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Flying Back Japan 特別号
  
公開日:2017年6月29日

 

アメジスト香港主催の定期イベントが、6月17日(土)に開催されました。「株、為替。夏に向けての動向を探る」というテーマで、酒匂隆雄さんと川口一晃さんの対談の他、若林栄四さん、川合美智子さんによるマーケット見通しなど、今回も盛沢山の内容でした。日経平均株価が2万円に再び乗せるなど、マーケットに動きが出てきた中、今後の見通しはどうなるのか。当日の対談内容を再現します。

※酒匂さんと川口さんの対談内容を再現した記事を公開しております。
記事はこちら

米国経済はデフレに突入 株安、ドル安に備えよ

トランプ大統領が誕生して半年が経過したわけですが、相も変わらずトランプ劇場が繰り広げられています。

大体、大統領ネタが毎日テレビを賑わすようなことはないのです。せいぜい1週間に1度。1か月くらい出てこないのが普通なのですが、今は毎日のように、トランプ大統領がああいった、こういったという話が、CNNで取りあげられる。

ニューヨークタイムズの電子版は物凄い売れ行きです。ニューヨークタイムズは、言うなればニューヨークの地方紙なのですが、今や電子版で米国どこででも読めるようになり、まさに全国紙になっています。NYタイムズは20数ページあるのですが、そのうち7、8ページはトランプ大統領の特集です。

さて、来年はその米国で中間選挙が行われます。中間選挙では、上院は2年ごとに3分の1が改選されますが、下院は全員改選です。

現在、共和党の241議席に対して、民主党は194議席であり、その差は47議席ですが、民主党は中間選挙で下院を制すると息巻いています。47議席差ですから、24議席が共和党から民主党にひっくり返ると、マジョリティが変わります。

そこで民主党は、共和党の中でも弱いヤツを選んで、徹底的に叩く作戦を始めました。恐らく、トランプ大統領の支持率が30%まで低下すると、共和党のマジョリティは危ないと言われています。現在の支持率は34%程度で、このうち強力な支持層は28%に留まります。このまま推移すれば、恐らく共和党と民主党は逆転するでしょう。そうなったら、トランプ大統領は公約を守ることができず、身動きが取れなくなります。

トランプ大統領は、こう言っては何ですが、サイコパスですよ。自分がどんなに嘘を言っても平気なのですね。嘘を言っても、自分が嘘を言っているとは思わない。で、人を非難する。とんでもないヤツなのですが、それに対して罪の意識がない。彼の就任式には50万人しか集まらなかったのに、150万人も来たと公言する。オバマ大統領の時よりも大勢の人が来たと言う。

これはもう一種の病気です。圧倒的に普通じゃない。そんな人物が大統領であることを、普通の人を代表するニューヨークタイムズやCNNなどの記者が耐えられるはずがない。そして、毎日のようにツイッターでつぶやいている。側近は止めろと言っていますが、トランプ大統領は、言わないと気が済まない性格なのですね。そして墓穴を掘る。

中間選挙に向けて、多くの共和党議員が議席を失う恐れが高まれば、トランプ大統領の言うことに従わなくなり、トランプ大統領が提出する法案に反対するようになるでしょう。

米国経済の基調について今、起こっている現象のうち注目すべき点を挙げるとするならば、銀行の貸し出しと税収が落ちている点には要注意です。経済の実情が良くないことを示す数字です。そうであるにも関わらず、FRBは金利をどんどん上げています。

ただ、FRBが2015年暮れから利上げに転じ、過去4回、金利引き上げを行ったにも関わらず、長期金利は低下しています。短期金利はFRBがコントロールできますが、債券相場はできません。短期金利が上がる一方、長期金利が下がるというねじれ現象があるから、為替相場は円安にならず、円高になっています。

長期金利低下の背景について、FRBは雇用統計の低迷など後付けの理屈を言っていますが、先ほど申し上げたように、銀行の貸し出し残高や税収が落ちているという、米国経済の弱い部分が反映されているのではないかと思う次第です。これは、米国経済が目下、デフレに入っていることを示しています。だからドルが売られているのです。米国の株価も天井間近です。

ドル円は、一昨年6月につけた1ドル=125円で天井を打ったと見ています。その後、94円まで下げ、118円まで戻しましたが、再び下げてきました。来年7~9月までの間に、85円程度までドルは下げます。その頃には、長期金利の低下が明らかになり、株価も下落に転じます。

ユーロドルは、今年1月にドルが天井をつけ、1ユーロ=1.0341ドルで底を打ちました。ここからはユーロ高が進むと見ています。何しろユーロ安は2000年から16年間にもわたって続きましたから、いつ底を打ってもおかしくありません。今後、ドルが暴落する過程で、ユーロは滅茶苦茶上がるでしょう。

