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経済ジャーナリスト鈴木雅光の「奔放自在」 vol.11
公開日:2019年9月11日

9月、10月の株式市場がどうなるのかを過去のデータで振り返ってみた

マーケット予測で時々、「アノマリー」を用いて説明する人がいます。アノマリーとは、理論では説明できないけれども、過去を振り返ると「なんとなくそんな規則性がある」と思われることです。

株式市場のアノマリーを探していくと、結構いろいろあります。たとえば夏、あるいは秋口にかけてのアノマリーには、

「夏枯れ相場」
「彼岸底」

などが代表的なものといえそうです。これ以外にも「1月効果」、「節分天井」、「新年度効果」、「セル・イン・メイ」など、他の月にもアノマリーが存在します。

具体的な根拠はありませんが、市場参加者の多くがこの手のアノマリーを頭の片隅で意識しているため、結果的にアノマリーが相場に反映されることもあると考えられます。たとえば「過去、9月は株価が下げやすい」などと言われたら、9月に買って大きな損を被りたくないという意識が働くので、様子を見ようというムードが投資家の間に広まります。結果、マーケットは閑散商状となり、株価が下げやすい状況になります。

では、実際にアノマリーは相場に影響するのでしょうか。

作成したグラフは、日経平均株価の算出が始まった1949年から2018年までの70年分について、8月、9月、10月の各月の騰落率を計算して作成したものです。なぜこの3カ月分なのかというと、8月は「夏枯れ相場」、9月は「彼岸底」で、10月は「秋には魔物が住む」という、株式市場でよく言われるアノマリーが実際にどうだったのかを調べるためです。

さて、8月から見ていきましょう。

8月の過去70年間の勝敗は37勝33敗でした。気になるのは1949年から1989年までの41年間で下落した回数が16回なので、勝率は60%ですが、1990年から2018年までの29年間は下落した回数が16回なので、勝率は44.8%まで低下していることです。この背景にあるのは、恐らく日本の経済成長の低迷でしょう。高度経済成長期からバブル経済期までは日本経済に勢いがあったので、夏枯れ相場と言っても、株式市場は比較的環境で、株価が上昇する年も多かったと思われます。

しかしバブル経済が崩壊して以降を見ると、2003年くらいまでは月間でプラスの年の上昇率も比較的高めですが、リーマンショック後の上昇率は極めて低くなっています。低成長経済に入るのと同時に、夏枯れ相場、閑散相場の傾向が色濃く出ているように思われます。

次に9月ですが、1年のうち陰線を引く確率が一番高いと言われるだけあって、勝敗は31勝39敗でした。また8月と同様、戦後からバブルピークまでの勝率と、バブル崩壊以降の勝率を見ると、1949年~1989年までが51.21%で、1990年~2018年までが34.48%でした。さらに10月を見ると、勝敗は39勝31敗で、1949年~1989年までの勝率が56.09%、1990年~2018年までの勝率が55.17%でした。

ちなみに9月と10月は、株式市場が歴史的暴落に見舞われるケースが比較的あります。1987年10月はブラックマンデーが起こりました。米国発の株価暴落で、NYダウは1日で22.6%も暴落。これによって日本の株式市場でも日経平均株価が1日で14.90%も下落しました。最終的に、1987年10月の月間騰落率が9.30%の下落に留まったのは、当時、まだバブル経済の真最中だった日本経済だけに、株価の立ち直りが他の国に比べて早かったからです。

次の大きな下げは1990年のバブル崩壊と、イラクのクウェート侵攻の影響です。すでに日本の株価は下落基調でしたが、これに拍車をかけたのが、1990年8月に起こったイラクのクウェート侵攻でした。日経平均株価は8月、9月と大幅に下落しています。一方、10月は大きく上昇していますが、これは下げ過ぎのリバウンドと考えられます。

また10月は、2008年にリーマンショックという「100年に1度」とまで言われた未曾有の金融危機が生じ、その影響で日経平均株価も1カ月間で実に24.55%の下落に見舞われました。

このように、歴史的な株価暴落が10月に起こっていることから、10月は株価が大きく下げやすいというアノマリーが生まれているわけですが、前述したように、実は10月は勝率で見ると、8月、9月に比べて高く、しかもバブル経済が崩壊した1990年以降の勝率も、8月や9月に比べて高めです。

つまり、10月は過去において歴史的な株価暴落があったことから警戒されやすいのですが、平時においては逆に株価が比較的しっかりした月であると考えられます。ということは、10月に比べて勝率が低い9月こそが、株式を仕込むチャンスであると言えます。

ただし注意点があります。イレギュラーな事象がある場合は、この限りではありません。今年10月は、消費税率の引き上げがあり、税率引き上げ後の消費動向が気になります。

また、日韓関係の悪化、米中貿易戦争、ハードブレクジットなど外交面の難題も山積みです。これらの問題が解決に向かえば、株価は大きく押し上げられますが、そうでない場合、株式市場の様子見ムードはしばらく続くでしょう。そのうえ、いずれも簡単に解決するような問題ではないだけに、今年の9月に株式を仕込むのは、かなりリスキーであると判断されます。



金融ジャーナリスト
鈴木雅光(すずき・まさみつ)

JOYnt代表。岡三証券、公社債新聞社、金融データシステムを経て独立し(有)JOYnt設立し代表に。雑誌への寄稿、単行本執筆のほか、投資信託、経済マーケットを中心に幅広くプロデュース業を展開。

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