
インタビュー収録日:2014年7月15日

今回フォーカスするのは、弁護士の絹川恭久さん。今年2月に香港海外弁護士適格試験(Overseas Lawyers Qualification Examination)に合格しました。これによって日本国弁護士、ニューヨ―ク州弁護士、そして香港弁護士となった絹川さん。沖縄、シアトル、ハワイ、香港と世界を駆け巡りながら弁護士として奮闘する日々を伺いました。
楢橋
本日はどうぞ宜しくお願いします。まずは香港の司法試験の合格、おめでとうございます!
日本・アメリカニューヨーク州・香港(※1)と3つの資格をお持ちになったそうですが、司法試験は大変でしたか?
日本・アメリカニューヨーク州・香港(※1)と3つの資格をお持ちになったそうですが、司法試験は大変でしたか?
絹川
ありがとうございます。司法試験はとても難しかったですね。通常、香港の弁護士は大学の学部を卒業した後、ロースクールを出てトレーニーをして弁護士の資格をとる流れなのですが、外国の弁護士の場合は試験を受けて合格すればすぐに弁護士になれます。
楢橋
その分試験が大変難しいのですよね。ちなみに合格率は全体の何割くらいですか?
絹川
試験の募集要項には6~7割くらいと書いてありました。ですが、これはイギリスやアメリカ系の弁護士と合わせた合格率なので、安易な気持ちで取り掛かったら痛い目を見ましたよ。実際、日本のような非英語圏の弁護士の合格率はもっと低いようです。
楢橋
合格率が低いのは、語学の影響でしょうか?
絹川
そうですね。当然ですが英語で受けなくてはいけません。だから外国人と言っても、イギリス・アメリカといった英語圏の弁護士のほうが断然有利です。
香港は元々イギリスの植民地ということもあって、イギリスなどで実務経験がある科目は香港の試験で免除が受けられるんですよ。ですので、香港の資格をもっているイギリス系の国の弁護士は多いです。
私のように日本で弁護士をしてきても根本的な法が異なると経験があっても免除されませんし、さらに英語の口述試験では頭を痛めましたよ。(笑)
香港は元々イギリスの植民地ということもあって、イギリスなどで実務経験がある科目は香港の試験で免除が受けられるんですよ。ですので、香港の資格をもっているイギリス系の国の弁護士は多いです。
私のように日本で弁護士をしてきても根本的な法が異なると経験があっても免除されませんし、さらに英語の口述試験では頭を痛めましたよ。(笑)
※1
香港の資格は登録準備作業中で、8月中旬に手続が完了します。
楢橋
聞くところによると口述試験は2時間もあるとか。
絹川
そうです。試験部屋に入る前に問題用紙を渡されて10問のなかの4問を選びます。試験部屋には試験官が二人座ってその前で質問を受けて明確に話をしなければいけません。
内容は主に、香港基本法、契約法、不法行為法、刑法の4つで、1つの問題に30分かけて話します。
内容は主に、香港基本法、契約法、不法行為法、刑法の4つで、1つの問題に30分かけて話します。
楢橋
それぞれの問題に対して、どう解決すべきかを英語で口述していくわけですね。それは難しい・・・
絹川
日本語でさえ一人で30分話すのは難しいのに、それを英語で話すわけですからね。しかも時折試験官が突っ込みを入れてくるのが厄介でした(笑)
香港は論文もさることながら口述試験もきっちりしていて、しっかり答えられているかどうか見る為に、室内両側のカメラで録画しています。
香港は論文もさることながら口述試験もきっちりしていて、しっかり答えられているかどうか見る為に、室内両側のカメラで録画しています。
楢橋
香港は緩さや自由なイメージを感じることが多いのですが、弁護士の試験はそこまで厳しいものなんですね。
絹川
そうですね。自由さはありますが、法律の勉強をしていると香港がいかに厳しいかわかります。ある意味原則通りにやらないといけません。

