若林栄四 ニューヨークからの便り

若林栄四(わかばやし・えいし)

1966年東京銀行(現、三菱UFJ銀行)入行。シンガポール支店、本店為替資金部及びニューヨーク支店次長を経て勧角証券(アメリカ)執行副社長を歴任。現在、ニューヨークを拠点として、ファイナンシャル・コンサルタントとして活躍する傍ら、日本では株式会社ワカヤバシ エフエックス アソシエイツ(本邦法人)の代表取締役を務める。

【著書】
・黄金の相場予想
・世界一やさしい図解FXの教科書
・異次元経済 金利0の世界
・富の不均衡バブル
・etc

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NYダウの日柄考察

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首尾よく米国株は最後の大ラリーをやっている。

米国の評論家の中には、この大ラリーを見てトランプの税制改革は不要だと言う見方も出て来たとCNBCは報じている。

長期相場観のウォーレン・バフェットのNYダウ100万ドル説や、短期評論家の超強気説など、8月までの弱気説は陰をひそめている。

そろそろ良いところに来ているだろう。

先週のこの欄で

"そうした中で、日柄と、価格の考察をしていて気がついたが、昨年11月4日のトランプ・ラリーの安値17,883ドルからの47.75週(382÷8)~95.5(ダブルペンタゴンの高さ)の半分の日柄は304-5日で10月4-5日となる。17,883ドルの起点に4,775ドルを加えると22,658ドルとなる。

この黄金分割の日柄とプライスが4,775という数字を介して、いずれも10月5日22,658ドル近辺を示唆している。

因みにリーマン後安値6,469ドルに、黄金分割16,180ドルを加えたレベルは22,649ドルで、この22,658ドルと同レベルである。"

 

と書いたが現実には相場は10月5日、22,775ドル(高値は22,777ドル)まで来ている。

この22,775ドルというのも先週可能性があるかもしれないと思っていたレベルである。

それは大恐慌前の大天井1929年9月3日の高値が386ドルであり、それを黄金分割(ペンタゴンの高さ)59で乗すると22,774ドルとなる。

さらに厳密にいえば大天井は386.1ドルだったので59倍すると22,779ドルとなる。

相場は10月5日現在でそこまでやったということである。

先々週の引け22,405ドルからみて22,775ドルはさすがに高すぎると考えたが、大相場の終わりというのはすべてのエネルギーを吐き出すということだろう。1週間弱で370ドルの棒上げとなった。

こうなるとさらにもう一つ上の、1929年の大天井386ドルの61.8倍というのも考えられなくはない。

その場合23,854ドルがターゲットということになる。

何故こんな話をしているかというと、日本のバブル大天井38,957円というのは、1965年7月の証券不況安値1,020円を黄金分割38.2(100-61.8)で乗した数字が38,964円で、大天井とたった7円の誤差の、超近似値であったからである。

1929年9月3日からの88.2年(100年-11.8年)(11.8は大事である50-11.8=38.2.
50+11.8が61.8である)(100-11.8=88.2となる)を計算すると今年の11月15日辺りとなる。

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米国株、大恐慌前夜との共通点

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米国の大恐慌に先立つ1929年9月からの米国株価の大暴落を勉強している。

1929年9月3日に386ドルの史上最高値を見た後、10月24日の暗黒の木曜日辺りから様子がおかしくなり(272ドルまで急落)11月13日には195ドルまで暴落した。

その後翌1930年の4月まで戻りをやり297ドルまで戻り高を見るが、30年10月には195ドルの前年安値を下に切る。

その後は1932年7月まで相場はひたすら下落、40ドルで大底を付けた。

2年10カ月で約90%の大暴落であった。この株の大暴落を受けて世界恐慌がおこり、1941年まで米国経済は低迷する。

1941年日本軍の真珠湾攻撃を発端とする、第2次世界大戦への参戦でやっと米国経済は底打ちするのである。

今年の9月5日のNYダウ前日比275ドルの急落を見たときに1929年9月3日の天井を思い出した。歴史を振り返ってみると、1929年は共和党のフーバー大統領が就任した年である。

