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田代尚機(たしろ・なおき)

TS・チャイナ・リサーチ代表。
1958年愛知県出身。大和総研勤務時代、北京に9年間駐在し、引受リサーチ、中国エコノミスト、中国株担当アナリストなどを担当。その後、内藤証券、リード・リサーチ・アンド・プロダクツ(株)を経て独立。個人投資家、機関投資家向けに中国株投資に関する助言・情報提供などを行う。社団法人日本証券アナリスト協会検定会員。現在、マネックス証券で「田代尚機の注目5銘柄」を掲載中。その他、SBIサーチナ、日経CNBC、ストックボイスなど、メディアへの出演・寄稿多数。

【著書】
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・中国株「黄金の10年」
・レッド・センセーション好機到来!

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本土市場、国慶節で1週間休場

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中国株投資家のみなさん、こんにちは。

本土市場、共産党全国代表大会後に期待!!
9月の本土市場は結局、期待外れに終わった。

上海総合指数の月足は▲0.35%安、安値と高値の差は1.77%に過ぎず、まるで1日の値動きのようだ。週足ベースでは4週下落となったが、小さな十字線がごくわずかに下方にシフトする感じである。

20171005_tashiro.shanghai.png

上海総合指数は、昨年11月末、今年4月上旬、8月上旬と3回に渡り、3300ポイントではじき返されてきた。8月25日(金)、28日(月)の2日間、急騰したことで3300ポイントの上値抵抗線を一気に突き抜けることができた。

9月は上昇トレンド発生への期待が高まったものの、そうした地合いの中でのやや不自然な狭いレンジでの調整となった。

セクター間の動きをみると、新エネルギー自動車への政府支援策発表で自動車、北朝鮮情勢の悪化で国防軍事、需要拡大で半導体・部品、5Gへの投資期待から通信設備がそれぞれ買われるなど、好材料のあったセクターには資金が流入した。

一方、7、8月に大きく買われた鉄鋼、石炭セクターに調整が入った。また、電力、港湾・海運、空港・空運など業績面でやや不安のあるセクターも売られた。
しかし、もっとも気になったのは、銀行、証券、保険の下落である。特に銀行は、国家隊が株価を買い支えるときに動きが活発となるセクターである。国家隊が売り、相場を抑えた可能性がある。

9月は需給面で、資金のひっ迫しやすい時期である。四半期末のため、企業の決済資金需要が高まる。また、各行に中国人民銀行による検査が入るため、銀行はレバレッジを拡大しにくくなる。こうした要因により、流動性の不足で株価が下がりやすくなる。
また、この時期、ファンド、理財商品などの解約、期限到来が多い。国慶節休場を前に換金売りの増える時期である。いずれの要因も決定的な売り材料ではないが、相場の上値を重くした要因になったかもしれない。

9月の値動きが小さかった要因について、当局の内部会議から垣間見ることができるような気がする。
中国証券監督管理委員会(証監会)は25日、テレビ電話による全体会議を開催、証監会がかかわる中国共産党第19回全国代表大会に関するプロジェクトについて、
再度、動員、計画を確認すると同時に、国慶節、中秋節期間における清廉教育を行うよう再度、リマインドし、強調した。
証監会は政治や、大局を考慮するといった角度から市場の安定を維持するための各措置をしっかりと打ち出し、全力で、資本市場の安定を確保するよう要求した。(26日、上海証券報)

国家に近い筋が株式を買ったり売ったりするだけではなく、先物市場への監督管理の強化、相場安定を目的とした売り買いが効いた可能性もある。

残念ながら、データで説明できないことばかりなので、スペキュレーションに過ぎないが、そうでも考えない限り、このボラティリティの低さは説明がつかない。

今後の動向について、10月11日に七中全会、10月18日には5年に一度、共産党指導部の人事を決める共産党全国代表大会が開催される。市場の安定操作(?)はしばらく続きそうである。

ファンダメンタルズの面では、8月の月次統計はことごとく市場予想を下回ったものの、9月の製造業PMIは市場予想を大きく上振れしている。

国家統計局、中国物流購買聯合会は9月30日、9月の製造業PMIは52.4であったと発表した。8月と比べ0.7ポイント高く、本土の市場コンセンサスを0.8ポイント上回った。2ヵ月連続で上昇、2012年5月以来の高水準となった。

