たっしーが教える、中国株なら俺に聞け!!

田代尚機(たしろ・なおき)

TS・チャイナ・リサーチ代表。
1958年愛知県出身。大和総研勤務時代、北京に9年間駐在し、引受リサーチ、中国エコノミスト、中国株担当アナリストなどを担当。その後、内藤証券、リード・リサーチ・アンド・プロダクツ(株)を経て独立。個人投資家、機関投資家向けに中国株投資に関する助言・情報提供などを行う。社団法人日本証券アナリスト協会検定会員。現在、マネックス証券で「田代尚機の注目5銘柄」を掲載中。その他、SBIサーチナ、日経CNBC、ストックボイスなど、メディアへの出演・寄稿多数。

【著書】
・中国株二季報
・人民元投資入門
・中国株「黄金の10年」
・レッド・センセーション好機到来!

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香港市場、高値警戒感高まる!!

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中国株投資家のみなさん、こんにちは。

S&Pによる中国格下げへの反論!!

Standard&Poor'sは21日、中国のソブリン債格付けをAA-からA+に引き下げ、見通しについてはネガティブから安定的に変更した。

格付け引き下げの理由は、"長期にわたる高い信用貸出の伸びが中国経済、金融のリスクを高めた"からだと説明している。

この点について、たくさんの本土エコノミスト、政府関係者が反論している。これらをまとめると大よそ以下の通りである。

まず、信用貸出の伸びが長期にわたり高いとしている点について、直近の状況を把握していないと指摘している。
M2の伸び率の推移をみると2016年10月末の11.6%をピークに下げ続けており、2017年3月には11%を割り込み、5月には10%を割り込み、8月は8.9%となっている。2016年の名目GDP伸び率は8.0%であったが、2017年上半期は11.4%となっている。

貨幣流通速度(名目GDP/M2)を見る限り、直近では1を超えてきている。また、中国の債務に対するGDP比率についても、長年確かに上昇してきたが、2016年下半期から下落し始めている。

次に、社会システムの違いを理解していないことを指摘している。中国は貯蓄率が高く、金融システムは間接金融のウエートが大きい。裏返せば、株式に関してプライマリー市場が未発達であるといえよう。
IPOにしても、増資にしても、PEにしても、当局の規制が強すぎる。それは発行体、投資家ともに未熟であること、法整備が遅れていることなど、ひいては資本市場の対外開放が遅れていることなどが要因である。

そのため、資金調達の面で企業は銀行借入や社債発行に頼ることになる。社債は国債を含め、そのほとんどが銀行間で取引され、証券会社経由で個人に販売される量は限られる。また、海外での発行、或いは海外投資家の債券保有もわずかである。
結局、企業負債に対する債権者はほぼ国内の銀行ということになる。

一方で、銀行預金の3分の2は国有企業が保有している。債券発行残高が多いといっても、銀行、国有企業間でのやり取りが中心である。
銀行業界の中核は5大国有銀行であり、その他の都市銀行、地場銀行を含め、国有セクターが中心であることを考えると、債券取引は国家という大きな枠組みの中での取引であるともいえる。当然、他国とそのリスクの度合いは大きく異なる。

中央財経大学中国公共財政政策研究院の喬宝雲院長は、「S&Pの採用する評価理論は、中国経済が高成長する現実を説明するのには適さない。
あらゆる経済体に対して同じ大きさの靴をあてがって、適する適さないを評価しているようなものである」と批判している。これはまさに、システムの違いをよく理解していないことによる統計数字のミスリードである。

さらに、中国が現在行っている供給側改革、環境保護政策、金融レバレッジの縮小政策について、正しい分析ができていないと指摘している。昨年から行われている供給側改革は今年に入って加速している。
環境保護政策は第13次五カ年計画の重要政策の一つであるが、こちらも昨年後半あたりから、いろいろな分野で成果が表れてきた。金融レバレッジの縮小については、不動産コントロール政策、四半期ごとに行われる銀行に対する監督管理を強化している。

7月24日に行われた中共中央政治局会議では、下半期の経済運営について、次の7点を指摘している。

(1)下半期の経済運営を上手く行い、安定の中で前進を求めるといった経済運営の基調を堅持し、穏健な中で前進するといった関係、均衡を保ち、好機をつかみ、それらをしっかりと把握する

(2)供給側構造性改革について変わることなく深化させることを堅持し、"三去一降一補"を深く推し進め、ゾンビ企業の弱点をしっかりと処理し、その多くについては市場メカニズムによって優勝劣敗を実現させる

(3)累積する地方政府債務のリスクを積極的かつ穏健に処理し、地方政府の起債、融資を有効に規範化し、隠れた債券の増加を断固として止める

(4)金融のシステマティックリスクが発生しないようにそのボトムラインを確保し守る。金融の乱れた現象を深いところから直し、金融監督管理協調を強化し、金融サービスの実体経済への効率や水準を引き上げる

(5)不動産市場を安定させ、政策の連続性、穏健性を堅持し、長期的に効果のあるメカニズムの構築を加速する

(6)外資、民間投資を安定させ、投資心理を安定させ、財産権保護を強化し、外資の市場参入を拡大し、投資家を吸引するために商業運営環境を強化する

(7)民生業務を高度に重視し、積極的に就業を促進し、困難な民衆を助け、生産、生活の中で発生する困難、問題を解決する

こうした政策が実行されているから、石炭、鉄鋼、非鉄金属、セメント、化学工業、化学肥料、製紙などのセクターで、供給が絞られ需給が改善、価格が上昇に転じ、企業業績は大きく回復している。
同時に、財務面で効率性の改善、負債の圧縮などが進んでいる。

今後、遅れている国有企業改革も進展する見込みである。こうした状況でなぜ、今になってわざわざ格付けを引き下げるのかといった不満が多い。

いろいろと細かい点を指摘したが、5月の段階でムーディーズが引き下げを行っているので、市場への影響は小さい。結果については気にすることはないだろう。

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