若林栄四 ニューヨークからの便り

若林栄四(わかばやし・えいし)

1966年東京銀行(現、三菱UFJ銀行)入行。シンガポール支店、本店為替資金部及びニューヨーク支店次長を経て勧角証券(アメリカ)執行副社長を歴任。現在、ニューヨークを拠点として、ファイナンシャル・コンサルタントとして活躍する傍ら、日本では株式会社ワカヤバシ エフエックス アソシエイツ(本邦法人)の代表取締役を務める。

【著書】
・黄金の相場予想
・世界一やさしい図解FXの教科書
・異次元経済 金利0の世界
・富の不均衡バブル
・etc

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さすがのビルも今回は...

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米国で債券王と呼ばれているビル・グロスが、いよいよ米国債券相場の下落(長期金利の上昇)が始まったとコメントしている。

この人は毎月米国雇用統計の時に必ずコメントする有名人で債券ファンドPIMCOの創業者の一人である。

この人の話の良いところは、くだらない誰が売った、だれが買ったという話をしないところである。その意味でマーケットの本質を理解している人間である。

投資家ではなくマーケットが主語の話ができる人である。

今回の話も中国が債券を買わなくなったとか言うくだらない話ではなく、短期金利の上昇に長期金利のまた裂き下落基調は、サステイナブル(継続可能)ではなく、短期金利の方向にさや寄せするのではないかというまともな話である。

しかし本当にそうか。

1981年9月の最高金利15.84%からの34年10カ月目の2016年7月に金利は最低1.31%を記録している。その後2016年12月には2.639%まで上昇を見たが、その後は2.3-2.4%台で推移、この1月に入って2.5%台に上昇、2016年12月の2.639%に迫っている。

問題は今のタイミングであるが、1981年9月の最高金利からの36年目が2017年9月であり、大事な36.5年の時間帯(145四半期)に入りつつある。



つまり36.5単位という一つの相場の終わりの時間帯に入っているということになる。

まだ2016年12月の2.639%も超えていない。その中でもう一度36.5年の節目のタイミングで金利高値をトライしているということだろう。

この金利高の流れが継続するのではなく、ここで盛り上がって再び金利下げに向かうというのが正しい流れだろう。

それが証拠に、為替相場は円高、ユーロ高の流れとなっている。

米国長期金利の流れが間違いなのか、円高ドル安、ユーロ高・ドル安の為替相場が間違っているのか。

ドル円相場でみると、2015年6月の125円のドル天井からの31カ月目がこの2018年1月でそれまでの円安基調が壊れ円高に転換する流れに入りつつあるものと考えられる。

つまり1月に入ってからの若干の円高基調は本物である。

米国長期金利は大きな流れでみると40年半の下げの流れに入っている。

1981年9月の天井からの40年半は2022年3月となる。その40年半の中の36.5年(145四半期)の日柄に向けての一時的な金利反発が今起こっている現象である。

早晩米国長期金利の反転下落が見られるだろう。

ビル・グロスの説は間違いということだろう。さすがのビルも、長期金利の動きを百年単位でみていないということではないか。

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米中間選挙を見据えて

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米国の税制改革案は上院も51対49で可決、すでに成立している下院の改革案との最終的なすり合わせが行われ、両者が合意に達すれば、トランプの署名を経て現実の法律となる。

複数の第3者機関は、法人税減税による1兆5千億ドルの歳入減を懸念しているが、ムニューシン財務長官は減税効果による景気拡大に伴う自然増収で賄うとし、マコネル共和党院内総務は、この減税案はレヴェニュー・ニュートラルつまり歳入減による財政赤字の拡大は無いとしている。

十分な検討もしないで会計税務の専門家による公聴会も開かず、複雑で秘密の多い法律を急いで通そうとしているのは、共和党支持者の間でも評判が悪い。

NYタイムズの記事によれば、一部共和党のストラテジストが75%の米国民に異常な不人気であるこの法案という言い方をしている。11カ月間の米国議会による不作為の後、やっと初めて1勝するチャンスが巡ってきているこの税制改革案は、75%の国民の不興を買っているというのは悲劇である。