20171005_tashiro.PMI.png

国家統計局サービス業調査センターの趙慶河シニアエコノミストは、
9月の要点として、「需給がともに改善していること、内外需が改善していること、産業構造の変化が起きていること、国慶節、中秋節を控え、消費関連セクターの景況感がよいこと」などを挙げている。

産業構造の変化については自動車、専用設備、電気機械、計算機・通信・電子製品・メーターなど、新エネルギー関連産業のPMIが高い。消費関連では、食品、飲料、ファッションアパレルなどのPMIが高い。

9月の非製造業PMI指数は55.4で、前月と比べ、2.0ポイント上昇している。これは2014年5月以来の高水準である。

製造業、非製造業ともに見通しは良い。

こうした状況で当局が市場安定化操作をしているとすれば、10月18日の共産党大会後、それが解除されることによって、上昇しやすくなるのではないか?

10月の相場は前半よりも、後半の方が期待できそうだ。

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9月の製造業PMIは5年4ヵ月ぶりの高水準!!

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中国株投資家のみなさん、こんにちは。

今週は国慶節のため、本土市場はまるまる1週間、休場となります。

国家統計局、中国物流購買聯合会は930日(土)、9月の製造業PMI52.4であったと発表しました。8月と比べ0.7ポイント高く、本土の市場コンセンサスを0.8ポイント上回りました。2ヵ月連続の上昇で、20125月以来、54ヵ月ぶりの高水準を記録しました。

細目指数の動きをまとめると、以下の通りです。

20171002A.png

新規受注が大きく回復しています。需要が高まっています。

購買価格、出荷価格が急上昇しています。供給側改革の加速、環境保護政策の徹底などから、素材、エネルギー、化学製品、紙などの供給が絞られています。

生産は拡大し、原材料在庫は減少幅が小さくなったのですが、製品在庫は減少幅を広げています。

経営者の予想以上に景気は良いといった状況です。

非製造業PMI指数は55.4で前月と比べ、2.0ポイント上昇しています。これは20145月以来、34ヵ月ぶりの高水準です。

官製グループ発表による景気見通しはここ数年来の好調見通しとなっています。

一方、財新が930日に発表した中国製造業PMI51.08月と比べ0.6ポイント低く、本土の市場コンセンサスを0.5ポイント下振れしています。

いずれも50を超えているので、景気が拡大しているといった点では一致しているのですが、方向感が異なります。

両者の統計で最も違う点は、官製グループの製造業PMI3000社あまりの主に大型製造業企業に対して、国家組織による調査として定点観測をしているのに対して、財新は毎月、400社余りの中小製造企業にアンケートを送付する形で数字をまとめている点です。

中国国家情報センターの範剣平チーフエコノミストは、環境保護による遅れた設備の淘汰がデータの変化に大きな影響を与えたとみています。

官製グループのサンプルは淘汰によって好影響を受ける大型企業が中心ですが、財新は淘汰される中小企業が中心です。そうした違いが大きいのではないかと説明しています。

曹遠エコノミストは、「人件費の上昇、人口の老齢化などの制約が依然として存在する状況で、今年の中国経済は供給側改革の推進によって、底打ちした。改革はミクロベースで効果を現しており、企業業績は全面的に回復している。

2017年上半期の中国における工業ロボットの売上高は90%増加している。伝統的製造業は様相を変えており、少しずつ進む技術革新、技術進歩は中国経済成長の希望の光である」と分析しています。

表面的な数字の変化よりも、水面下で進む構造的な変化の方が重要で、そうした変化が現状の景気を好転させているという点で、中国経済の見通しは明るいということです。

 

 

 

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香港市場、高値警戒感高まる!!

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中国株投資家のみなさん、こんにちは。

S&Pによる中国格下げへの反論!!

