、リーマンショックなど大きな修羅場を潜り抜けてきた人が多い。リーマンショックで大きく資産を減らしても、マーケットから退場することなく生き延びて来られたからこそ、今の成功がある。

こうした経験もなく、退職金の大部分を株式に突っ込んで、その株価が大暴落でもしたら、目も当てられない。最近、話題のバイオベンチャー、サンバイオの株価は、1月29日に1万1860円の高値を付けた後、2月4日には3710円まで下落した。やっと受け取った退職金でこの手の株式に投資し、大暴落の末、その価値が4分の1以下に目減りしたら、恐らく立ち直れないだろう。下手をすれば、熟年離婚の引き金にさえなりうる。

では、まとまったお金を受け取った後は、どうすれば良いのか。それは、前述した「絶対にやってはいけないこと」の逆をやれば良い。

まず、まとまったお金を受け取ったとしても、出来るだけ費消しないようにする。本当にお金が必要になるのは、自分の身体の自由が効かなくなってからだ。目安としては、健康寿命と言われる年齢以降で、男性は70.42歳。女性は73.62歳とされている。ここまでは何とか働いて、月々の給料で生計を成り立たせるようにする。

そしてこの間、多少の運用をするならば、株式の一点投資ではなく、投資信託のようにしっかり分散された金融商品で運用するべきだろう。MSCIコクサイのように、世界の先進国株式に分散投資したのと同様の投資効果が狙える投資信託がお勧めだ。

ただし、世界中に分散されているとはいえ、株式のみの運用はリスクが高いので、たとえばまとまった資金が2000万円あったら、1000万円を投資信託に、残りの1000万円を個人向け国債のような元本安全性の高い金融商品に分散して保有すると良い。

また、この手の金融商品を実際に購入する場合、一括で買うのではなく、何回かに分けて買うことをお勧めする。たとえば1000万円で投資信託を購入するなら、一度に1000万円を投入するのではなく、毎月100万円ずつ、10カ月にわたって買っていくと、タイミングも分散されるので、さらにリスクを軽減させる効果が期待できる。

定年後の人生は意外と長い。多少、まとまったお金を受け取っても浮かれず、資産価値を目減りさせることなく、それを出来るだけ保持するように、きちんと資金計画を立てることが肝心だ。



金融ジャーナリスト
鈴木雅光(すずき・まさみつ)

JOYnt代表。岡三証券、公社債新聞社、金融データシステムを経て独立し(有)JOYnt設立し代表に。雑誌への寄稿、単行本執筆のほか、投資信託、経済マーケットを中心に幅広くプロデュース業を展開。

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