有名な世論調査機関であるQUINNIPAC大学の調査では59%の有権者は、この共和党の税制改革案は、中産階級を犠牲にした、金持ち優遇の税制であると信じている。

この法律が成立すると、それに対する反感から共和党が来年の中間選挙で不利になるというのは確かにそうだが、だからと言って上院が簡単に民主党多数になるわけでもない。

2018年の中間選挙における上院の改選議員数は、共和党8名、民主党25名と圧倒的に民主党の改選議席が多い。ということは現職議員が選挙で負けるチャンスは圧倒的に民主党の方が多いということになる。今の48議席を維持するだけでも民主党にとっては大変なことであり、51議席(100議席が総数)の多数へ持っていくのは相当に難しい作業である。

となると上院はなかなか難しい。

下院はどうかと言うと、人工的に選挙区を捻じ曲げるゲリマンダリングの結果、総得票数は常に民主党が多いが、議席は共和党多数となっている。

このゲリマンダリングによる不利を克服するには、得票数が民主党55%、共和党45%くらいまで拡大しないと、民主党が議席多数と取ることが出来ないといわれている。

はたして中間選挙で、民主党が55%の得票で圧勝することができるかどうか。

圧勝しなければ、議席多数は取れず民主党は、マイノリティーにとどまる。

上院も下院も中間選挙で民主党が勝つのは不可能ではないが、相当難しい作業である。

75%の国民の不興が投票行動では何%の民主党有利となるのか、難しい読みである。

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来年の政権運営を占う

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毎年11月初めの週は選挙の週である。

11月7日にオフイアー(off year)エレクションというのがあった。

New jerseyやVirginia の知事選挙が目玉であった。この2州とも民主党の勝利となり、来年の中間選挙に向けて、民主党の意気が上がりつつある。

もっともこの2州は、豊かな郊外として、NYとワシントンのヒンターランドとしてもともと高学歴白人の多いところである。たまたま共和党の知事が支配していたが、もともとは民主党の強い地盤である。

したがってここで勝ったことで来年の中間選挙で民主党有利というわけでもない。

しかし中間選挙では一般的に大統領を出している政党が負けるのが通例である。つまり通例でいけば共和党は負ける。問題はどの程度負けるかである。

上院は共和党現職の改選数が少なく、よほどのことがない限り共和党が多数を維持するだろうといわれている。

もともと下院は共和党がゲリマンダリング※を駆使して、少ない票で、多数を制しているが、民主党が中間選挙で24議席を増やすと、民主党が過半数を制することになる。

面白いのは現職議員の辞職である。

下院共和党現職で既に29人が来年の選挙には出ないと発表している。民主党は7人である。

この1年間トランプ大統領の不人気で選挙区に帰るとタウンホール・ミーティングで徹底的につるし上げられて、中間選挙に出るとさらに後1年つるし上げに遭うので、辞職した方がましだという共和党議員が増えているということらしい。

いくらつるしあげられても平気だという面の皮の厚い議員ばかりではないし、日本のように落選すると生活に困るという人はもともと議員をやっていない。

大量の辞職者が出るのは大いに考えられるところである。

ということで選挙システムを捻じ曲げてゲリマンダリングで共和党有利の体制を作り上げている共和党も来年の中間選挙では、民主党がぎりぎりの良い勝負をするのではないかといわれている。

この選挙結果を受けて、共和党の内部では、税制改革をやり遂げないといけないという意見がある。共和党だけで走るのは来年の選挙に不利だから、民主党と協力して、共和党に対する批判を薄めることが必要だという意見もあり、その辺りも共和党内部で揉めそうである。

 

※ゲルマンダリング(gerrymandering)
政権与党や多数派が、その地区の立候補者や政党に、有利になるよう選挙区の境界線を確定すること。その結果不自然にくびれた地域や,飛び地などの選挙区割りの地域が生まれる。

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NYダウの日柄考察

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首尾よく米国株は最後の大ラリーをやっている。

米国の評論家の中には、この大ラリーを見てトランプの税制改革は不要だと言う見方も出て来たとCNBCは報じている。

長期相場観のウォーレン・バフェットのNYダウ100万ドル説や、短期評論家の超強気説など、8月までの弱気説は陰をひそめている。

そろそろ良いところに来ているだろう。

先週のこの欄で

"そうした中で、日柄と、価格の考察をしていて気がついたが、昨年11月4日のトランプ・ラリーの安値17,883ドルからの47.75週(382÷8)~95.5(ダブルペンタゴンの高さ)の半分の日柄は304-5日で10月4-5日となる。17,883ドルの起点に4,775ドルを加えると22,658ドルとなる。

