蟹瀬誠一コラム「世界の風を感じて」

蟹瀬誠一(かにせ・せいいち)

国際ジャーナリスト/明治大学国際日本学部教授
(株)アバージェンス取締役
(株)ケイアソシエイツ副社長
1950年石川県生まれ。上智大学文学部新聞学科卒業後、米AP通信社記者、仏AFP通信社記者、米TIME誌特派員を経て、91年にTBS『報道特集』キャスターとして日本のテレビ報道界に転身。東欧、ベトナム、ロシア情勢など海外ニュース中心に取材・リポート。国際政治・経済・文化に詳しい。現在は『リーダー&イノベーション・賢者の選択』(日経CNBC,サンテレビ、BS-12)、『マネーの羅針盤』(テレビ東京)のメインキャスター。カンボジアに小学校を建設するボランティア活動や環境NPO理事としても活躍。
2008年より2013年3月まで明治大学国際日本学部長。
趣味は、読書、美術鑑賞、ゴルフ、テニス、スキューバ・ダイビングなど。


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目覚めたのは猫か獅子か

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「中国は深い眠りに入った獅子だ。目を覚ませば、世界を震撼させるだろう」

 そう予言したのはかの有名なフランス皇帝ナポレオンだった。そんな19世紀の予言がみごと的中し、いまや目覚めた獅子中国が世界の勢力地図を塗り替えようとしている。

ただし、メディアが危機を煽る米中の貿易戦争だけに目を奪われていると事の本質を見誤るから要注意だ。そもそも、就任直後はあれほど中国の習近平主席と蜜月関係を演出していたトランプ米大統領がなぜ180度方針転換したのだろうか。その理由は主に「中国製造2025」にある。

就任当初、トランプ大統領は尊敬する元国務長官ヘンリー・キッシンジャーの「対立より協力から始めよ」というアドバイスに従って習夫妻をフロリダの別荘で歓待した。一方、習主席も1日8万人の観光客が訪れる歴代皇帝の住まいだった紫禁城を臨時閉鎖してトランプ夫妻を招き入れ、まさに皇帝待遇で持てなしている。

しかしキッシンジャーが実質的な中国のロビイストであることや中国が米国を出し抜いて世界の製造強国トップになろうとしていることなどを知ったトランプは激怒。その怒りと恐れの産物が対中関税引き上げであり、中国通信機器大手ファーウェイやZTE締め出しなのだ。

それほど2015年に中国政府が発表した「中国製造2025」の衝撃は大きい。なぜなら現在は外国製品に依存しているハイテク製品のコアとなる半導体などの主要部品の7割を中国が自前で生産しようとしているだけでなく、中国独自の次世代宇宙ステーションや月面探査、通信衛星で世界全体をカバーして世界に君臨しようと目論んでいるからだ。昨年夏、トランプ大統領が唐突に宇宙軍新設を発表した背景にはこうした中国の脅威がある。

日本のマスコミは中国経済が早晩失速するとかバブル崩壊だとか上から目線のネガティブ報道を好むが、実際の中国の成長は目覚ましい。1980年にわずか3050億ドルだったGDPが今年は13兆ドルを超える勢いだ。昨年の成長率は低下したとはいえ6.6パーセント。ゼロ成長の日本から見れば夢のような数字である。成長率の低下は中国政府が量から質への経済へシフトしたためだ。

さらには憲法改正で任期を撤廃し絶対的権力を掌握した習近平主席は、政治を民主化しなくても経済発展が可能だという中国独自の社会資本主義に自信を深めており、優秀な人材確保や「一帯一路」政策によってユーラシアからアフリカまで勢力拡大の歩を進めている。

これに対しトランプ政権内部はボルトン国家安全保障担当大統領補佐官や、ナバロ国家通商会議委員長といったゴリゴリの反中派が幅を利かせているだけで戦略的に一貫性がない。長引けば、米中関税合戦は米国の株価を押し下げ、農業を窮地に追い込んでトランプ再選の逆風にしかならないだろう。

2014年にパリで行われた中仏修交50周年記念講演で習主席こう述べていた。「獅子はすでに目覚めた。しかし平和で温和な文明の獅子だ」

だがその言葉とは裏腹に、目覚めた獅子はやはり世界制覇を狙う戦略的かつ猛獣だと認識しておいた方がいい。

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