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楢橋里彩レポート「世界を席巻ASIAN旋風特別編」
【香港】民主化デモの現場から

今回の楢橋里彩レポートは「世界を席巻ASIAN旋風 特別編」と題し、実際に香港で行われた行政長官選挙の制度改革をめぐる民主派デモの現場へ向かい、現地の様子をレポートしてきました。

9月28日未明、香港で始まった民主化実現を訴えるデモでは、学生を中心とした民主派団体らが政府に今も抗議が続いています。学生や公務員が学校、職場に戻り、鎮静化の動きが見られましたが、週末に何か起こる可能性もあるので、予断を許さない状況です(10月7日現在)。発端は、2017年に予定されている行政長官の普通選挙問題です。学生らが警察官と衝突したのをきっかけに、1000人を超える市民が政府合同庁舎前に集まりました。

なぜこんなに?デモが起こる香港社会の実情

香港に住んでいると、最近は週末を中心にデモが頻発して起こっていることに驚きます。近年で最大級のデモは、2003年に起きた国家安全条例に反対する「50万人デモ」(主催者発表)です。

毎年行われている天安門事件の追悼集会や、中国返還記念日である7月1日に行われたデモは、今年特に大規模になりました。主催者の発表だと51万人も参加しました。(警察の発表では9万8600人)
香港の将来を危惧し民主化実現のプラカードを持って歩く人が多くいることが特徴的です。

 

香港デモの行列

 

1997年、返還後「50年間は資本主義制度と市民の生活スタイルを変更しない」とした「一国二制度」ですが、本国の中央政府が発表した一国二制度白書では、香港への全面的な統治権をもつことを明示されていました。これが一部市民の怒りと民主化実現の声をさらに強めることになりました。

香港の金融街であるセントラルを占拠した団体の発起人の一人、香港大学法学部副教授 戴耀廷氏は、2013年1月からセントラルを大衆で占拠して麻痺状態に陥れるという「セントラル占拠」を計画しました。ですが、実際に中心になったのは学生団体の香港専上学生連会(学連)、学民思潮でした。

日本では報道されていないデモの背景

報道されている香港デモについてのニュースは、香港に住んでいると全て正しい報道とは思えません。メディアでは行政長官選挙に、中国政府が中国寄りの者しか立候補させない不条理な選挙だという報道が目立っていますが、実際は中央政府は国家の安全に配慮した選挙の方法を取っています。

 

日本では報道されていないデモの背景

 

どういうことかというと、本来行政長官は行政長官候補を指名する指名委員会によって選定されるのですが、この中には民主派など政治派閥で線引きはしないと中国の中央高官が述べています。ではどんな人物を排除するのかというと、それは民主派ではなく、外国勢力と結託し中央政府に敵対する人物だそうです。

日本では民主派とこれら敵対グループがごちゃ混ぜに報道されています。本来民主主義は、敵対グループも含めて全員で選挙となるのですが、そこは段階的に民主化を進めている中国。特に昨今、中東やウクライナなど政権転覆が目につく国際情勢や米国による中国包囲網、いわゆる「アジア重視政策」が中央政府の警戒を高めています。

使用された催涙弾は90発

9月28日セントラルで、学生らが幹線道路を占拠したために、警察が催涙スプレーで排除しようとしましたが、埒があかず催涙弾を打ち込みました。現場は白煙がたちこめ、悲鳴と叫びのなか一時騒然となりました。警察が今回催涙弾を使用した数は、およそ90発といわれています。

 

催涙弾を打ち込まれた様子

 

私は28日から毎日取材をしていたので、この現場に居合わせました。私は向かい風で流れてきた煙を吸い込んでしまい、涙が止まらず、喉も痛くて声が出ませんでした。しかし、驚いたのはその後でした。スプレーをかけられ、催涙弾を撃たれて、皆が逃げまとうかと思いきやゴーグルをして、ビニールを覆った若者たちが、さらに警察に立ち向かっていったのです。そして真の普通選挙を!と叫び続けていました。香港の若者たちの肝の据わり方に私は大変驚きました。

市民の今の'思い'

今回のデモ現場で取材した若者たちは、皆口をそろえて「自由を失うのが怖い、中国の洗脳教育を受けたくない」と話していました。
中国の洗脳教育とは、2010年に前任の曾薩権行政長官が学校の教育の一環として「香港人学生の国に対する認識についての教育カリキュラム」を打ち出したことを指します。
この内容が中国の共産主義の洗脳教育マニュアルだと猛反発をした市民らが、2012年にデモを起こし、このカリキュラムが白紙になっています。一丸となればまた政治を自分たちの手で変えられるのではないかという強い思いが今回の学生デモに発展しているのです。

 

現場での取材風景

 

今回デモに参加した人を取材した際に「あなたは中国人ですか?それとも香港人ですか?」という質問をしました。予想では当然「香港人だ」という主張する人が大半だと思っていたのですが、「もう中国人だ」という人も多く、意外にも二分する結果となりました。

当然、「私は香港人」と主張する人たちの声
「中国人になりたくない」(20代男性)、「我々には自由がある、言論の自由がある、そんな場所から中国になるなんて考えられない。」(30代男性)

一方で、「私は中国人だ」という人たちの声
「香港人と言いたいが、やはり返還されているので中国人という認識はしている」(20代女性)、「返還後意識はとても変わりましたが、洗脳教育だけは許せない」(20代女性)など。

これからの香港はどうなる?

10月2日深夜、梁振英行政長官が緊急会見をして、辞任する意思がないことを発表しました。
そして学連が辞任要求や全人代の決定撤回など無理な要求を引き下げたことで、政府側が対応に応じることになりました。今後対話に出席するのは、ナンバー2にあたる林鄭月娥政務長官です。

ですが、対話による平和的解決に向かおうとしているにもかかわらず記者会見前後で政府本庁前を占拠していた若者たちが突入して、警察官と衝突する事件が起こりました。

つまりこれは、もはや学連幹部が、デモをコントロールできていないことがうかがえます。デモには大陸からの観光客を排斥する運動をしている過激な団体も含まれています。銅鑼湾、尖沙咀、旺角といった観光スポットでも、デモが起きている事がそれを裏付けます。

 

雨傘革命

 

民主化デモが勃発して1週間が経った今、様々なことに影響が出始めています。その1つが、香港への旅行者減少です。特に中国は国慶節が1日から7日まであるため、例年なら香港への旅行者数がピークに達する時期ですが、今年は大幅に減少しています。さらに、商店街などではデモ参加者と営業妨害だと訴える地元住民との間で、衝突が起き始めています。

混沌とした状況が続く香港。現在のところ、2017年の普通選挙は棚上げされる公算が大きくなっています。

<レポート日:2014年10月5日>

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