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酒匂隆雄が語る「畢生の遊楽三昧」 第137回
  
公開日:2018年5月08日

国内外の銀行で為替ディーラーとして活躍され、その華麗な取引手腕から「貴公子」と称された酒匂隆雄さん。為替ディーラーの第一人者の顔とは別に、レーシング、海外旅行、ワイン・グルメに温泉旅行と、様々な趣味をお持ちで、人生を楽しく過ごすことに関しても一流人です。

このコンテンツでは、楽しい話題や日々の生活、たまには為替マーケットについて語っていただきます。

これからのドル円相場を考える

丁度3ヶ月前のこのコーナーで、『2018年のドル円相場はどうなる?』とのタイトルで私見を述べたが、あれから相場がどう動いたかを振り返り、今後どう動くかを考えてみたい。

2017年のドル円相場は高値118.60、安値107.31の値幅僅か11円29銭に留まってディーラー泣かせの年になったが、2018年こそもう少しダイナミックに動いて欲しいとは思うものの、相場を動かす要因を考えてみるとドルが上がると思う要因を挙げるとそうなるだろうと思い、逆にドルが下がる要因を挙げるとそうなるだろうと思える、と泣き言を言った。

ドル高&円安要因として
‐FRBによる利上げが続き、金利差拡大の観点からドルが買われ、円が売られる。
‐税制改革やインフラ投資を好感して米経済成長が更に加速する。
‐堅調な株価を背景にリスク・オンの動きが進む。


そしてドル安&円高要因として
‐短期金利が上昇しても長期金利が上昇しなければ景気後退の兆候を示すと言われるイールドカーブがフラット化するどころか短長期金利の逆転も有り得る。
‐税制改革は短期的には米国経済にとってプラスとなるが長期的には財政赤字増加の懸念となる。
‐連日の様に高値更新を続ける米株価には高値警戒感が燻り、株価下落が始まるとリスクオフの動きが始まる。

などを挙げたが、結果は年初112.61で始まったドル円相場はじりじりと値を下げて3月23日に安値104.62を付けた後急激に値を戻して先週5月2日に戻し高値110.03を示現した。


年初からのドル安&円高の背景には上に挙げた三つの要因以外に
⁻米中貿易戦争への懸念。
⁻北朝鮮の地政学的リスクの増大。
⁻安倍首相の森友・加計問題による求心力減退=アベノミクスに対する不信の増大。
⁻相次ぐ腹心の辞任や解雇を見るにつけ、秋の中間選挙を控えて、いや増すであろうトランプ大統領の横暴に対して大統領としての資質に対する疑問の増大。

などのリスク要因が勃発して一気にリスクオフ(投資家がリスクを抑える行動を取り、既存の債権圧縮を図り新規投資を控える。結果として円が買い戻されたり避難通貨として円が買われたりする。)が起こり、105円台の大台を下切れる事となった。


ところが4月に入って上に挙げた新たなリスク要因があたかも小康を保ってきたかの様な感じとなって、今度は市場が『ドル高&円安要因』に目を向け始めて円が売られてドルが買われ、ドル円は110円台を回復した。

4月中旬からのドルの上昇は凄まじく、対円では 106.88 から 110.03 へ約2.9%上昇したに過ぎないが、他の主要通貨であるユーロに対しては1.2413から1.1909へ約4.1%上昇(ユーロは下落)し、ポンドと豪ドルに対してはそれぞれ 1.4374 から 1.3486(約6.2%)、そして 0.7812 から 0.7471(約4.4%)上昇(ポンドと豪ドルは下落)している。

言わばドルの全面高となった訳である。

ユーロ、ポンド、そして豪ドルの下落の要因は欧州、英国、そしてオーストラリアの景況感減速による金融緩和期待、或いは利上げ期待の後退によるが日銀による頑なな金融緩和政策持続の姿勢もその他通貨と共に円売り(ドル買い)を誘ったとも言える。

さてこれからの相場展開をどう見るか?

市場が『そこにあるリスク』に対して鈍感になり、ドルとの金利差拡大をより意識するのであればユーロ、ポンド、そして豪ドルの下落は今暫く続くことになるであろうし、そうなればドル円相場は中々下がらない。

ところが、そう、ところが3月までドルを下落させた(円を含むユーロ、ポンド、豪ドルなどを上昇させた)リスク要因が無くなった訳ではない。


むしろ、
⁻米中通商交渉はお互いに妥協点を見出せずにいて貿易戦争の回避は綱渡りで交渉は長期化の様相を呈してきた。
⁻米朝首脳会談は非核化に向けてのプロセスに大きな隔たりが有り、北朝鮮は経済制裁を止めれば非核化に応じると言い、アメリカは非核化を先に行わないと経済制裁は解かないと言う。

世界は浮かれているが(特に韓国)予断は許さない。
⁻野党が国会審議をボイコットし、国政が混乱する中安倍首相に対する圧力は減ったかに見えるが此方も未だ予断を許さない状況は続く。
⁻米国長期金利が上昇する中、副作用が起き始めて好調な米景気を徐々に冷やし始めた。
住宅ローンや自動車ローン金利が軒並み上昇し、住宅・自動車販売に陰りが見え始めたのである。

これからボディーブローの様に米経済にダメージを与えることになろう。

⁻イスラエルはイランが核合意に反して核兵器の開発を続けていると主張し、トランプ大統領はイラン核合意そのものを『常軌を逸して馬鹿げている』と非難する。

中東に新たな緊張が生まれ、原油価格は70ドルの大台を突破した。

要するにぐるりと見まわすと、リスクオフとなり得る要因が今でも厳然と存在し、何時それが再び爆発するのか分からない。ドルの上昇はいつ何時突然爆発するかも知れない時限爆弾を抱えている様なものなのである。

結論として、今暫くはその他通貨の下落に伴って円も売られ(ドルが買われる。)112円~114円程度までのドル高&円安は有り得るが、その後は再びリスク要因がクローズアップされて100円を目指すドル安&円高も有り得ると考えている。


いやあ、相場は難しい!

かれこれ45年以上も為替をやって来たが、只の一度も為替が易しいと思ったことは無い。
(もっとも、為替が易しいと感じるのであれば親類縁者の金を全て集めてどんと相場を張っている筈でありますな!!それをやらない、いや出来ないのは相場に自信が無いからでありまする・・・。)



酒匂隆雄氏プロフィール

酒匂隆雄  さこう・たかお

酒匂・エフエックス・アドバイザリー 代表

1970年に北海道大学を卒業後、国内外の主要銀行で為替ディーラーとして外国為替業務に従事。
その後1992年に、スイス・ユニオン銀行東京支店にファースト・バイス・プレジデントとして入行。
さらに1998年には、スイス銀行との合併に伴いUBS銀行となった同行の外国為替部長、東京支店長と歴任。
現在は、酒匂・エフエックス・アドバイザリーの代表、日本フォレックスクラブの名誉会員。

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