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田代尚機(たしろ・なおき)

TS・チャイナ・リサーチ代表。
1958年愛知県出身。大和総研勤務時代、北京に9年間駐在し、引受リサーチ、中国エコノミスト、中国株担当アナリストなどを担当。その後、内藤証券、リード・リサーチ・アンド・プロダクツ(株)を経て独立。個人投資家、機関投資家向けに中国株投資に関する助言・情報提供などを行う。社団法人日本証券アナリスト協会検定会員。現在、マネックス証券で「田代尚機の注目5銘柄」を掲載中。その他、SBIサーチナ、日経CNBC、ストックボイスなど、メディアへの出演・寄稿多数。

【著書】
・中国株二季報
・人民元投資入門
・中国株「黄金の10年」
・レッド・センセーション好機到来!

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中国株投資家のみなさん、こんにちは。

先週はいろいろな政策情報が報道されたが、その中にいくつか重要だと思われるものがあった。今回はそれらを簡単にまとめておきたい。

まず、PPPプロジェクトに関する政策について。

発展改革委員会投資司、証券監督管理員会債券部、中国証券投資基金業協会は9日、関連企業を呼んだ上で、PPPプロジェクト資産証券化座談会を開催した。会議では、伝統的なインフラ設備領域のPPPプロジェクトにおける証券化資金調達を推し進めることについて話し合われた。

これは、発改委、証監会が共同で開催した第一回目の座談会である。PPPプロジェクト資産証券化業務が正式に立ち上げられたことを意味する。

今後、両機関は協力関係を強め、共同でPPPプロジェクト資産証券化教育を行い、条件にあうPPPプロジェクトを選び出し、できるだけ早く、関連する証券化商品を発行させる方針である。

国務院は2016年10月11日、PPPモデルプロジェクト第三弾対象プロジェクトを発表した。

ごみ処理、下水道管の設置、道路、駐車場の建設、景観緑化といった政府関連プロジェクトを中心に、516の案件が具体的な政府プロジェクトとして認定された。事業総規模は1兆1700億元に達する。

問題は"資金をどう調達するのか"という点である。中央の財源には限りがある。地方財政はリーマンショック後に行われた過剰な積極財政政策の後遺症で何処も財政難である。

そこで民営資金の導入に注目が集まり、PPPプロジェクトを増やそうといった話になっている。

政府としては、国家として必要なプロジェクトを厳選し、それを中心に投資を加速させたい。そこで今回の516件の案件を指定するといった形になったのであるが、それに民間資本が興味を示してくれるだろうか?

インフラ投資は資金回収までに長い時間がかかる。途中で投資を止めるわけにはいかない。民間からすれば、扱いにくい案件である。国務院は、そうした点を少しでも和らげるために資産を証券化し、投資、資金回収の利便性を高めようとしているのだ。

次に混合所有制国有企業改革について。

中国中冶(H株01618、上海A株601618)は11日、「中国国有企業構造調整基金股フェン有限公司は同社が行う第三者割当増資2476万株を引き受ける。ロックアップ期間は12か月間である」と発表した。

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中国国有企業構造調整基金股フェン有限公司とは、2016年9月に設立された国内最大規模の産業向け投資ファンドだ。

株主は中国誠通控股集団(発起人、出資額300億元)、中国郵政儲蓄銀行(500億元)、招商局集団(200億元)、中国兵器工業集団(50億元)、中国石油化工集団(50億元)、中国交通建設集団(50億元)、神華集団(50億元)、中国移動通信集団(50億元)、中国中車集団(10億元)、北京金融街投資(集団)(50億元)。資本金は1310億元であるが、レバレッジがかかっており、ファンド規模は3500億元である。

本来、PE投資を目的としているようであるが、今回初めて上場企業への投資を行うようである。

混合所有制国有企業改革とは、中央系国有企業に民間資本を導入することで、資本の充実と経営効率の改善を目指す改革である。

ここで導入される資金は元をたどれば国有企業の出資金や、銀行からの借入金ではあるが、ファンドによる投資であり、純粋なキャピタルゲイン獲得を目的とした投資である。混合所有制国有企業改革では、こうした企業支配を目的としない資金の導入が望まれる。

なお、資金使途は、珠海十字門中央ビジネス区ビジネスグループ、滬州空港道路建設、湛江鋼鉄環境保護、汪家馨城第二期、満堂家園など、プロジェクトに関する開発資金などである。

企業側は少しでもリターンの高いプロジェクトを開拓し、外部から少しでも多くの資金を調達しようとする。ファンド側は将来性のあるプロジェクトを厳選して投資しようとする。両方の努力によって、良質で効率的なインフラ投資が増えることになる。

政府が経済主体に働きかけ、成長を促すといったやり方は無駄がなく、効率的であるように思えるが、それほど簡単ではない。

例えば自動車産業を例にとると、2015年10月から始まった購入税半減政策は、2016年の中国自動車市場を急成長させる原動力となった。生産量は8年連続で世界第1位。生産、販売量はいずれも2800万台を超え、それぞれ14.46%増、13.65%増となった。

しかし、中国自動車協会は、「購入税政策における期限到来の不確実性は需要の先食いを招き、それが2017年の販売に一部影響を与えるだろう。購入税政策の段階的な終了による影響もあり、2017年の自動車販売台数は5%増の2940万台前後となるだろう」などと発言している。

購入税政策について少し補足しておくと、今年は経過措置として、軽減税率が半減する形で維持されたが、来年からは2015年9月以前の状態に戻る見込みである。

「自動車需要は安定成長するとみており、今後、5~10年の間は成長が続くであろう」とも指摘しているが、恒久減税でない限り、こうした政策の効果は生産のボラティリティを一時的に高めるだけとなってしまいかねない。

新エネルギー自動車についていえば、「2017年は2016年と比べ、国家の補助金は20%削減され、地方財政による補助金も中央財政による補助金額の50%を超えてはならないといった政策が打ち出されている。2017年第1四半期の新エネルギー自動車の販売量は楽観できないであろう」などと説明している。

新エネルギー自動車への補助金政策を巡り、違法取得が相次いだ。だから、一旦縮小されることになるのだが、政府が性悪説に立ち、補助金を受ける側の監督管理をしっかり行わない限り、政策効果が薄いばかりか、社会の不満を拡大させる結果となってしまう。

中国経済の強さは「多様性」、「個の強さ」にある。中国には様々なタイプの人がいて、自己の利益を最大化するためにあらゆる努力を惜しまない人が沢山いる。政府は彼らを上手く活用し、監督管理してきたが、そのことがこの数十年間、中国経済を奇跡的に高成長させてきた原動力となっている。

しかし、「自己利益の最大化」は時として、社会通念や道徳、法秩序を超えてしまう。不動産、株式市場、商品市場におけるボラティリティの高さや、実体経済における非効率な投資の過熱などを引き起こしてしまう。

経済が今後も成長を続けるために、市場の自由化、国際化を進めることで「多様性」を維持し、「個の強さ」をさらに強化しながら、それによって発生するだろう不都合な部分を取り除くよう、政府は今後も、うまく管理監督していくであろう。過去の実績がこのシステムの優位性を証明している。

我々は経済システムの違いを正しく理解した上で、中国市場で起きるいろいろな変動を冷静に分析すべきである。

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