将来、ユーロがどうなるのか。それは誰にも分かりません。ただ、ひとつだけユーロの未来で確からしいことを申し上げるとしたら、ユーロ参加国のうち、経済的に弱い国は抜けていくと思います。イタリア、ギリシャ、スペイン、ポルトガルなどは、その有力候補です。そして、最後に残るのがドイツです。

現状においても、ドイツはユーロ高にしたいと考えています。それはメルケル首相が、「ユーロは安すぎる」と繰り返し発言していることからも分かります。かつてのブンデスバンクがそうだったように、ドイツは常にデフレ指向です。しかも一国至上主義です。こうしてユーロから、弱い国がどんどん脱落すれば、やがてユーロはドイツマルク化します。世界最強通貨と言われたドイツマルクですから、恐らくそうなった時には、ユーロが暴騰するでしょう。それだけ十分に下げたということです。

ユーロ円は、ドイツマルク時代から考えれば、1979年12月に最高値をつけています。ここ数週間、1ユーロ=125円を抜こうとしていますが抜けず、122円に下げたりしていましたが、恐らく125円は抜けないでしょう。

これは、最高値から131四半期という重要な日柄でもあるからです。2012年7月24日には、94円90銭という安値をつけ、2014年12月には149円78銭までユーロ高が進みました。その後、ブレグジットで109円まで下げ、今は125円近辺まで戻しつつあるものの、抜けずに下げています。

これは、149円78銭という高値からの31カ月目に当る、今年7月に向けて戻している段階です。恐らく、ユーロの戻りはそこまででしょう。その後は、ズドンと下げます。最終的には、1979年12月からの40年半に当る、2020年4、6月くらいまで下げるのではないでしょうか。それで、ユーロ円の下げが終わり、その後は上昇に転じるというイメージです。

豪ドル円は、2009年2月に1豪ドル=55円を付けてから8年4か月が今年の2月であり、大きな流れは下げです。1豪ドル=80円がサポートになっていますが、それを切れたら70円まで下げます。豪ドルは資源国通貨ですから、基本的に原油などの資源価格に連動します。

つまり、OPECによる原油価格の支配力が機能しない現状において、豪ドルは上がりにくい状況にあります。米国経済も弱いので、さらに資源価格は弱含みであり、豪ドルにとっては下げ圧力を強めています。

ポンド円は、正直なところよく分かりません。1ポンド=130円にサポートがありますが、ポンドの歴史を紐解くと、1864年が対ドルで最もポンドが高く、1ポンド=12ドルでした。これは、東京銀行の前身である横浜正金銀行の歴史を調べて分かった、英米クロスの最高値です。

この時、米国では南北戦争が行われていて、国内情勢はグチャグチャでした。ここからポンドは、対ドルで下げ続けているのです。ちなみに私が知っているポンドの高値は、1968年の1ポンド=4ドルです。それが今や1.2ドルです。いつまで下がるのか。仮に162年間下がり続けるとしたら、大底は2026年です。いずれにしても、ポンドの混乱はまだしばらく続きそうです。

日経平均株価は、日柄的には2022年の前半にかけて、1万2000円から1万3000円くらいまでの下げは見ても良いと思います。目先、日本経済自体は好調ですから、なかなか大きくは下げないかも知れませんが、そこは米国株の行方如何による部分が大だと見ています。米国株が大きく下げれば日本株も危ない。

NYダウの年足を見ると、大底は1974年12月。そこから相場はひたすら上昇してきました。この間、42年ですが、この42年という日柄そのものが危ない時間帯になります。すでに、この相場は危ない時間帯に入っていると見て良いでしょう。警戒を強めた方が良いかも知れません。

そして最後に金ですが、これはいよいよ上昇局面です。NY金は2011年9月の1トロイオンス=1920ドルが高値で、現在は1270ドル前後です。これを抜けてくると、暴騰するでしょう。今年は、9月までに1420ドルを予測しています。

アベノミクス相場は終わり。円高トレンドに

政治と金利が今年のテーマです。これを見れば大局観は掴めると思っています。

トランプ大統領の政治的手腕については、もはや改めて言うまでもないと思いますが、その政治力はかなり衰えていると思います。

また欧州では、イギリス対EUの政治的な綱引きがありますが、両者の政治力を比べると、流れはポンド安です。ブレグジットについての交渉が行われるなかで、イギリスだけに有利なように話を持っていくのは困難でしょう。

対して、フランスの大統領選挙では、マクロン氏がルペン氏を破った直後から、ドル円でさえ上放れしました。これは、今のイギリス対EUでは、EUが政治力で勝っていることを示す好例です。

そして長期金利。米国は低下傾向ですが、日米の10年債に利回り差がある限り、基本的に利回りの高い方にお金は流れていきます。

ただ、その一方で、米国10年債利回りが長期的に低下傾向をたどり、2%を割り込むと、流れが大きく変わります。米国はデフレであるという判断につながるのです。円金利は、昨年9月にマイナス0.295%を付け、ここで一旦、底を打っています。その後、徐々にではありますが、長期金利は上昇ぎみに推移しています。日米の金利差が縮小する可能性もあるのです。だとしたら、長い目で見れば円高トレンドになるでしょう。

