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酒匂隆雄が語る「畢生の遊楽三昧」 第121回
  
公開日:2018年1月16日

国内外の銀行で為替ディーラーとして活躍され、その華麗な取引手腕から「貴公子」と称された酒匂隆雄さん。為替ディーラーの第一人者の顔とは別に、レーシング、海外旅行、ワイン・グルメに温泉旅行と、様々な趣味をお持ちで、人生を楽しく過ごすことに関しても一流人です。

このコンテンツでは、楽しい話題や日々の生活、たまには為替マーケットについて語っていただきます。

2018年のドル・円相場はどうなる?

最近余り為替の話をしていないので少し今年のドル・円相場についての私見を述べてみたい。

以下は先週書いたレポートの抜粋で、既にご覧になった方はご容赦下さい。

昨年のドル・円相場は年初の1月に高値118.60を付けた後、111.59へドル安&円高となり、その後は115.50、108.13、114.36、108.78、114.49、そして年の安値の107.31を付けた後114.73の戻り高値を付け、円高・円安との見事なサイクルを繰り返した後は111~114円のレンジに留まり1年の値幅は11円29銭で、プラザ合意が有った1985年の値幅62円55銭と単純に比べるとVolatility(変動率)がおよそ五分の一となってディーラー泣かせの一年となった。

さて2018年の相場展開はどうなるであろうか?

日経ヴェリタスが72名の機関投資家や証券会社、銀行の株式、為替、債券担当者や投資戦略を担当するストラタジストを対象に年初恒例の相場アンケートを行った結果によると、どうやら今年も『大きな波乱は無い』レンジ相場と見る向きが多い。

ドル・円相場の高値予想の平均は116.86、安値予想の平均は107.18でまあ107~117円のレンジと言う事か?

一番の高値予想は135円で次は125円。
120円と予想する人が最も多く17名いる。次は115円で12名。

一番の安値予想は95円で次は100円。
108円と予想する人が最も多く14名いる。次は105円で8名。

恥ずかしながら筆者の予想も似た様な物で、昨年同様『冷静に考えたらドル高&円安になるのかも知れないが、何かあったら突然ドル安&円高になるリスクが怖い。』と感じている。

先ずドル高&円安要因を考えてみると、

‐FRBによる利上げが続き、金利差拡大の観点からドルが買われ、円が売られる。
‐税制改革やインフラ投資を好感して米経済成長が更に加速する。
‐堅調な株価を背景にリスク・オンの動きが進む。

などが挙げられ、極めて穏当でオーソドックスな見方であろうか?


そしてドル安&円高要因を考えてみると、

‐短期金利が上昇しても長期金利が上昇しなければ景気後退の兆候を示すと言われるイールドカーブがフラット化するどころか短長期金利の逆転も有り得る。
‐税制改革は短期的には米国経済にとってプラスとなるが長期的には財政赤字増加の懸念となる。
‐連日の様に高値更新を続ける米株価には高値警戒感が燻り、株価下落が始まるとリスク・オフの動きが始まる。

などと上のドル高&円安要因が、『もし・・・したら、もし・・・れば。』流れが変わると言う『たられば論』で逆にドル安&円高要因となる。


他にも、
‐平昌オリンピックを前に現在は鳴りを潜めている北朝鮮であるが、中東情勢と相まって地政学的リスクは依然として脅威として残る。
‐ミラー特別検察官がトランプ大統領の事情聴取をすると伝えられた様にロシアゲートを巡るトランプ大統領への不信の増大。


これは11月の中間選挙へ大きな影響を与える可能性が大である。窮鼠、猫を噛むと言うが支持率アップを図って我が国に通商問題を突き付けてくる可能性が無いとは言えない。


‐シカゴ・IMMは依然として大きな円の売り持ちポジション(ドルの買い持ちポジション)を保持しており、このポジションは何れ必ず巻き戻しが起きる。


昨年ユーロ・ドルは1.05から1.20まで上伸したがその間シカゴ・IMM.がユーロの売り持ちポジションから買い持ちポジションに転じた事と偶然ではあるまい。何がきっかけとなるかは不明だがシカゴ・IMM.の動きには今年も留意したい。


‐アメリカが利上げを続け、欧州が量的緩和縮小に動く中、我が国だけ『強力な金融緩和を粘り強く続ける。』ことが出来るのであろうか?


黒田総裁がふと漏らしたリバーサル・レート(金利を下げ過ぎると、預貸金利ざやの縮小を通じて銀行部門の自己資本制約がタイト化し、金融仲介機能が阻害されるため、かえって金融緩和の効果が反転する可能性があるという考え方)発言はある意味本音であろう。

市場が此の真意を探り出したらドル安&円高が進むのは必定であろう。そして実は先週日銀が超長期国債購入減額を発表して市場は『すわ日銀が金融政策変換に踏み切るか?』と解釈して113円台から111円台割れまでドル安&円高が進み、今朝安値110.47を示現した。


上の諸々の要因をまとめるとドル高&円安が進むと思えばそう思えるし、逆にドル安&円高が進むと思えばそうとも思える。現時点では決め撃ちを行うのは難しいですな。今年の相場も一筋縄では行きそうにないが上手く流れに乗りたい。

お互いに頑張りましょう!



酒匂隆雄氏プロフィール

酒匂隆雄  さこう・たかお

酒匂・エフエックス・アドバイザリー 代表

1970年に北海道大学を卒業後、国内外の主要銀行で為替ディーラーとして外国為替業務に従事。
その後1992年に、スイス・ユニオン銀行東京支店にファースト・バイス・プレジデントとして入行。
さらに1998年には、スイス銀行との合併に伴いUBS銀行となった同行の外国為替部長、東京支店長と歴任。
現在は、酒匂・エフエックス・アドバイザリーの代表、日本フォレックスクラブの名誉会員。

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