この黄金分割の日柄とプライスが4,775という数字を介して、いずれも10月5日22,658ドル近辺を示唆している。

因みにリーマン後安値6,469ドルに、黄金分割16,180ドルを加えたレベルは22,649ドルで、この22,658ドルと同レベルである。"

 

と書いたが現実には相場は10月5日、22,775ドル(高値は22,777ドル)まで来ている。

この22,775ドルというのも先週可能性があるかもしれないと思っていたレベルである。

それは大恐慌前の大天井1929年9月3日の高値が386ドルであり、それを黄金分割(ペンタゴンの高さ)59で乗すると22,774ドルとなる。

さらに厳密にいえば大天井は386.1ドルだったので59倍すると22,779ドルとなる。

相場は10月5日現在でそこまでやったということである。

先々週の引け22,405ドルからみて22,775ドルはさすがに高すぎると考えたが、大相場の終わりというのはすべてのエネルギーを吐き出すということだろう。1週間弱で370ドルの棒上げとなった。

こうなるとさらにもう一つ上の、1929年の大天井386ドルの61.8倍というのも考えられなくはない。

その場合23,854ドルがターゲットということになる。

何故こんな話をしているかというと、日本のバブル大天井38,957円というのは、1965年7月の証券不況安値1,020円を黄金分割38.2(100-61.8)で乗した数字が38,964円で、大天井とたった7円の誤差の、超近似値であったからである。

1929年9月3日からの88.2年(100年-11.8年)(11.8は大事である50-11.8=38.2.
50+11.8が61.8である)(100-11.8=88.2となる)を計算すると今年の11月15日辺りとなる。

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米国株、大恐慌前夜との共通点

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米国の大恐慌に先立つ1929年9月からの米国株価の大暴落を勉強している。

1929年9月3日に386ドルの史上最高値を見た後、10月24日の暗黒の木曜日辺りから様子がおかしくなり(272ドルまで急落)11月13日には195ドルまで暴落した。

その後翌1930年の4月まで戻りをやり297ドルまで戻り高を見るが、30年10月には195ドルの前年安値を下に切る。

その後は1932年7月まで相場はひたすら下落、40ドルで大底を付けた。

2年10カ月で約90%の大暴落であった。この株の大暴落を受けて世界恐慌がおこり、1941年まで米国経済は低迷する。

1941年日本軍の真珠湾攻撃を発端とする、第2次世界大戦への参戦でやっと米国経済は底打ちするのである。

今年の9月5日のNYダウ前日比275ドルの急落を見たときに1929年9月3日の天井を思い出した。歴史を振り返ってみると、1929年は共和党のフーバー大統領が就任した年である。

このフーバーはビジネスマン・政治家であり、トランプ大統領に似ている。もっともフーバーの方がまともな人間ではある。

さらに1929年は、米国議会の上院、下院とも共和党が多数党であった。大統領府、上院、下院の三者がいずれも共和党の支配下にあった。これも現在と同じである。

実はこの三者がいずれも共和党支配であったのはこの1929年が最後で、今年2017年まで88年間なかったことである。前回共和党が三者を独占した1929年に大恐慌の引き金を引く、米国株価の大暴落が始まったのである。

また当時の米国経済が、必ずしも好調ではないのに、株価だけは上昇したこと、あるいは貧富の差が今と同じく非常に大きくなっていたこと、財政健全化が政党の主要なスローガンであったことなど今の米国と共通する現象がみられる。

筆者の計算ではNYダウ21,800-900ドルは天井圏となっている。すでに22,179ドルまで8月8日に高値を見ているが、その後は高値揉み合いとなっている。

ITバブル破裂後の大底2002年10月の7197ドルからの59四半期の呪縛が外れるのは、今年10月に入り60四半期目に入るときである。

10月以降米国株は急激に下落に転じるのではないかと考えられる。

米国株価急落、米国長期金利急落、ドル・円急落が待っている。

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