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香港彩り情報「銅鑼湾書店関係者失踪事件」
公開日:2016年3月4日

みなさん、こんにちは。楢橋里彩です。
旧正月(春節)初日の深夜、繁華街であり観光地としても有名な旺角(モンコック)で暴動事件が起きました。セントラル占拠行動が起きた一昨年あたりから、デモに関連した暴力行為が頻繁に起きていますが、今回の暴動はなぜ起きたのでしょうか。事件の経緯と背景をまとめました。

旧正月初日を狙った計画的な暴動

旧正月の元日にあたる2月8日深夜から9日朝にかけて、旺角で「暴動」が起きました。昨今、このようなデモや暴力行為が多発しています。今回の暴動の発端は、過激な民主派団体「本土民主前線」(※この「本土」は中国本土でななく香港地場という意味)が、旺角の違法屋台取り締まりに反対するデモを行い警察と衝突、暴徒化したことでした。

 

 

2月8日深夜11時すぎから9日朝にかけて、有線テレビで現場の様子が絶えず生中継されました。暴徒は100人を超えるなど大規模な暴動に発展し、警察は催涙スプレーのほか、威嚇射撃を2発放つなどの対応をしました。明け方以降も警察とデモ隊との衝突が繰り広げられ、3か所で放火が確認されました。ピーク時には700人余りが旺角の14本の通りに集まり、面積110平方メートルに相当する2000個余りのレンガを路上からはがして警官に投げつけるなどしました。

 

 

地下鉄MTRは混乱を考慮して一時的に旺角駅には停車せずに通過し、2月9日午前9時45分に旺角駅停車を再開しました。午前10時、梁振英行政長官が緊急記者会見を行い、この事件を「暴動」と表現した上で「特区政府は暴力を容認せず、騒乱を厳しく譴責(けんせき)する」と強い憤りを示し、再発防止に努めると述べました。

2月9日午前中に鎮静化した旺角。午前11時過ぎに最後まで封鎖されていた亞皆老街と山東街付近を見に行きました。現場はまだ至る所に警官がおり、明け方まで行われたレンガの投げ合い、放火などで焼け焦げた匂いが辺りに漂っていました。道路標識が引き抜かれ、公共のごみ箱とともに燃やされるなど至る所に暴動の残骸が残っていましたが、平静な状態を取り戻していました。この暴動で警官90人余りが負傷、16日までに68人が逮捕、41人が起訴されています。

 

旺角暴動の背景

そもそもなぜこの時期にこのような暴動が起きたのでしょうか。それは、2月28日に行われた立法会補欠選挙と関連がありそうです。「屋台の取り締まり反対デモ」と冒頭で書きましたが、実は暴動が起きる前に現場では立法会補欠選挙に出馬する「本土民主前線」候補者の選挙活動が行われていました。今回の暴動では手製の武器を所持していた者も多く、「本土民主前線」は初めから暴動を計画していたとも言われています。選挙活動を口実にし、暴動を煽動した罪から逃れるのを狙ったのかもしれません。

 

 

過激路線を掲げる「本土民主前線」にとっては、暴動を起こすことで候補者への支持を集め、より多くの若者が投票に参加することを目論んでいたとも言われています。一般的には『暴動を起こしたら選挙でマイナスになるのでは』と思いますが、それは大人たちであり、若者たちにはむしろプラスに働く面があります。というのも、香港の一部の若者たちは、政治家に対してより過激な行動を求めていると言えなくもないからです。

そもそも「本土民主前線」のメンバーは、一昨年9月に起きた「セントラル占拠行動」でも最前線で活発に活動をしていました。今回逮捕されたスポークスマンの黄台仰氏は、並行輸入活動への抗議デモで警官襲撃の疑いで度々逮捕されている要注意人物です。

そして今回の暴動で、セントラル占拠で有名になった学民思潮の主要メンバーも逮捕されています。逮捕者には補欠選挙に立候補している「本土民主前線」の梁天琦氏が含まれていますが、暴動によって梁天琦氏への支持が高まれば民主派の票が分散し、暴動事件に反発を抱く市民が投票に立ち上がって親政府派候補に投じる可能性もあり、もともと本命として当選の確率が高かった公民党の楊岳橋氏が不利になるとみられています。

 

28日の立法会補欠選挙に注目

2月16日には、香港基本法委員会の委員を務める全国香港マカオ研究会の饒戈平(ジョウカヘイ)副会長が北京で記者会見を行い、旺角暴動に触れています。饒戈平副会長は北京大学法学院の教授であり、基本法解釈にも携わるなど基本法の権威に当たる人物です。香港の法的地位などについて饒氏の発言は絶対的な意味を持ちます。

饒戈平副会長は、「香港には極めて少数の過激な分離主義組織が存在し、その主張は台湾、新疆ウイグル自治区、チベット自治区の独立組織と変わらない」との警戒を示しました。さらに「香港の安全は香港だけに限らず国家の安全の一部分であるため、旺角暴動は国家の安全に対して香港に落とし穴があることを反映している」と述べ、基本法23条に基づく立法を推進するのは切迫した課題だと、指摘しています。

今回の暴動に抗議するデモでは、基本法23条の必要性を訴える市民もいました。基本法23条というのは「国家安全条例」の制定のこと。いよいよ23条問題を具体的に処理しなければならない状況になってくるかもしれません。

 

立法会補欠選挙、当選は穏健民主派 楊岳橋氏

2月28日には、立法会補欠選挙が行われました。これは立法会議員に欠員が出た場合行われるもので、今回は公民党を離党した湯家驊氏の辞職を受けたもので、2010年以来、6年ぶりでした。立候補したのは、公民党の楊岳橋氏、民主建協進連盟(民建連)の周浩鼎氏、新思維の黄成智氏、本土民主前線の梁天琦氏、無所属の方国珊氏、劉志成氏、梁思豪氏の7名。

なかでも注目されたのは「本土民主前線」という過激な民主派団体でした。

今、香港の若い世代を中心に過激派を支持する人が増えており、暴動を起こすことで支持率を高められると狙ったもの。過激派支持の理由は明確には分かっていませんが、経済問題や住宅問題への不満の矛先が中国本土からの旅行者や移住者に向けられ、本土との融合を推進する現政権や中央政府への反発を政治的に煽っているためといえるかもしれません。

今回の補欠選挙は、およそ43万4000人が投票、投票率は46.1%でした。4年前の立法会改選の投票率53.86%に比べて、やや下回りました。当選したのは、投票率37.2%、およそ16万票獲得した公民党の楊岳橋氏。新界東は民主派の票田であるため、公民党に有利とみられていましたが、次点の親政府派候補との差は1万票という辛勝でした。

2位となった、主要対立候補であった民主建港協進連盟(民建連)の周浩鼎氏は34.8%、投票獲得数はおよそ15万票でした。楊岳橋氏は即日から立法会選挙が行われる今年9月まで議員を務めます。今回の立法会補欠選で大きく注目されたのは、過激な民主派団体「本土民主前線」が3位を獲得していることでした。全体の15%、およそ6万6000票の得票を得ています。

この選挙結果から、民主派の主導権も徐々に過激派に移り、主流民主派は影響力をなくすか、あるいは彼らに合わせて過激路線を進むかが考えられます。つまり、政治的には1国2制度の今後が懸念されることを示します。同時に、ベテラン議員が次々と引退表明をしているなか、世代交代が始まっています。こうしたなか、4年に一度行われる立法会選挙は今年9月4日に行われます。

 

 

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