このフーバーはビジネスマン・政治家であり、トランプ大統領に似ている。もっともフーバーの方がまともな人間ではある。

さらに1929年は、米国議会の上院、下院とも共和党が多数党であった。大統領府、上院、下院の三者がいずれも共和党の支配下にあった。これも現在と同じである。

実はこの三者がいずれも共和党支配であったのはこの1929年が最後で、今年2017年まで88年間なかったことである。前回共和党が三者を独占した1929年に大恐慌の引き金を引く、米国株価の大暴落が始まったのである。

また当時の米国経済が、必ずしも好調ではないのに、株価だけは上昇したこと、あるいは貧富の差が今と同じく非常に大きくなっていたこと、財政健全化が政党の主要なスローガンであったことなど今の米国と共通する現象がみられる。

筆者の計算ではNYダウ21,800-900ドルは天井圏となっている。すでに22,179ドルまで8月8日に高値を見ているが、その後は高値揉み合いとなっている。

ITバブル破裂後の大底2002年10月の7197ドルからの59四半期の呪縛が外れるのは、今年10月に入り60四半期目に入るときである。

10月以降米国株は急激に下落に転じるのではないかと考えられる。

米国株価急落、米国長期金利急落、ドル・円急落が待っている。

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米国金利の憂鬱

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NYダウは連日高値を更新している。

しかしSP500 とNASDAQ 先々週高値を見た後、2週間高値を更新していない。

いわゆるブルーチップ30社の株価の平均指数であるNYダウに比べ、SP500は米国大企業500社の株価指数である。NASDAQも主に新興ハイテク企業の株価指数で、NYダウほど簡単に操作できないものである。

その30社の平均株価が米国株全体のムードを表しているのはやや不当かもしれない。

8月3日のNYタイムズの1面に、トランプ劇場のドタバタにも拘わらず、米国株式は連日新高値を更新しているとして、その背景を説明している。

ドイツ銀行のプロのコメントでは、"毎日のように流れ込んでくる、年金関連の投資を受けるには、債券市場の利回りは低すぎる。当然株式市場に流れ込んでくる大量の資金が株高を演出している。もちろん株式のヴァリュエイションは高過ぎることは確かだが、ほかにおカネを受け入れる器がない"と記事の中で説明している。

しかしウォールストリートのプロの間ではいくらなんでも株価は高すぎるという警戒感も強く、次の5%の動きは、上ではなく下だろうという声も多い。

こうしたマーケットの中で、気になるのは米国長期債券の利回りである。

FRBの利上げや、雇用統計の強い数字が出るたびに、利回りは上昇するが、しばらくすると、ゆっくり金利低下が進行する流れが続いている。

この流れの説明がなかなか難しく、理屈で説明できない部分が多い。

しかし現象面でみれば、まず確実に金利が低下する動きが、一般のセンティメントとは逆にしっかりと定着しているように見える。これがトレンドといえるものだろう。

昨年7月から12月までの長期金利上昇局面(1.30%→2.64%)が一時的な現象であったと見るのが素直な見方である。その長期金利の動きと、FRBの短期金利上げの動きがどう整合するのか。これは考えても分からないことである。エコノミストは色々な形で説明しようとするが、要は、長期金利は下げトレンド、短期金利は上げトレンドということで納得するしかない。

しかしいつまでも股裂き状態で長短金利が逆方向に行くことはあり得ない。

短期金利の方向に相場が収斂するなら、長期金利も上げに転じるということであり、長期金利の方向に短期金利が寄せてきて、全体が金利低下という方向に行くということも当然ありうる。

ここで考えることは、短期金利はFRBが決めているということである。すなわち人為である。一方で長期金利は何故だか分からないが低下してくる。これは市場が決めていることである。すなわち神意である。

 

人為が勝つか、神意が勝つか。その帰結は明らかだろうというのが、筆者の結論である。

長期金利低下が神意ということは、高すぎる株価が調整するということを暗示しているだろう。

※ブルーチップ30社
S&Pダウ・ジョーンズ・インディシーズが発表する米国の代表的な優良企業30社のことで、NYダウ工業カブ30種平均のラインナップされた会社のこと。

※ヴァリュエイション
投資の価値を計算した内容

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債券ブルマーケット(強気相場)は終わった

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米国長期金利10年債は6月14日に2.10%の安値を付けたが、7月7日の雇用統計後では2.39%まで上昇している。

