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経済ジャーナリスト鈴木雅光の「奔放自在」 vol.04
公開日:2018年5月16日

インデックスファンドでつみたてNISAを使う場合の注意点

つみたてNISAがスタートして5カ月。毎年の非課税枠は40万円と少額ですが、2018年から2037年までの20年間という長期に亘る非課税期間が設けられていることから、個人の間で注目を集めています。年間の非課税枠は40万円でも、毎月3万3000円ずつ20年間積み立てし続ければ、元本部分だけで792万円。仮に年5%の平均リターンで運用できれば、合計額は1339万2000円になります。

しかも、NISAですから、この間に得た利益は全額非課税です。普通のサラリーマン世帯にとっては、十分に老後資金の足しになるでしょう。

ただ、この制度を活用するうえでは、積立資金の運用先となる投資信託の運用継続性を、きちんと調べておく必要があります。というのも最近、投資信託の繰上償還と言う問題が、クローズアップされてきたからです。つみたてNISAは、20年間という長期の資産形成を行うための制度なので、長期で保有し続けられる投資信託を選ばなければなりません。

しかし、受益者の側に中途解約する気が無くても、投資信託会社の都合によって、強制的に償還させられてしまうケースがある。これが「繰上償還」です。繰上償還とは、信託期間が設けられている投資信託で、償還期日を迎える前に償還されてしまったり、信託期間を無期限とする投資信託であるにも関わらず、ある日突然、償還されたりすることです。つみたてNISAで繰上償還されてしまうと、これまで使っていた非課税枠は再利用できないため、実質的に非課税で運用できる金額が減ってしまうことになります。

そして昨今、この繰上償還する投資信託が、徐々に増えていく恐れがあるのです。

4月27日、みずほ銀行が販売金融機関になっていたインデックスファンドが10本、繰上償還されました。理由は、運用資産の残高が増えなかったからです。10本のファンドと純資産総額は以下のとおりです。

i-mizuho先進国債券インデックス(為替ヘッジあり)・・・・・・2.7億円
i-mizuho先進国インフレ連動債券インデックス・・・・・・2.5億円
i-mizuhoオーストラリア債券インデックス・・・・・・2.2億円
i-mizuhoハイイールド債券インデックス(為替ヘッジあり)・・・・・・1.1億円
i-mizuho先進国株式インデックス(為替ヘッジあり)・・・・・・3.7億円
i-mizuho欧州株式インデックス・・・・・・5.2億円
i-mizuhoオーストラリア株式インデックス・・・・・・1.6億円
i-mizuho東南アジア株式インデックス・・・・・・7.5億円
i-mizuho中国株式インデックス・・・・・・4.2億円
i-mizuho先進国リートインデックス(為替ヘッジあり)・・・・・・1.6億円

いずれも10億円に満たない純資産総額しかないわけですが、このように純資産総額が少ないと、投資信託会社にとっては、運用業務で得られる収益がほとんどないという状況になってしまいます。

投資信託会社の収益源は、信託財産から日々差し引かれていく運用管理費用(信託報酬)の一部です。たとえば運用管理費用が年0.17%だとすると、このうち投資信託会社は年0.07%、販売金融機関は年0.08%、そして受託銀行は年0.02%というように、投資信託の運用・管理・販売に関連する3者が、それぞれの働きに見合った料率設定により、運用管理費用を受け取っています。

ところが最近、「コストは低いほど良い」という考えが広まっており、インデックスファンドを中心に、運用管理費用の引き下げ競争が激化しました。結果、今から10年ほど前であれば、日本株のインデックスファンドの運用管理費用は、低いものでも年0.8%程度だったのに、今や年0.2%をも割り込む水準まで引き下げられています。

それは、もちろん受益者にとっては一見、良いことのように見えますが、年0.2%をも割り込む運用管理費用で運用を続けなければならない投資信託会社からすれば、相当程度まで純資産総額を積み上げてもらわなければ、到底ペイしないことになります。つまり、前出のように純資産総額が全く積み上がらない投資信託は、いくら運用しても利益が生じず、投資信託会社にとっては赤字が累積していくだけになりますから、繰上償還せざるを得なくなるのです。

かつて、日本株のアクティブファンドの場合、運用管理費用が年1.5%程度で、このうち投資信託会社の取り分が0.7%程度という時期に、ペイする純資産総額は最低でも30億円といわれていました。

30億円の0.7%ということは、投資信託会社が受け取る運用管理費用の総額は、年間で2100万円ほどになります。

インデックスファンドの場合、アクティブファンドのように企業リサーチの必要性がないため、アクティブファンドに比べてコストは抑えられますが、現状、コスト競争の渦中にあるインデックスファンドの中には、投資信託会社の運用管理費用の取り分が、年0.07%という極めてローコストな仕上がりになっているものもあります。

純資産総額が30億円で、年間の運用管理費用が0.07%だとしたら、年間の収益は210万円です。これではファンドマネジャー1人分の年収にもなりません。もし純資産総額が増えなければ、このように超ローコストで、かつ純資産総額の規模が小さい投資信託は、運用し続けるほど赤字を垂れ流すことになります。投資信託会社はボランティア組織ではないので、資金が集まらない投資信託は当然、繰上償還の対象として、リストアップされます。

現在、限界点まで運用管理費用を引き下げている超ローコストのインデックスファンドは、このまま純資産総額が横ばい、ないしは下落した状態が長引くと、間違いなく繰上償還に追い込まれる。超ローコストのインデックスファンドを、つみたてNISAで購入するならば、純資産残高が大きく積み上げられているものを選ぶのが無難でしょう。



金融ジャーナリスト
鈴木雅光(すずき・まさみつ)

JOYnt代表。岡三証券、公社債新聞社、金融データシステムを経て独立し(有)JOYnt設立し代表に。雑誌への寄稿、単行本執筆のほか、投資信託、経済マーケットを中心に幅広くプロデュース業を展開。

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