Standard&Poor'sは21日、中国のソブリン債格付けをAA-からA+に引き下げ、見通しについてはネガティブから安定的に変更した。

格付け引き下げの理由は、"長期にわたる高い信用貸出の伸びが中国経済、金融のリスクを高めた"からだと説明している。

この点について、たくさんの本土エコノミスト、政府関係者が反論している。これらをまとめると大よそ以下の通りである。

まず、信用貸出の伸びが長期にわたり高いとしている点について、直近の状況を把握していないと指摘している。
M2の伸び率の推移をみると2016年10月末の11.6%をピークに下げ続けており、2017年3月には11%を割り込み、5月には10%を割り込み、8月は8.9%となっている。2016年の名目GDP伸び率は8.0%であったが、2017年上半期は11.4%となっている。

貨幣流通速度(名目GDP/M2)を見る限り、直近では1を超えてきている。また、中国の債務に対するGDP比率についても、長年確かに上昇してきたが、2016年下半期から下落し始めている。

次に、社会システムの違いを理解していないことを指摘している。中国は貯蓄率が高く、金融システムは間接金融のウエートが大きい。裏返せば、株式に関してプライマリー市場が未発達であるといえよう。
IPOにしても、増資にしても、PEにしても、当局の規制が強すぎる。それは発行体、投資家ともに未熟であること、法整備が遅れていることなど、ひいては資本市場の対外開放が遅れていることなどが要因である。

そのため、資金調達の面で企業は銀行借入や社債発行に頼ることになる。社債は国債を含め、そのほとんどが銀行間で取引され、証券会社経由で個人に販売される量は限られる。また、海外での発行、或いは海外投資家の債券保有もわずかである。
結局、企業負債に対する債権者はほぼ国内の銀行ということになる。

一方で、銀行預金の3分の2は国有企業が保有している。債券発行残高が多いといっても、銀行、国有企業間でのやり取りが中心である。
銀行業界の中核は5大国有銀行であり、その他の都市銀行、地場銀行を含め、国有セクターが中心であることを考えると、債券取引は国家という大きな枠組みの中での取引であるともいえる。当然、他国とそのリスクの度合いは大きく異なる。

中央財経大学中国公共財政政策研究院の喬宝雲院長は、「S&Pの採用する評価理論は、中国経済が高成長する現実を説明するのには適さない。
あらゆる経済体に対して同じ大きさの靴をあてがって、適する適さないを評価しているようなものである」と批判している。これはまさに、システムの違いをよく理解していないことによる統計数字のミスリードである。

さらに、中国が現在行っている供給側改革、環境保護政策、金融レバレッジの縮小政策について、正しい分析ができていないと指摘している。昨年から行われている供給側改革は今年に入って加速している。
環境保護政策は第13次五カ年計画の重要政策の一つであるが、こちらも昨年後半あたりから、いろいろな分野で成果が表れてきた。金融レバレッジの縮小については、不動産コントロール政策、四半期ごとに行われる銀行に対する監督管理を強化している。

7月24日に行われた中共中央政治局会議では、下半期の経済運営について、次の7点を指摘している。

(1)下半期の経済運営を上手く行い、安定の中で前進を求めるといった経済運営の基調を堅持し、穏健な中で前進するといった関係、均衡を保ち、好機をつかみ、それらをしっかりと把握する

(2)供給側構造性改革について変わることなく深化させることを堅持し、"三去一降一補"を深く推し進め、ゾンビ企業の弱点をしっかりと処理し、その多くについては市場メカニズムによって優勝劣敗を実現させる

(3)累積する地方政府債務のリスクを積極的かつ穏健に処理し、地方政府の起債、融資を有効に規範化し、隠れた債券の増加を断固として止める

(4)金融のシステマティックリスクが発生しないようにそのボトムラインを確保し守る。金融の乱れた現象を深いところから直し、金融監督管理協調を強化し、金融サービスの実体経済への効率や水準を引き上げる

(5)不動産市場を安定させ、政策の連続性、穏健性を堅持し、長期的に効果のあるメカニズムの構築を加速する

(6)外資、民間投資を安定させ、投資心理を安定させ、財産権保護を強化し、外資の市場参入を拡大し、投資家を吸引するために商業運営環境を強化する

(7)民生業務を高度に重視し、積極的に就業を促進し、困難な民衆を助け、生産、生活の中で発生する困難、問題を解決する

こうした政策が実行されているから、石炭、鉄鋼、非鉄金属、セメント、化学工業、化学肥料、製紙などのセクターで、供給が絞られ需給が改善、価格が上昇に転じ、企業業績は大きく回復している。
同時に、財務面で効率性の改善、負債の圧縮などが進んでいる。

今後、遅れている国有企業改革も進展する見込みである。こうした状況でなぜ、今になってわざわざ格付けを引き下げるのかといった不満が多い。

いろいろと細かい点を指摘したが、5月の段階でムーディーズが引き下げを行っているので、市場への影響は小さい。結果については気にすることはないだろう。

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25日の上海総合指数は0.33%安、不動産が売られる!!