マーケットでは、ドイツのブンズ(10年国債)の価格下落をはやして、世界的な債券ブルマーケットは終わったとの論評が多い。

これはECBドラギ総裁の発言が、タカ派的であったという解釈で、欧州もこれから引き締めに入るという憶測が流布している訳だ。

ブンズのチャートみると、昨年6月の最安値を下に抜いている訳でもなく、下値は切り上げている流れを保っている。

また2015年6月の天井からの108週目が今週という日柄で、おそらくこの相場はもうそれほど下値はないのではないかと思われる。(金利上昇はないという意味)

米国の長期金利10年債は昨年7月6日に1.30%の史上最安値を付けている。

史上最高値が1981年9月の15.84%であるから34年10ヶ月目に出た最安値である。

この34年10ヶ月という日柄が何か意味があるかというとあまりない。

あえて言えば、2008年12月のゼロ金利政策採用からの31四半期目であったという程度である。

それに対して、昨年12月に付けた金利高値2.63%は15.84%の史上最高値からの423ヶ月(黄金分割の極致1.618+2.618=4.236)という美しい日柄でこの戻り高値が出現している。

1.30%示現の日柄よりはるかに大事な日柄で出ているのである。

また2000年1月の大底93.21(債券相場の大底)からの16年11ヶ月目が昨年12月である。

この16年10-11ヶ月は16.875年(540÷32)の大事なタイミングであり、そのタイミングで、金利戻り高というのも黄金分割では美しい。

※ブンズBunds ドイツ語で連邦債"Bundesanleihen"の略から:ドイツ連邦共和国発行のユーロ建てドイツ国債(連邦債)期間は満期10年・30年の利付国債、そして残存期間10年の物価連動債

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マーケットの警告

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6月9日の金曜日のマーケットは大荒れであった。

実は6月8日を注目していた。

ECB金融政策、コーミーFBI長官の議会証言、英国総選挙と材料が目白押しであったからである。

さらに6月8日は昨年11月4日のトランプラリーの起点のNYダウ17883ドルの安値からの31週目(216日目--- 54×4)だったからである。

普通の相場は31週間も上がればとりあえずの高値を迎える。トランプラリーが普通の相場なら、ここで天井を打つ可能性が非常に高いとみていた。

コーミー証言の内容は、水掛け論(英語ではHE SAID、SHE SAIDと言う)で決定的なものは出なかったが、これからトランプの苦戦を予想させる出来事ではあった。

だから相場がどうなるということではなく、このコーミー証言がこの31週目のタイミングで出たことが大事なのである。

相場は材料で決まると考えている多くの市場参加者にとって、6月9日の高値と言うのはコーミー証言による乱高下であり、もし筆者の予想する如く、これから米国株価が大幅に下がれば、コーミー証言によりトランプの脆弱性が暴露されたという解釈になるからである。

コーミー証言と株価は全く関係ないのだが、材料主義の人には、恰好のきっかけを提供することになる。つまりトランプが危ないから株価が下がったということである。

そうなると株価は、これからのトランプの片言隻句をとらえて材料にし、さらに株を売り込んでいくということになるのである。あるいはロシアゲートが実態以上に大きな意味を持つかのように株式市場が新たなダイナミックスを導入することになる。

この新たなダイナミックスは滑稽ではあるが、マーケットやメディアは大まじめでこれを追求する。この問題はすぐに解決する問題ではなく、延々と長続きする可能性がある。

どこかでこのダイナミックスの賞味期限が切れて、相場がこれに反応しなくなる。

そうすると今度は、ロシアゲート問題はマーケットの関心外に置かれ、次のマーケットの主要関心事を追求し始める。

相場の材料と言うのはその程度のもので、それ以上でもそれ以下でもない。

ロシアゲートも本当は特別検察官のもとで地道に捜査されるが、マーケットの話題としては、議会が夏休みに入る8月には一旦賞味期限が切れる。

それまでの間に株式相場がどれぐらい下落するか。10%ぐらいの下落は大いに考えられる。

トランプに関係なくハイテク企業の株価はバブルの様相を呈している。

アマゾン、アップル、グーグル、マイクロソフト、フェイスブックの5社の時価総額の合計は2.9兆ドル(320兆円)に達している。本格的な株式市場の崩壊は来年だとみているが、その前にこの数ヶ月間でその予行演習のような急落場面を演出するだろう。

1929年の大暴落以前にも小規模の急落を数回繰り返している。


"マーケットは警告する"は無能の大統領を選んだ米国にふさわしい事件である。

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