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経済ジャーナリスト鈴木雅光の「奔放自在」 vol.05
公開日:2018年8月02日

ETFは本当にいつでも売買できる投資信託なのか?

東京証券取引所に「ETF」という投資信託が上場されている。

ETFは、Exchange Traded Fundの略で、「取引所を通じて売買できる投資信託」という意味だ。その名のとおり、ETFは「マーケットが開いている時間中であれば、いつでも自由に売買できる流動性の高さを持つ」と言われている。

しかし、それはあくまでも理論上の話だ。現実には、上記のような説明が全く成り立たないケースもある。つまり、流動性を著しく欠いている銘柄も、かなりあるのだ。取引所では、この事態を重く見たのか、7月2日からETFにマーケットメイク制度が導入された。

マーケットメイク制度とは、証券会社などがマーケットメイカーになり、常にETFの買い注文と売り注文を出すことによって、マーケットの流動性を確保するものだ。現実問題として、これまでのETF市場は、この流動性の確保という点で、大きな問題を抱えていた。今般、マーケットメイク制度が導入されたことによって、マーケットの流動性が高まるかどうか、注目される。

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表は、6月中におけるETF・ETNの売買高、値付日数を示したものだ。6月中の営業日数は21日。ここでは値付日数が21日のものだけを取り上げている。ちなみに値付日数とは、マーケットで値段が付いた日数のことであり、それが21日というのは、まがりなりにも6月中は全営業日において取引が成立したことを意味する。

問題は、表に入らなかったETF・ETNだ。6月中、値付日数が21日を満たしたのは全部で129銘柄。この時点で、東京証券取引所に上場されているETF・ETNは、全部で243銘柄なので、約半分の銘柄は値段が付かなかった日があるということだ。

なお、ETNはExchange Traded Noteといって、ETFと同様、さまざまな株価インデックスに対して価格が連動する仕組み債券(Note)のことだ。投資信託(Fund)と債券(Note)という違いはあるが、両者とも株価インデックスへの連動を目指したインデックス型の金融商品という点では同じであり、同列に扱われるケースが多い。

値付日数が21日に満たないETF・ETNのうち、値付日数別に見ると、次のようになる。

20日~16日・・・・・・43銘柄
15日~11日・・・・・・21銘柄
10日~6日・・・・・・28銘柄
5日~0日・・・・・・21銘柄

ちなみに、値付日数が0日という銘柄が6銘柄もあった。値付日数が0日というのは、6月中を通じて全く取引が成立しなかったことを意味する。少なくとも、この6銘柄に関しては、「マーケットが開いている時間中であれば、いつでも自由に売買できる流動性の高さを持つ」というのは、全く通用しない。

また、値付日数が21日を数える銘柄についても、売買高を見ると分かるが、最も少ない銘柄だと、21日間で529口しか出来ていない。1日平均にして25口だ。つまり、値付日数が21日だからといって、流動性が担保されていると考えるのは間違えている。

逆に、ETF・ETNのなかで最も流動性が高い銘柄は何かというと、「NEXT FUNDS日経ダブルインバース上場投信」と「NEXT FUNDS日経平均レバレッジ上場投信」だ。

ダブルインバースとは、ベンチマークである日経平均株価が下落すると、その下落率に対して2倍上昇するように設計されている。またレバレッジは、日経平均株価の上昇率に対して、一定倍率で値上がりする仕組みを持つ。

つまり両方とも、短期の値動きを狙ってリターンを取りに行くタイプのETFだ。その両者が売買高の上位1、2位を占めている。これは、短期のトレーダーが、両方のETFを用いて短期売買を行っているからと考えられる。株価上昇局面ではレバレッジ型を、株価下落局面ではインバース型を活用して、マーケットの値動きよりも高いリターンを狙うという動きが、個人の短期トレーダーを中心に、かなり積極的に行われているようだ。

では、マーケットメイク制度の導入によって、ETFのマーケットは再び活性化するのだろうか。というよりも、流動性の低い銘柄が、より多くの投資家によって、積極的に売買される日は来るのだろうか。

この点については、正直なところ疑問を感じざるを得ない。なぜなら、商品やベンチマークであるインデックスの認知度があまりにも低いもの、あるいはどのように自分のポートフォリオに活かせば良いのか分からないものが多いからだ。値付日数が0日のETFは、機械や小売りなど業種別インデックスに連動するタイプ、あるいは金属やエネルギー、商品などの価格に連動するタイプばかりだ。

その他、値付日数が10日以下のものを見ると、正直、個人投資家にはほとんど認知されていないインデックスに連動するタイプのETFが大半を占めている。その手のETFを対象にしてマーケットメイクをしても、そもそも投資家の認知度が低いのだから、そう簡単に取引が盛り上がるとは思えない。

こうした点を考えると、ETFは早晩、整理・淘汰の時代を迎えるのではないだろうか。売買高が全く盛り上がらないETFを運用し続けるのは、運用会社にとって経営負担になる。したがって、あまりにも売買が盛り上がらないETFに関しては、上場廃止も十分に考えられる。実際、今年1月には、一度に10本のETFが上場廃止となった。この手の動きは今後も広まっていくのではないだろうか。

もし、ETFで長期投資を考えているのであれば、日々の売買高が多いものを中心にして、長期保有が有効なインデックスへを連動目標としているものを探すことをお勧めする。



金融ジャーナリスト
鈴木雅光(すずき・まさみつ)

JOYnt代表。岡三証券、公社債新聞社、金融データシステムを経て独立し(有)JOYnt設立し代表に。雑誌への寄稿、単行本執筆のほか、投資信託、経済マーケットを中心に幅広くプロデュース業を展開。

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