蟹瀬誠一コラム「世界の風を感じて」

蟹瀬誠一(かにせ・せいいち)

国際ジャーナリスト/明治大学国際日本学部教授
(株)アバージェンス取締役
(株)ケイアソシエイツ副社長
1950年石川県生まれ。上智大学文学部新聞学科卒業後、米AP通信社記者、仏AFP通信社記者、米TIME誌特派員を経て、91年にTBS『報道特集』キャスターとして日本のテレビ報道界に転身。東欧、ベトナム、ロシア情勢など海外ニュース中心に取材・リポート。国際政治・経済・文化に詳しい。現在は『リーダー&イノベーション・賢者の選択』(日経CNBC,サンテレビ、BS-12)、『マネーの羅針盤』(テレビ東京)のメインキャスター。カンボジアに小学校を建設するボランティア活動や環境NPO理事としても活躍。
2008年より2013年3月まで明治大学国際日本学部長。
趣味は、読書、美術鑑賞、ゴルフ、テニス、スキューバ・ダイビングなど。


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最も危険なアジアの火薬庫

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いま世界でいちばん危険な場所はどこか。そうと訊ねると、ミサイルを発射した北朝鮮と答える人が日本では多い。しかし正解はインド北部とパキスタン北東部の国境地帯に広がる山岳地域カシミールだ。

インド、パキスタン、中国の3カ国が領有権を争うカシミール地方で印パの報復合戦が激化し、地域核戦争という戦慄のシナリオが現実の脅威となっているからである。

きっかけは今年2月、パキスタンのイスラム過激派が同地域のインド治安部隊を狙って自爆テロを起こし40人以上が死亡した事件だった。インドはすぐさまパキスタン国内の武装勢力の拠点を空爆。その報復として今度はパキスタン空軍がカシミール上空でインド軍の戦闘機2機を撃墜して操縦士2人を拘束した。世界に緊張が走った。

なにしろインドもパキスタンも核保有国である。しかも、1999年にカシミールを巡って両国が軍事衝突した際には、パキスタンがインドに対する核攻撃を計画したという前歴がある。その時はカシミールを「世界でもっとも危険な場所」と判断した米国のクリントン大統領が仲裁に入り、事なきを得た。だが、アメリカ・ファーストのトランプ大統領にはそんな役割を期待できそうもない。

今月1日、パキスタン側が拘束したパイロットを解放したため事態は収束するかに見えた。ところがモディ首相は6日、インドとパキスタンがカシミール地方のインド側にあたるジャンムー・カシミール州の自治権を剥奪すると突如発表。インド軍兵士を追加配備して同州を封鎖し、地元の政治家、活動家、財界人、大学教授など300人以上を拘束するとともに電話やインターネットも遮断してしまった。これで危機が一気に再燃。同州はインドで唯一イスラム教徒が大半を占め、インド政府の圧政でこれまでに数万人が犠牲になっている地域だ。パキスタンのカーン首相はツイートで怒りを露わにした。

「ヒンズー至上主義のイデオロギーはナチスのアーリア人至上主義のように止まらない。・・・行き着く先はインドにおけるイスラム教徒の弾圧、民族浄化であり、最終的にはパキスタンを標的にするだろう」

そもそも両国の国境紛争は、1947年に英国がインドの植民地を、カシミールの帰属を明確にしないまま、ヒンズー教徒の多いインドとイスラム教徒が大多数を占めるパキスタンに分割したことに起因する。この分割は大きな災難をもたらした。同年に第1次印パ戦争が勃発し、その後も第2次印パ戦争、カールギル紛争、第3次印パ戦争と血みどろの戦闘が続いた。

そのうえ大国の地政学的思惑も絡んでいる。これまでテロ対策の一環でパキスタンを支援してきた米国はトランプ政権になってインド寄りにシフトしている。敵対する中国に対してインドが防波堤になるという判断からだ。一方、インドと国境対立している中国はパキスタンとの軍事・経済的関係を強化している。誰も責任を取らない歴史の傷跡と混乱が消える日はまだまだ遠い。

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