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中国株投資家のみなさん、こんにちは。

25日(月)の上海総合指数は安寄り後、狭いレンジでの売り買い交錯となりました。バイオ関連、飲料、国防軍事が相対的に堅調であったほかは、ほぼ全面安となりました。特に、不動産、新材料、自動車、非鉄金属、半導体、石炭などの下げが目立ちました。

9月に入り上値の重い相場が続いています。5日移動平均線は下向きで、もう少しで25日移動平均線をデッドクロスしそうなところまで来ています。

20170925A.png

また、25日(月)の創業板指数は1.22%安となりました。

9月上旬以降、下向きの200日移動平均線に沿って下げる形でしたが、25日(月)はそれを下回って引けています。少し調整が長引きそうな感じがしてきました。

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25日寄付き前のニュースでは、不動産に関して悪材料がありました。

新華社は、「22日、23日の2日間で、西安、重慶、南昌、南寧、長沙、貴陽、石家庄、武漢の8都市で不動産市場コントロール政策が実施された」と報じています。

西安、武漢を除く6都市では購入制限が実施されました。石家庄では新規に購入した不動産(新築物件、中古物件)について5年以内の売買を禁止、重慶では、新築、中古住宅に関する不動産権利証の取得後2年間、売買を禁止、貴陽では、新築住宅購入後3年間の譲渡を禁止するなど、各地方によって、独自の購入制限策がとられています。

また、西安では商品不動産について価格を申告させること、武漢では不動産開発業者の販売行為を規範化することで不動産市場をコントロールしようとしています。

不動産業界では"金九銀十"という言葉があります。

9月は1年で最も活況で、10月はそれに続くということで、金メダル、銀メダル級のかき入れ時なのです。

この時期を選んで、不動産価格の急騰を防ぐべく、厳しい政策がとられたわけですが、これによって、国務院は不動産だけでなく、金融リスクの縮小、株式市場の規範化なども、容赦なく進めるのだといったサインとも受け取れます。

昨年もこの時期、不動産市場コントロール政策が実施されているので、大きなサプライズというほどではありませんが、それでも、金融が緩み、資金が株式市場に流入するようなイメージはわいてきません。

ただし、今週の取引を終えると1週間の国慶節休場が待っています。大型連休前、四半期末による換金売りが上値を抑える一方、3300ポイントには強い支持線があります。

また、下げれば国家隊など長期投資家の買いが入ると予想されることから、今週は軟調ながらも下値の堅い値動きになるのではないかと予想しています。

 

 

 

 

 

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景気下振れリスク発生!!

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中国株投資家のみなさん、こんにちは。

8月の経済統計は予想を下振れ!!

8月の経済統計は、全面的に予想に対して下振れする結果となった。

まず、8月の鉱工業生産だが、結果は6.0%増で、前月と比べ0.4ポイント低く、市場コンセンサスを0.6ポイント下振れした。6月の7.6%をピークに2か月連続で低下しており、2016年12月以来の低い水準となった。

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生産量で前月と比べ低下が目立つところを示すと、セメントが3.7%減で前月と比べ2.8ポイント低下、非鉄金属が2.2%減で2.2ポイント低下、鉄鋼が0.5%増で2.2ポイント低下、発電量は4.8%増で3.8ポイント低下している。

国家統計局は、「過剰生産能力、在庫の削減が進んだ。鉄鋼の生産能力削減は順調に進んでいる。"地条鋼(廃品鉄を溶かして固めただけの粗悪な鉄)"の違法取り締まりを進めている。
また、7月末の時点で、石炭の生産能力を1.28億トン削減、通期削減目標の85%を達成している」などと説明している。供給側改革を進めていることが、セメント、非鉄金属、鉄鋼などの生産が低下している要因であろう。