ドル円の四半期足を見ると、8年ごとにドル円のピークをつけています。2007年6月に1ドル=124円をつけた後、2015年6月には125円86銭つけました。おおよそではありますが、8年サイクルトップです。そして、8年サイクルでトップをつけた後は、いくら円安基調になったとしても、なかなかサイクルトップを超えないという傾向が見られます。

ドル円は、95年4月に79円台、2011年10月に75円、2012年9月に77円台で、ダブルボトムを形成しました。16年サイクルの大きなダブルボトムです。8年サイクルと16年サイクルで、79円75銭は長期的なドル安の底。つまり円高のピークと考えて良いでしょう。

2022年に65円もあるかもしれませんが、まずは100円を切るか切らないかを見ること。逆に、120円を超えたら円安になりますが、その可能性は低いと見ています。95円を切れば、来年7月に向けて84円、80円というように円高が進むかも知れません。

アベノミクス相場は基本的に終わったと認識しています。2012年9月につけた77円台のダブルボトムからの上昇局面で、安倍内閣が誕生しました。この時点で、すでにドルは上昇トレンドに入っていたのです。そして、2015年6月15日の125円86銭で、ドルは天井を見ました。今後、安倍内閣が続く限り、125円を超えることはないでしょう。

次の内閣にバトンタッチするかどうかはともかく、チャート的には超えないことを示唆しています。現状、トランプ相場が円安トレンドを支えてはいますが、月足で100円割れになると、ドル円相場は90円台に下がります。円高の大きな流れは変わりません。

ユーロドルは、2008年の1ユーロ=1.6040ドルからのユーロ安トレンドに変わりはありません。今年4月の1.03ドル台は、ユーロの底だった可能性があり、1.10ドル台にある31カ月移動平均線を超えているので、上に行きやすい状況です。ただし、1.2ドルを超えてないと、本当の意味での強気にはなれません。

ユーロ高トレンドに変わりつつあるのは事実で、これまで2年半続いたユーロ安のエネルギーは強いのですが、それでも1.14ドルとか1.15ドルを超えない限り、上昇トレンドへのエネルギーが出て来ないでしょう。

ユーロ円については、1ユーロ=125円が壁と言われますが、サポートがしっかりしているのと同時に、31ヶ月と62カ月の移動平均線がついてきているので、これから大きく動きます。ただ、1ユーロ=130円台までいくのかどうかは不透明です。ユーロ高、ユーロ安のどちらに行くのか、正直まだはっきり見えてきません。なので、どちらに行ってもついていけるようにしたいところです。また、125円台に乗せてくるまでは、円高リスクが高いと見て良いでしょう。

ブレグジットによって、ポンドは新たな相場が始まっています。本来、大きな流れはポンド安です。政治力の弱さが露呈するのは、これからでしょう。1ポンド=1.23ドルから1.25ドルがサポートになっており、これを切るとポンド安が加速すると見ています。



若林氏プロフィール
若林栄四 わかばやし・えいし
ワカバヤシエフエックスアソシエイツ
代表取締役
 

1966年東京銀行(現、三菱東京UFJ銀行)入行。シンガポール支店、本店為替資金部及びニューヨーク支店次長を経て勧角証券(アメリカ)執行副社長を歴任。
現在、ニューヨークを拠点として、ファイナンシャル・コンサルタントとして活躍する傍ら、日本では株式会社ワカヤバシ エフエックス アソシエイツ(本邦法人)の代表取締役を務める。
著書:「世界経済の破断界 世界に吹き荒れる後退とデフレの真実」ビジネス社 (2015/10/21)、「黄金の相場予測2016 覚醒する大円高」日本実業出版社 (2016/2/27)、「黄金の相場予測2017 ヘリコプターマネー」日本実業出版社 (2017/3/2)

 
川合氏プロフィール
川合 美智子 かわい・みちこ
ワカバヤシエフエックスアソシエイツ
代表取締役
 

旧東京銀行(現、三菱東京UFJ銀行)在勤の1980年より若林栄四の下で罫線分析を研究、習熟する。同行でカスタマー・ディーラーとして活躍した後、1989年より在日外銀でカスタマー・ディーラーとして、また、外国為替ストラテジストとして抜群の人気を博す。
罫線分析を基にした為替相場コメントには定評がある。現在、(株)ワカバヤシ エフエックス アソシエイツの代表取締役 兼 外国為替ストラテジスト。
日経CNBC『デリバティブマーケット』、『ストックボイスTV(毎週金10:15am~)』に出演中。ブログ『川合美智子の為替相場と楽しく付き合う方法』を掲載中。『オール投資(東洋経済新報社/第1、第3月曜日発売)』に寄稿中。

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