今後これらのセクターは環境面からも生産が低下する可能性が高い。今年に入り、北京市、天津市や河北、河南、山東、山西省の主要26都市において、暖房が必要な時期における生産調整政策が発動されている。
これらの冬の気温が低い各都市では、暖房用の熱水を各家庭に供給しているが、その熱水を作るのに石炭が使われる。そのため、冬季は環境汚染が激しくなる。
環境汚染の激しいこれらの地域ではこの時期にセメント、鋳造、鉄鋼、電解アルミニウム、アルミナ、揮発性有機物(医薬、農薬)の生産を制限するといった内容である。

7月の発電量については、猛暑により電気使用量が増えたため高かったと言える。例年並みの暑さに戻った8月は、より実際の経済状況を反映した伸びを示しているともいえる。ちなみに、8月は2016年6月以来の低い伸び率に留まっている。

次に、8月累計の固定資産投資だが、結果は7.8%増で、前月累計よりも0.5ポイント低く、市場コンセンサスを0.4ポイント下振れした。
製造業は4.5%増で7月累計よりも0.3ポイント低く、6月累計の5.5%増をピークに、2か月連続で低下している。エネルギー、素材など本来、設備投資額が大きな産業で過剰生産が問題となっている中、製造業の投資は伸びにくい状況である。

20170921_Tashiro.seizougyou.png

不動産投資は7.9%増で7月累計と同じだが、4月累計の9.3%増をピークに伸び率は鈍化している。今年の3月以降、価格上昇率の高い地域を中心に厳しい価格抑制政策が行われており、そうした影響が出つつある。

道路、鉄道などの建設が中心となる交通・運輸・倉庫・郵政事業投資は14.3%増で、7月累計よりも1.0ポイント低く、2月累計の18.8%増をピークに下落傾向にある。
水利環境公共施設投資などは23.6%増で、7月累計よりも1.1ポイント低く、2月累計をピークに下落傾向にある。インフラ投資は年間計画があってその枠内で行われる。
一般的傾向として、上期は前倒しで行われるため高く、下期は予算制約により低くなる傾向がある。特に、今年のようにインフラ投資で景気を支えているような年はそうした傾向が強まる。

次に、8月の小売売上高だが、8月は10.1%増で、7月と比べ0.3ポイント低く、6月の11.0%増をピークに低下傾向にある。消費の中では自動車の比率が3割程度を占めるが、今年は購入税減税幅が半減となっている。
8月の自動車販売台数は5.3%増で、7月と比べると0.2ポイント低している。8月累計の商品不動産販売面積は12.7%増で7月累計と比べると1.3ポイント低下しており、2015年12月累計以来の低水準である。
不動産は自動車や家電、家具などの消費を誘発するので、その不動産の販売面積が鈍化しているので、消費に影響を与えている可能性がある。

20170921_Tashiro.kouri.png

次に輸出(米ドルベース)だが、8月は5.5%増で7月よりも1.7ポイント悪化、市場コンセンサスを0.5ポイント下振れした。6月の11.3%増をピークに下落傾向にあり、今年2月以来の低い水準である。
なお、輸入は13.3%増で、7月よりも2.3ポイント高く、市場コンセンサスを3.3ポイント上振れした。

20170921_Tashiro.boueki.png
そのほか、消費者物価指数(CPI)は1.8%上昇で、前月よりも0.4ポイント高く、本土市場コンセンサスを0.2ポイント上振れした。また、工業品出荷価格指数(PPI)は6.3%上昇で、前月よりも0.8ポイント高く、市場コンセンサスを0.6ポイント上振れした。
結果はいずれも上振れだが、総需要が高いというよりは、供給側改革が加速し、川上製品を中心に需給がひっ迫、それで価格の上昇が起きている。その影響が大きいと考えられる。

20170921_Tashiro.buxtuka.png
ここまでの分析を簡単にまとめると、生産は供給側改革、環境対策の強化、総需要の鈍化などから低下している。設備投資については、インフラ投資が季節的な要因から、不動産投資が政策的な要因から、それぞれ鈍化している。
製造業の投資は供給側改革の影響を受け低水準である。消費は自動車政策、不動産政策の影響を受けて弱含みである。
こうした状況はこれから年末にかけて解消されず、景気は穏やかに減少しそうだ。蛇足だろうが、共産党全国大会が終了するから減速するのではない。

 

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